怖い話

「怖い話でもしようよ」


修学旅行の夜。クラスの男子全員が寝るこの部屋で、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。

しかし、すでに眠気に負け、目を閉じていた僕は「修学旅行っぽいなー」などと考えながら目を閉じ続けていた。


「おー、いいねー」

「まず誰から話す?」

「俺良い話知らないから、お前話せよ」

「いやー俺も知らないんだよなー」

「誰か話せる人いない?」

「いや誰もいないのかよ!」


「あれ?お前も起きてたのか!」

「ほんとだ!なぁ、なんか怖い話知らないか?」


「なぁ」

「なぁなぁ」

「なぁって」



「お前に言ってんだよ」


耳元でそう聞こえた時、僕は自分の意識が遠のくのを感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

@SIBAMARU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ