第4話異世界士官候補生東京観光男女共同演習(後編)
グリニーたちはホテルにたどり着いた
ホテルの前で仲間と合流する。
仲間
「奴らは801と802の部屋で爆睡中です。」
トミー
「『そうかご苦労だったな。後は俺とグリニーが引き受ける。
後は休んでくれ。』」
トミーとグリニーと仲間は部屋に侵入して
睡眠いる間にグロースたちを一気に始末する。
寝込みを襲うのである。
トミー
「『手筈通りに進めろ。』」
トミー
「『まずは睡眠中の奴らの首を撥ねる』」
カードキーで入るタイプの部屋であったがトミーからしたらお構いなし
ドアからではなくて窓から侵入した。
トミーとグリニー、2人の仲間が侵入した。
まずは寝ているグロースを殺すべくナイフを抜いた。
しかしグロースたちは見当たらなかった。
情報によるとたしかこの部屋に泊まっているはずだった。
トミー
「部屋を間違えたか?」
グリニー
「そのはずはないグロースたちはこの部屋に必ず泊まっている、仲間がそれを確認している。」
トミー
「ではなぜ彼らはここにいない。」
2人は部屋を探し回った
部屋を探したが彼らは見当たらなかった。
このホテルはもぬけの殻であり、グロースたちは東京脱出のための異世界ゲートに向かっている最中だった。
「まずい、奴らの追跡が遅れてしまっている。」
トミーは部下たちに
「急ぎ奴らの追跡を再開するんだ、急げ。」
部下たちは
「了解しました。」
トミーは部下ともにグロースの追跡を開始する。
すでに夜が明けようとしていた。
なぜグロースがトミー達の襲撃に気付くことができたのだろうか?
少し時を遡る、グロースだけなぜか寝付けなかった。
本能的に直感的に危険を感じていたのである。
爆睡していたウルソムを起こした。
グロース
「おい、起きろ。」
ウルソム
「ん、何?」
グロース
「ホテルに居続けていると寝込みを襲われ、殺されるって予感がするんだ。
このままここにいるのはまずい気がするんだ。」
ウルソム
「昼の連中のことを考えたらあり得ることだね。君の意見に賛成だ逃げよう。」
グロースとウルソムは着替え
イニエチェリとマリニキの部屋をノックした。
2人ともまだ寝ていたので
ウルソムが大声で
「2人とも起きてくれ、今すぐ東京脱出しよう。」
イニエチェリ
「何言っているのまだ夜でしょ、もう少し寝させて。」
マリニキ
「『寝かせて』」
ウルソム
「今すぐに起きるんだ、このホテルから出るんだ。」
マリニキ
「昼間の連中の手口知ってるでしょ。何が起きても知らないからね。
マリニキ、イニエチェリ』」
イニエチェリ
「『はい。』」
2人とも起きて準備をした。
イニエチェリ
「『どうしますか?」』
マリニキ
「『行くよ』」
イニエチェリ
「『どこにですか?』」
ウルソム
「このまま東京駅の異世界ゲートに向かって走るよ。」
グロース
「今最優先すべきことは昼間、協商連合の幹部の話していた内容を士官学校に伝えることだ、これは国家存亡の命運がかかっている。」
マリニキは
「『わかったわ、私も行くわよ。」
イニエチェリ
「『了解です。』」
ウルソム
「『早く行かなきゃ』」
4人は池袋のハートインホテルを出て東京駅を目指した。
マリニキはイニエチェリとに疑問に思っていたことを尋ねた
「もしかしてあのホテルってラブホテルってやつじゃないの?」
イニエチェリ
「『いいえ違いますよ。普通のホテルですよ。
なんでラブホテルなんですか?』」
マリニキ
「なんとなく艶やかな雰囲気がしたし、隣で性行為をする声もしたわよ。あまりにも大きくて私寝れなかったのよ。」
イニエチェリ
「『そうでしたか。すみません。』」
マリニキ
「まあいいわさっさと東京駅に向かわないと。」
グロース
「よし、今から池袋駅から東京に向かうぞ。くれぐれもあいつらに気付かれないように入念に行動しないとな。」
マリニキ
「大丈夫、私があいつらに気付くから。」
イニエチェリ
「『頼もしいですね、マリニキ』」
ウルソム
「頼りがいのある発言するけどマリニキさんっていつもトラブルの元になったいるよね。」
マリニキ
「うるさいねウルソム。」
イニエチェリはマリニキとウルソムのやりとりを見て
(マリニキさんいつもトラブルに巻き込まれる体質ですね)と内心思った。
街を駆け抜けて池袋駅にたどり着き東京駅行きの電車に乗った。
4人は座席に座り、息を整えた。
「はあ、はあ、」
「やっと一息つける。」
マリニキ
「『ふう、疲れた』」
ウルソム
「それにしても異空間ストックで便利だよね。」
グロース
「ウィラリアで唯一、便利の面で優っている道具と言っても過言ではないな。」
ウルソムは異空間ストックから自販機で買った飲み物を出した
「さてと、喉が渇いたし、コーヒーでも飲んで一息入れるとするか。」
「俺も。」
「僕も。」
イニエチェリ
「『私にも。』」
グロースは
「さてと、あいつらどこまで来ているかな?
このまま無事に振り切れると思うけど。」
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一方ドワーフたちは偶然にも東京駅の近くで宿を取って早朝の散歩に出かけていた。
火のドワーフ
「ハイホー今日もいい天気、楽しい日になりそうだね。」
風のドワーフ
「ハイホー、今日は人生最大に素晴らしくて幸運な日になりそうだね。」
土のドワーフ
「ハイホー今日もいい日になるよきっと。」
風のドワーフはシーフードヌードルを取り出して
「散歩が終わったらこの黄金色に輝くこのラベル
みるからにおいしそうなこのカップラーメン、
人数分あるからあとでみんなで頂こうよ」
火のドワーフ
「うん、美味しそう
僕お腹空いてきたし。」
土のドワーフ
「俺も腹が減ったよ。」
火のドワーフ
「僕も。」
風のドワーフ
「『じゃあ、帰ったら食べよう』」
彼らは東京駅に向かう彼らは東京駅付近の湖がある白鳥公園に通り抜けた。
グロースたちは順調に東京駅にたどり着くと確信できたが
急に人身事故で電車は神田駅でストップした。
午前5時20分のことである。
人身事故でしばらく電車がストップ。
彼らは愚痴を言った。
グロース
「『こんなことで足止めされたらやばいだろ。
あいつらには気付かれたくないし
早く異世界ゲートに行きたいんだよ、イニエチェリ、マリニキ、ウルソム』」
マリニキ
「『そうね。急いでいたのに。』」
イニエチェリ
「偶然にもこんな不都合にでくわすなんて私たちなんてついていないんでしょうか?」
マリニキ
「私のせいにしたいそうね。」
イニエチェリは
「違います。そんなことより、早く東京駅に向かいましょう。」
マリニキ
「足止めされているのにどう急ぐのよ。」
グロース
「『とりあえず電車に降りて東京駅までダッシュで向かうぞ、たぶんそんなに遠くない。」
ウルソム
「うんグロース!」
イニエチェリ
「『私も行きましょう』」
マリニキ
「ええ、行きましょう」
電車を降りると神田駅までの道順を調べてみた
グロース
「『ここからなら東京駅の異世界ゲートまで2キロぐらいかと推測される。
ダッシュすればものの10分もかからないはず。」
マリニキは
「分かったわ。行きましょう。」
グロースは
「『行くぞ』」
グロースたちは神神田駅から南に走って行った。
神田駅から南に行くと都内の高層ビル群に囲まれた場所に出る。
そこから西側に直進すれば東京駅に行き着くのである。
4人は走った。
大鳥公園を駆け抜けた。
*大鳥公園は架空の公園です。
しかし、途中まで順調だったのだが
4人の前に立ちはだかった。
グリニーとトミーそして4人の部下はグロースたちが異世界ゲートに来ることを予測して
韋駄天俊足、駆け足で東京駅に向かっていた。
彼等もまた東京駅に向かう途中、大鳥公園を通り抜けようとしていた。
そこで、彼らと鉢合わせしたのである。
「待てや!」
「待ちやがれ、てめえら。」
マリニキ
「『来た』」
グリニー
「残念だけどお前たちにはここで死んでもらう、
我々の計画の邪魔をしてくれたことを後悔しながら死にやがれ!」
トミーはグロース発見の報告を協商連合の幹部たちに報告した。
東京駅に向かっていること、
東京駅付近の大鳥公演で鉢合わせしていること
4人が全員そろっていることなどを報告した。
トミー
「ゴメスさん、4人がそろってこちらに向かっている
あと3キロで東京駅に到着します。
我々は4人を始末する予定です。」
ゴメスは寝起きだったので機嫌悪く
「そうか、殺せるなら殺せ!
その首持ってこい!」
トミー
「『了解しました。』」
ゴメス
「今から俺たちも大至急、車でそちらに向かう。」
トミー
「『承知しました。』」
ゴメスは部下たちを連れて東京駅方面に向かっている最中である。
トミー
「『お前達、やれ』」
トミーたちはグロースにとびかかった。
トミー
「『覚悟しろ、この糞餓鬼がぁ!』」
グロースとウルソムは
「こいつらの相手は俺らがする。」
「うん、そうだね。」
トミーとグリニーはグロースたちの足止めをするために部下をけしかけた。
グロースは戦々恐々としながらも6人の猛攻を剣で打ち払った。
「こいつら強いよウルソム。」
「ああ、だけどやるしかないさ。
僕ら二人でもあいつら全員倒せるはずだ。」
ウルソム
「『やってやろうじゃないか。
君とのコンビネーションで勝とうグロース。』」
グロースは
「『もちろんだよ、ウルソム」
ウルソムはベアーナックルをグリニーの部下の一人に命中させた
*ベアーナックル純粋に熊の拳
ベアナックル(素手の拳ではありません。)
「ぐぅ!」
ベアーナックルは一撃で相手を昏倒させるほどの威力である。
「次はお前だ!」
グリニーが
「なめんじゃねえぞ糞餓鬼が、
てめえみてえに調子こいてんじゃねえよ!」
グリニーとトミーは自らの体を分身させウルソムとグロースを翻弄した。
眼にもとまらぬ速さでウルソムとグロースを襲った。
ウルソムはベアーナックルで迎え撃った。
ウルソム
「気合い炸裂ベアーナックル。」
ベアーナックルをグリニーやトミーになかなか命中しない。
グリニーとトミーの猛攻は止まらない。
業を煮つやしたグロースとウルソムはいったん引いて距離を取った。
グロース
「このままではやられるのは時間の問題だ。」
ウルソム
「『そうだ、奴らの強さは異常だ、
このままだと間違いなく、負けるぞ。
どうにか奴らの攻撃を凌ぎながら時間を稼ぐしかない。』」
トミー
「『お前らを逃がすと思ってんのか
お前らが逃げるのは俺が許さない。』
グリニー
「『そうよ、てめえらはここで確実に殺す
俺たちの邪魔したことを後悔しな。』」
ウルソム
「簡単にやられるわけにはいかない。僕たちにだって意地がある。』
グロース
「『そうだ、俺はこんなところで倒れるわけにはいかないんだ。』
トミー
「死ね糞坊主ども。」
トミーの鋭いナイフがウルソムの首元に突き刺さろうとしていた。
ウルソムはやられたと確信した。
しかしナイフは首元に刺さっていなかった
トミーのナイフは何者かが弾いてくれたのである。
ウルソムは何者かに助けられたことに気が付いた。
「ありがとう、あなたは?」
謎の男は
「『俺だ俺だ。』」
グロース
「誰だあんたは?」
謎の男
「いやあ、お前たちなかなかやるなあれから剣の腕が上達したんじゃないか?」
ウルソム
「あなたは?」
ウルソムとグロースの目の前にいたのは
かつて東京観光で泣いて笑ってけんかしたドワーフたちだった。
火のドワーフ
「『お久しぶりです。ウルソムくんグロースくん』」
風のドワーフ
「『また会えるとはな』」
土のドワーフ
「『まさかこんなところで再会するなんて思ってなかったよ』」
火のドワーフ
「『いやあ、偶然だね本当に』」
風のドワーフ
「いつも思うんだけど君たちとは運命を感じるね、これってセレンディピティやシンクロニシティってやつじゃないかなって思う
偶然の一致、君たちとはソウルメイトとかそんな類のものじゃないかな。」
火のドワーフ
「風のドワーフ出しゃばり過ぎだぞ。」
風のドワーフ
「『まあいいじゃないか、ここはグロースたちと共闘しようではないか。」
風のドワーフ
「『もちろん、君たちもそれでいいよね。グロースくん、ウルソムくん』」
火のドワーフ
「まあいいさ、僕たちも再開できで何よりうれしい。」
ウルソム
「『ありがとう、僕たちに力を貸してくれるんですね。』」
火のドワーフ
「前回の東京観光、君たちのおかげですごく楽しい思いができた。
友達である君たちが困った時に手を差し伸べるのは当然だよ。」
風のドワーフ
「『そうそう、私たち友だちだから」
土のドワーフ
「『そうだグロース
「ありがとうみんな。」
ウルソム
「『さあ、反撃だ。』」
風のドワーフ
「『よし、やるぞみんな、いくぞ、行くぞ』
火のドワーフ
「『おうよ。やってやるぞ。』
土のドワーフ
「『おお』」
風のドワーフ
「『うおーーー』」
一行はグリニーとトミーたちに向けて走り出した。
イニエチェリとマリニキはグロースたちと切り離された状態でグリニーとトミーの部下4人のアサシンと戦っていた。
マリニキ
「『イニエチェリ、私は一人でもあいつらを倒して見せるわ』」
イニエチェリ
「『ええ、私も負けないように努力します.'"」
マリニキ
「『イニエチェリ頑張って』」
イニエチェリ
「はい、マリニキさん全力を尽くします。」
マリニキは
「『イニエチェリこそ頑張って』」
マリニキは4人の部下たちの間をすり抜けようとした。
マリニキ
「『私の方が素早いだ』」
マリニキは硬化魔法をかけて取り出した剣の硬度を強化した。
マリニキ
「『さあ行くわよ、あんたたち』」
イニエチェリは続けて敵の攻撃をもろにうけても大丈夫なように
硬化魔法をかけ直した。
さらにイニエチェリは風属性の魔法をかけた。
「ゲイルフォルテ」
そよ風がマリニキを包み込んだ。
マリニキは風の精霊から力を借りて素早さを上げた。
マリニキは敵の間をすり抜ける。
風属性魔法ゲイルフォルテの恩恵に寄り
二人のスピードは4人のアサシンと互角になっていた。
マリニキとイニエチェリは4人の部下のひとりを仕留めた。
マリニキが硬化魔法で強化した剣が一人の胸を貫いた。
「ぐうっ、」
マリニキはさらに
風属性の魔法のゲイルフォールを4人に叩きつけた。
イニエチェリ
「風の刃風斬。」
4人全員を一刀両断にした。
「グウッ。」
「ウワァ。」
4人は疑問に思った
先日とは違いここまで翻弄されている事実にである。
「なんでだ、この前までは互角だったはずなのに。」
「くそっ、なんでこんなに動きが素早くなったんだ?」
イニエチェリとマリニキは風属性魔法ゲイルフォールの恩恵を受けたことで
4人の動きを翻弄したのである。
マリニキ
「あなたたちが再度襲って来た時に備えて留置所にいた時、電車に移動するときにどう対応するか4人で話し合ったわけ。」
池袋で襲撃された際、4人は対話も不十分でチームワークも確立されていなかった。
対話を通すことによって互いの役割分担や能力を理解し個々の能力を発揮できるような戦略をグロースを中心に話し合っていたのである。
イニエチェリは余裕が出たのだろうかゲイルフォルテの魔法をグロースやウルソムにもかけた。
気付かずにゲイルフォルテの魔法をかけられたグロースとウルソム
グロース
「急に体が軽くなってきた。」
ウルソム
「本当だ。」
火のドワーフ
「グロースさんたち残りの二人は俺たちに任せて、異世界ゲートに早く向かってください。」
グロース
「しかし。」
風のドワーフ
「心配はいりません、ここは俺たちに任せて任せて、俺たちはこんな輩にやられるほどヤワじゃありませんぜ、以前なんてみんなでナイアガラの滝に飛び込んだぐらいですぜ、でもみんなピンピンしていましたぜ。」
火のドワーフ
「相変わらずくどいな風のドワーフ
さぁ早く異世界ゲートに向かってください。」
土のドワーフ
「僕たちを信じて下さい。」
グロース
「分かりました、ありがとうございます。
僕はイニエチェリを連れて東京駅を目指します。」
風のドワーフ
「『ああ、気をつけて行けよ。今度会ったら、カップラーメンパーティーしようぜ。」
グロースはグリニーとトミーをドワーフたちに任せて東京駅の異世界ゲートに向かった。
駆け足の中、イニエチェリは
『あの、本当に大丈夫なんですか?』
グロース
「彼らの戦闘力はただものじゃないきっと大丈夫!!」
グロースとイニエチェリは東京駅に続く道を駆け抜けた。
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迷彩服とプレートアーマーを着こんで武装した協商連合の幹部たちはSVR車に乗って東京駅を爆走していた。
ゴメス
「いいか、4人を捕まえて殺すことは必須事項だ。」
ブレッヘン
「4人は東京駅の異世界ゲートに向かっているはず、
先回りするぞ。」
SVR車は全速力で法定速度無視、途中、壁や標識にぶつかってもお構いなしひたすら東京駅を爆走して目指していた。
ゴメス
「あいつらを逃がすなよ。」
ブレッヘン
「もちろん!」
SVR車は東京駅前に迫っていた。
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ドワーフたちはトミーとグリニーと戦っていた
風のドワーフ
「まさに多勢に無勢、降参するか逃げるかどっちかのしたほうがいいのでは。」
トミー
「『黙れ。黙ってぶっ殺されてろ!』」
風のドワーフ
「うわ、すごい殺気だね。
負け犬の悪あがき、負け犬の遠吠え、負け犬の殺気なんだけどね。」
トミー
「お前くどいなさっさと死ね。」
風のドワーフはトミーを挑発し続けた。
トミーの攻撃はますます荒々しくなりだした。
風のドワーフは巨大な斧でそれを打ち払う。
グリニーが続けて目にもとまらぬ速さで斬撃を繰り広げるが
風のドワーフは巨大な斧を扇風機のように旋回させて
暴風の障壁を発生させて防御
火のドワーフが風のドワーフを遠くから呼びかけた
「風のドワーフ準備はできたぞ。」
風のドワーフ
「待ってました。」
風のドワーフは後ろを振り向いてそのまま逃げだした。
トミー
「『待て、逃げろぉ!』」
グリニー
「『逃げるな!』」
風のドワーフ
「追うならついてきな。」
風のドワーフはまるでアイススケートを滑るかのようにスイスイ走る
ひたすら
仲間の元に向かっていく
グリニーとトミーは思うように走ることができずにとうとう転んだ。
トミー
「『ぐわぁっ』」
グリニー
「うわっ何だこれ。」
グリニーは下を向いて驚いた
「これは氷。」
トミー
「グリニー周りを見ろ。」
グリニー
「何だこれは?」
大鳥公演の小さな湖は氷結していた。
トミーとグリニーの周囲では水が氷結し始めていた。
トミーは風のドワーフに質問した
「なんで湖が凍っているんだ?」
水のドワーフ
「フェーフリーレン(氷の妖精)という斧魔術を使った。」
火のドワーフ
「ファイヤーストームを喰らいやがれ。」
火のドワーフは大きく斧を振って斧魔術ファイヤーストームを繰り出し
グリニーとトミーに向けて巨大な火炎嵐を放った。
「うわあああああ」
トミーはあまりにも強大な炎の嵐に恐れおののいた。
風のドワーフ
「ファイヤーストームは通称、正式名称はフランメシュトルム(炎の嵐)。
ちなみにさっき、さっそく大鳥公園の湖の水深をしらべたんだけど
奴らがいる場所、すなわち中心部はだいたい15メートルぐらい
泳げなかったら必ず溺れる深さだね。」
フランメシュトルムはグリニーとトミーに命中せずに凍った湖の氷に命中
氷は溶けだし、グリニーとトミーは水中に沈んだ。
グリニーとトミーは泳ぐことができずに水中でひたすらもがいている。
風のドワーフ
「『さてと、これからどうやってこいつら殺してやろうかな?』」
火のドワーフ
「殺人はいかんよ殺人は捕縛しなさい。」
土のドワーフ
「では俺の大地の斧術の出番だな。」
「あいにくこの公園、緑豊かだから思う存分、大地の斧術が使える。」
土のドワーフは近くの垣根に斧を叩きつけた。
垣根の木の枝は長く太く伸び、グリニーに向かってひたすら向かってきた。
溺れるグリニーとトミー、伸びた木の枝が彼らの彼らの巻き付いた。
グリニー
「やめろ、離せ離してくれ!」
トミー
「『離してくれ』」
火のドワーフ
「殺しはしない、捕縛するだけだ。」
風のドワーフ
「土のドワーフの大地の斧術で生成された木の枝は非常に強固で頑丈、ふりほどこうとしたって無駄なこと。
巨大な魔獣でもほどけない代物なんだ。」
トミーとグリニーは
木の枝に巻き付き動けなくなっていた。
ドワーフたちは綱を引くように木の枝で拘束されたグリニーとトミーを引いた。
火のドワーフ
「さてと、捕縛完了。」
風のドワーフ
「まさか二度にわたって同じ作戦が通用するとはな世間は広いってつくづく思うよ。」
土のドワーフ
「世間って言ってもここは異世界東京だけどな。」
風のドワーフは回想した。
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ドワーフの里の魔獣討伐をすることになったドワーフたち
ドワーフは湖畔の近くでタイガービークという強大な魔獣と戦っていた。
姿はくちばしをした虎、体長は6メートル以上である。
鉄の鎧程度なら鋭い牙で切り裂くことができる凶暴な魔獣である。
斧の攻撃も直接聞かない。
フランメシュトルム(炎の嵐)の直撃を受けても平気であった。
ドワーフは身の危険を感じた。
火のドワーフ
「まずいねこのタイガービーク、
俺たちの斧攻撃をものともしない。」
風のドワーフ
「どうする?一旦引く?」
土のドワーフ
「いや、まだだ。
まだやれる。」
火のドワーフ
「でも俺たちだけじゃこいつ倒せない。」
風のドワーフ
「実はダメ元の作戦があるんだけど~~~~~~」
火のドワーフ
「一か八かだな、その作戦実行に移す。」
土のドワーフ
「おう。」
水のドワーフ
「分かった。」
風のドワーフ
「やるしかないさ。この作戦成功したら生き残れるし、失敗したら死ぬだけこれに賭けるしかないでしょ。」
作戦開始
風のドワーフはひたすらタイガービークを挑発した。
タイガービークの猛攻は激しさを増し風のドワーフに迫った。
鋭い牙が喉元に差し迫るほどの危険もあった。
それでも風のドワーフはタイガービークの猛攻をひたすら防いだ。
風のドワーフは斧を風車のように大回転させた。
斧から強力な風が吹き出した。
風のドワーフは叫んだ
「これぞ風のドワーフ様特性、自己防御斧術の
シュトルムパンツァー(嵐の鎧)だ。」
風のドワーフの斧の風車は大回転を続け、風が強くなった。
タイガーピークの猛攻はすべて風の防護壁に吸収されていった。
猛攻を繰り広げているうちに
火のドワーフは呼びかけた
「風のドワーフ、こっちに来い。」
風のドワーフは後ろを振り向いて
「ようやく向こう岸にたどり着いたか、今行くから待っててね。」
風のドワーフはそのまま走った。
水のドワーフのフェーフリーレン(氷の妖精)により湖の水は凍っていた。
風のドワーフはアイススケートを滑るようにすいすいと凍った湖を滑走した。
そしてタイガーピークを挑発
「魔獣ちゃん、みんなを食べたいならこっちにおいで。」
タイガーピークは風のドワーフの挑発に乗っかって湖の上を滑走した。
タイガーピークもまた凍った湖を渡ろうとするが上手く渡れない。
タイガーピークは滑ったり転んだりを何度も繰り返した。
そうこうしている間に風のドワーフはすでに湖の反対岸へ移動した。
火のドワーフ
「最後の仕上げ、フランメシュトルム(炎の嵐)」
豪華の嵐が凍った湖の氷を溶かした。
たちまち氷は水となり
同時にタイガーピークは溺れた。
風のドワーフ
「『タイガーピークくん君さ、泳げるよね?』
もしかしてかなづちかな?」
タイガーピークは溺れた
もがきにもがき
タイガーピークは溺れて力尽き、水死体になった
ドワーフの討伐物語はここで完了する。回想終了
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グロースたちは異世界ゲートに向かっていた。
グロース
「これでようやく異世界ゲートをくぐり元に戻れる。」
ウルソム
「何とかなるものだね。」
イニエチェリ
「そうよ、よく頑張った。」
グロース
「イニエチェリさんありがとうございます。」
悦に浸っている間、一台のSRVがグロースたちの眼前でドリフトして急停車
マリニキ
「早朝からあわただしい自動車ね邪魔しないでくれる。」
ウルソム
「この車ちょっと変ですよ、いかにも僕たちの邪魔をしているかのようだ。」
SRVから4人の大男が降りてきた。
瞬時にグロースたちを取り囲んだ。
昨日の協商連合の幹部たちである。
彼らは武装している。
ブレッヘンは
「まさか俺たちが始末する羽目になるとは。」
ゴメス
「池袋もホテルでも公園でも暗殺失敗、あいつら使えねぇな。」
ブレッヘンは
「ボスが言うようにあいつらは本当に使えねぇ。」
クロイゼルング
「結局俺たちで始末しないといけないのかよ。」
クリーゼ
「まあいいや、俺たちなら、こいつら簡単に始末できるぜ。」
さあ、覚悟しろお前ら。」
ゴメスは異空間ストックから剣を取り出し剣を構えた
同じくブレッヘンは異空間ストックから槍を取り出し槍を構えた
クロイゼルングは棍棒を構え、クリーゼは金棒を構えた。
グロース
「戦うしかないようだな。」
ウルソム
「そうだね。」
マリニキ
「あと一歩で振り切れたのに本当についていない、なんでイニエチェリといたらこんな不運がばかり起こるのよ。」
イニエチェリは
「あなたの方こそ毎回、トラブルの原因作っているじゃないですか。」
ウルソム
「二人とも言い争いは辞めようよ。」
グロース
「そうだ。まずは眼前の敵を打倒す」
グロースたちは武器を構えて構えた。
グロースはするどい剣撃をゴメスに放った。
続けてウルソムがブレッヘンに渾身のベアーナックルを放った。
ブレッヘンは素早く槍の穂先をウルソムに向けて突いた。
ウルソムはかわした。
二人の猛攻のおかげで包囲網が崩れ
うまい具合に横一列、2組の2対2の構図が出来上がった。
クロイゼルングとクリーゼはイニエチェリとマリニキの二人を相手にすることになった。
クロイゼルングとクリーゼがそれぞれ棍棒と金棒を繰り出したがマリニキは軽やかにかわした。
イニエチェリが何かしらの補助魔法をマリニキと自分自身にかけた。
その瞬間、クリーゼの金棒がマリニキの脳天にヒットした
マリニキ
「『あっ』」
マリニキは声にならない悲鳴を上げた、だけど何ともなかった。
クリーゼ
「俺の渾身の金棒の一撃を喰らってどうして平気なんだ。」
クロイゼルングは神技ともいえる棒術を繰り出した。
棒術の猛攻が次々とイニエチェリにヒットする。
しかしイニエチェリは平気だった。
イニエチェリは手に持っている杖から高収束ビームを発射した。
クロイゼルングは致命傷にならなかったもののたじろいだ。
クロイゼルング
「どうして俺たちの猛攻を受けて平気なんだ。」
イニエチェリ
「ムーレ(軟化魔法)をかけたおかげで私たちは軟体人間になったんですよ。」
クリーゼ
「ムーレ(軟体魔法)は敵の守備力を下げる魔法。」
クリーゼ
「くそぅ。
ムーレ(軟化魔法)あえて自分たちにかけて守備力を極限まで下げて体を軟体化
何てすごい発想、何てすごい応用力だ。」
クロイゼルングとクリーゼは一旦引いた。
一方、ゴメスとブレッヘンはグロースとウルソムに猛攻を仕掛けている。
グロースとウルソムも応戦するように剣で猛攻をはじき反撃に移るが相手の方が技量、スピード、力量がこちらを上回って不利であることは明らかだ。
ブレッヘンが槍を高速で突き、ウルソムの胸を穿つ
「グウウウウウっ」
頑丈なウルソムのボディ、刺し貫かれることはなかったがウルソム血を吐き倒れこんだ。
グロースはゴメスと剣を交えるが
ゴメスの剣はあまりにも速く
グロースの攻撃はことごとく避けられる。
ゴメスの剣がグロースの右腕をついに斬った
血が吹き出る
ウルソム
「『グロース』」
グロースは
「大丈夫、まだ大丈夫だ。
剣を交えている間にあることを思い出したよ。」
会話をしている隙をついて
ブレッヘンがウルソムの腹部を突き刺した
しかしウルソムは平気だった。
ウルソム
「僕も同時にあることを思い出したよ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
士官学校、自由時間
グロースは日本から来た山崎宗厳という留学生と共に自主鍛錬に励んでいた。
ドン、ドン、ドンと大きな音が鳴り響く
畳こそないが柔らかいカーペットの上で柔道をしていた。
山崎はグロースに指導、グロースは山崎に技の受け流しや返し、関節技などを学んだ。
グロース
「柔道と言う技ってすごいね山崎君。」
山崎
「まだまだこんなもんじゃないぞ、まだまだ奥義は見せていないからな。」
グロース
「まだあるんですね?」
山崎
「あるぞ奥義の奥の奥の奥の技もあるぞ。」
グロース
「是非、僕に見せてください。」
山崎
「いいとも、いつか見せてやるよ、いつかはな。」
あの時は奥義や奥深さを体験、知ることはなかったが柔道、柔らと言うものを少しばかり理解できた気がする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ウルソムは槍を受け止めていた。
ブレッヘンは槍に力を込めた。
ウルソムはその瞬間、槍に込められた力を利用して槍ごとブレッヘンを投げ飛ばした。
ブレッヘンは槍とともにすっ飛んだ。
ウルソム
「僕って意外に柔道の才能あるかも。」
一方、ゴメスは剣を素早く抜き斬りかかる。
グロースは防戦一方である。
どちらかというとグロースが押され気味である。
グロース大ピンチである。
グロースは隙を窺っているかのようだ。
ゴメスが渾身の突きをした瞬間である。
グロースの剣がゴメスの左側の肩を切り裂いた。
ゴメス
「俺の渾身の突きが敗れた。」
グロース
「突きを放つ際に剣と剣を交差させて威力を倍増させたのさ」
ゴメスは剣を突き上げ振った
同時にグロースもその剣撃に沿うように剣を突き上げた。
ゴメスの剣撃が弾かれゴメスの体がよろめいた。
その隙にグロースは渾身の一撃を放ちゴメスの左脇腹を斬り裂いた。
ゴメス
「押しに押されていたお前が何で
急に押し返したんだ?」
グロース
「『柔よく剛を制す』って言葉を知らないのか?
突きを剣で受け止めると同時に剣の勢いを利用したまでよ。」
ゴメスの脇腹から血が流れだした。
ゴメスは3人に号令を出した
ゴメス
「みんな俺の元に集まれ。」
3人はゴメスのピンチを察知してゴメスに駆け寄った。
そしていきなりスクラムを組み始めた。
スクラムを組んだ4人は
「シェイクシェイク」と叫んでものすごいスピードでスクワットを始めた。
ウルソム
「『何をしているんだあの人たち』
『何やってるんだろ』」
グロース
「『あれは何だ?』
『何をするつもりなんだ?』
『あの行動の意図が分からない』」
イニエチェリ
「『何をしているのかわからないけど
あの人たちには何か考えがあるのかしら?』
マリニキ
「今のうちに逃げたほうがいいんじゃないかな、というよりも逃げましょう。」
イニエチェリ
「それもそうね。」
4人はこの隙にでもと思い一目散に逃げだした
相変わらずゴメス達四人はシェイクシェイクと大きく叫んでスクワットをしている
ゴメス
「逃げても無駄だぜ。」
スクラムを組んだ四人からは膨大な電気が放電されている
シェイクシェイクと叫ぶたびにスクワットをするたびに放電された電気は次第に勢いを増す。
グロース
「『あの電気の放電エネルギーがどんどん増していく。
何か危険な感じがする。』」
マリニキは叫んだ
マリニキ
「『やばい!
この感じやばいよ』」
イニエチェリは言った
イニエチェリ
「『あの放電エネルギーの塊が私たちに向かってくるのを感じるわ。』
逃げるわよ。」
4人は異世界ゲートに向かって必死に逃げる。
ゴメス達
「必殺奥義エクレアプリッツライトニング」
その時である放電エネルギーが4人に向かって放たれた。
グロース
「しまった。」
マリニキ
「これまでかあと一歩だったのに。」
ウルソム
「思えば楽しい東京観光だった。」
イニエチェリ
「転生したらまずしないことリスト1東京観光........」
放電エネルギーは4人を直撃したかに思われた。
間一髪彼らは直撃を免れた。
走った後に偶然にもトラックが通りかかったトラックに
放電エネルギーが命中した。
トラックは全焼した。
放電エネルギーの爆発力は凄まじかった。
ゴメス
「悪運の強い奴め。」
ブレッヘンは言った
「第二波行こうぜ。」
ゴメス
「そうだな。」
再びシェイクシェイクと叫んでスクワット
第二波が放たれた。
しかし第二並は壁に激突した。
第二波が放たれた瞬間グロースたちはとっさに壁に隠れていたのである。
グロース
「あと一歩ってとこなのにこのままでは埒があかない。
二度は運よく避けられたけど何度も避けれるものではない、
あのペースなら異世界ゲートに入る前におそらく第三波が来ることは明白。」
イニエチェリ
「私に良い考えがあります。」
グロース
「話だけは聞こうか。」
イニエチェリは案を述べた
グロース
「今はこの案に賭けるしかない。」
ウルソム
「この案が成功したら勝利もできるし一石二鳥だよ。」
グロース
「行くぞ。
作戦開始だ。」
ゴメス
「俺たちを舐めやがって、今度こそ始末してやる。」
ゴメス達
「シェイクシェイク」
怒りといら立ちのエネルギーも放電エネルギーに変換されるのだろうか電気エネルギーは今まで以上に大きかった。
ゴメス
「これで終わりだ必殺奥義エクレアプリッツライトニング」
グロースたちは逃げるどころかむしろ必殺奥義に立ち向かっていた。
イニエチェリ
「みなさま魔力を集中させてください。」
グロースたちは魔力を集中させイニエチェリの動作を見よう見まねで行った
イニエチェリ
「そして叫んでください。」
グロースたちは
「アタナクラシカスレフティス(反射鏡)」
魔法の光が大きな鏡を創り出した。
ゴメス達の放つ放電エネルギーを跳ね返した。
放電エネルギーはそのまゴメス達はそのままダウン
クリーゼ
「絶縁体のプロテクターで武装すればよかったんじゃないの?」
ブレッヘンは
「ゴメス、リーダーたるもの最悪も想定すべきじゃないのか?」
ゴメスは倒れたまま
「いつからリーダーになった。
それにしても今回は想定外のどんでん返しばかりだった。
グリニー以外にも俺たちもまたこんなヘマするなんて。」
クリーゼ
「負けたのに失敗したのにかかわらず何かすっきりした気分だ。」
ゴメスは
「俺も同じ気分だ。
まさかこんな気持ちになるとは思わなかった。」
4人は仰向けになって寝転んだまま青空を眺めそして大いに笑った。
パトカーのサイレンが鳴り響いた。
どうやら警察がやって来たようだ。
数人いる警察官の中に2メートルを超す大女がいた
池袋署にいたウィラリア人の風貌をした女性である。
池袋署にいたウィラリア人の風貌をした女性である。
金髪ポニーテールで女性用のビジネススーツを着た気の強そうな女性である。
女性は申した。
「私はウィラリア、バース王国特別捜査隊、隊員アイル
そして東京で異世界人対策と取締りのため警視庁に派遣された者。」
続けて
アイル
「そなたたちには先ほどの器物破損をはじめ暗殺容疑、濡れ衣容疑をはじめ、その他諸々の犯罪容疑で逮捕します。」
ゴメス
「ちょっと待てよ、俺は正式なビザや労働許可などを得てこの世界に来ているんだぜ、それに何も悪いことはしていない。」
アイル
「今朝だけでもこのSRVによる爆走、見知らぬ大学生に窃盗の濡れ衣を着せ、部下を利用してウィラリア人の士官候補生の暗殺未遂、雷撃を起こしトラックや壁などの器物破損、そこの二人の女性に対しての婦女暴行などの罪に現行犯逮捕する。」
ゴメス
「『そんな馬鹿な。』」
クリーゼ
「『嘘だろ。』」
アイルとその部下はゴメス達4人を逮捕した。
4人はパトカーに押し込まれた
アイル
「『あんた達、この車で池袋警察署までご同行願うよ。」
4人はパトカーに押し込まれる
4人を乗せたパトカーが走り去った。
アイル
「任務完了。」
アイルと部下たちはゴメス達を乗せたパトカーで池袋警察署まで行くことになった。
出発前にアイルはグロースたちに近づいた。
アイル
「『あんた達ありがとう。』
『おかげであの四人を逮捕することができたわ。』
君たちはビスリル士官学校の生徒かい?」
*ビスリル士官学校はグロースたちが所属する士官学校の名前
グロース
「はいそうです。」
アイル
「実は私もビスリルの卒業生で卒業後にバース王国特別捜査隊に志願して
いろいろあって日本に派遣された身なんだよ。
日本はいい国だよ。」
グロースたちは驚いた。
アイル
「それとゴメスの件について警察の事情聴取に応じなさい。」
グロース
「わかりました。」
アイル
「じゃあ行くよ。」
アイル達はゴメス達とは別のパトカーに乗り込んで池袋警察署に向かった。
池袋署で今回の件をひたすらありのまま話したグロースたち
アイルは納得したようで御咎めも何もしなかった。
アイル
「協商連合の中でもゴメス一派はごろつきと評判で、ウィラリアにいても悪事三昧、
こちらに来ても悪事を働き続けていたからね。」
グロース
「そうだったんですね。」
アイル
「昨日ここで深夜に起きた怖い話、聞きたいか?」
グロース
「『聞きたいです』」
アイルは話し出した
「昨日、池袋署に盗難容疑で逮捕して留置した男女の学生4人組。」
グロースは心の中で
(これって俺たちのことじゃやばい!!)
と思った。
アイルは続ける
「男女の学生は身分証もなく身元不明、いくら取り調べをしても手掛かりなし、よって留置所に一晩ぶちこむことにしたんだ。」
グロース
(そうだったんだ。ばれたらヤバイぞ)
アイル
「朝に留置所を見たら彼らを逮捕していた雑居室はもぬけの空
私思うんだ、幽霊じゃないかって。」
グロースは冷や汗をかいて
「『そうなんですか。』」
アイル
「彼らが何者なのかわからずじまい、その後結局彼らはどうなったのかわからないんだ。
たぶん怨念か何か何だろうな。
私は知らなかったんだけど盗難容疑で通報したのがゴメス一派、調書を見たところ、背後霊のように付きまとわれた上、高価な荷物を盗まれたって書かれていたからね。
警察を霊媒師のように扱うなって言いたいよ。」
グロースたちは内心ホッとしていた。
アイル
「先ほど彼らの事務所を捜索したけど盗難したとされる荷物はあったし。
さて、今日はこれくらいで終わりだけど君達はまだこれからなのかい?」
グロース
(グリニー率いる4人の部下の一人が前もってゴメス達が携えていた荷物をどこかにばれない様に隠していたんだろうな。実に巧妙な手口だ)
アイル
「話を聞いてくれてありがとう、日本の名物の和菓子
「羊羹」っていうお菓子だよ
これを君たちにあげるよ。」
グロース
「『ありがとうございます』」
アイル
「最後にビスリル士官学校所属なら一つ言いたいことがある。」
グロース
「何でしょうか?」
アイル
「協商連合は非常に大きな組織、協商連合はウィラリアに多くのスパイを各機関に送り込んでいる
ビスリル士官学校にもその一人がいると聞く。」
グロース
「ゴメスって協商連合のトップではないんですか?」
アイル
「あいつらは末端、使い捨ての下っ端だ。」
アイル
「まぁとりあえず気をつけてね。
じゃあ。」
グロース
「『ありがとうございました』」
イニエチェリ
「ゴメス一派は逮捕されグリニーとトミーも逮捕されたそうです。
私たちを脅かすものはいなくなりましたね。」
マリニキ
「そうと来たら、思う存分東京観光楽しまなきゃ。
このまま帰るなんてもったいないわよ。」
ウルソム
「昨夜寝ていないから眠いよ。」
マリニキ
「だらしないわねそれでも男?」
ウルソム
「男は寝てナンボだ。」
マリニキ
「『何よ、それ』」
グロース
「今後、士官学校のカリキュラムの中には三日三晩飲まず食わず寝ずに訓練というものがあるそうだ。」
マリニキ
「『嘘でしょ』」
グロース
「『嘘じゃないよ』先輩から聞いた話だよ。
なので我々はこのまま東京観光を続けるいいな?」
ウルソム
「『寝たい。寝かせて。お願い、寝かせて」
イワンが人力車を引いて池袋署までやってきた。
イワン
「おはようございます。皆さん本日はどこに行かれますか?」
マリニキ
「イワンじゃないのどうしてここに。」
イワン
「マリニキさんたちが警察署に向かったと言う話を聞いたので迎えに来ました。」
グロース
「イワンさんのおかげでいろいろ助かりましたありがとうございます。」
イニエチェリ
「私、今思い返したらホテルを出て東京駅に向かう時、電車じゃなくてイワンさんの人力車かタクシー使ったら順調に異世界に帰れたんだろうなって思いました。」
マリニキは勢いづいて
「私もそれ思った、イアンの人力車に乗っとけばゴメスやグリニーたちから降り切れてそのまま帰れたのに。
みんななんであの時、そうしなかったのよ。」
グロース
「あの時は狼狽していたら仕方なかったさ、それに俺たちが奮闘したおかげでゴメス達はお縄ごめん、何より羊羹を頂いたじゃないか。」
イワン
「羊羹ですかこりゃまた美味なお菓子を手に入れましたな。」
マリニキ
「後でみんなでいただくつもりよ早速どこかに連れていってちょうだい。」
イワン
「わかりました。」
イワンはみんなを乗せて東京のおすすめスポットへと向かった。
ウルソムは眠い目をこすりながらも東京観光を思う存分楽しんだ。
異世界ゲートをくぐる日がやってきた。
ウルソム
「楽しかった。」
イニエチェリ
「東京って面白いね。」
グロース
「次こそは何事もなく面白さを満喫してみたいものだ。」
異世界ゲートをくぐる際にはアミュレットを管理局職員に見せて自ら装着する必要がある。
全員アミュレットを装備したかのように見えたが
マリニキは異変に気付いた
「ない私のアミュレットがない。」
グロース
「それは大変だすぐに探そう、何か心当たりはないか?」
マリニキは押し黙っている。
ウルソム
「『探すのはいいけど、どこで無くしたの?』
マリニキ
「ごめん。初日に暗殺者に狙われたり、協商連合のやばい連中に襲われたりしたでしょそのどさくさで落としたかも。」
グロース
「探すと言っても滞在期間がな?」
イニエチェリ
「だったら管理局に問い合わせてみたらどうでしょう?
管理局がそういったこと把握していないわけがないと思います。」
早速、異世界ゲート付近の職員に問い合わせた
答はあっけのないものであった。
管理局職員
「紛失された場合は現地の旅行代理店で再発行してくれますよ。
私のおすすめはH.I.Mですね、あの会社は迅速に確実に対応してくれますからね。」
グロース
「では早速向かおう。」
東京駅最寄りのH.I.Mに向かい事情を説明
H.I.Mスタッフ
「では身分証と滞在許可証を拝見します。」
イニエチェリはバッグからカードを取り出して渡した
H.I.M
「確認しました、問題ありません。
アミュレットを無料で再発行させていただきます。」
マリニキ
「無料って気前いいね。」
H.I.Mスタッフ
「身分証を確認したところ旅行保険に加入していることが判明しました
よってアミュレット紛失も補償対象になりますので本日は無料で再発行させていただきました。」
イニエチェリ
「良かった良かった、これで異世界に帰れるわ。』
グロース
「対応抜群の旅行代理店だな素晴らしい。」
無事に異世界ゲートをくぐりウィラリアに戻った4人
それから数日が経過した。
休み時間食堂で山崎宗厳が話しかけてきた。
山崎宗厳
「『東京に遊びに行ったんだってね。
どうだった』」
グロース
「今回は士官学校公認の男女共同演習、楽しかったけど大変だったよ。」
山崎宗厳
「でも楽しかったでしょ」
グロース
「どちらかというと楽しい思い出が多いかな。
それと山崎、最近、日本人もちらほら見かけるようになったな。
もっともっと交流が盛んになるといいね。」
山崎宗厳は俯いて小声で
「うんやっぱり異世界はいいよね」
と呟いていた。
グロースは山崎に少し猜疑心を抱いた
(もしかして山崎は協商連合のスパイじゃ?)
そうこうしているうちに昼休みは終わろうとしていた。
食堂から次の演習地に向かう途中、先輩に出会った。
肌は真っ黒でさわやか、実直、純粋、屈託のない笑顔が特徴のフギン先輩である
フギン先輩はグロースに近寄り肩を組んで笑いながら
「グロース、東京どうだったやっぱりかわいい子ばかり多かったか?」
と訊いてきた
グロース
「『いえ、特に何も』」
フギン先輩はニヤニヤしながら
「そうか、今度は俺も一緒に連れてってくれよ。何か面白そうじゃん。」
グロース
「いいですよ、その代わり企画が通ったらの話ですよ。」
フギン先輩は満足(フギン先輩って協商連合のスパイだったりして)
と思いついたがすぐ
(バカか俺は、こんな人の良い人を疑うなんてどうかしている。)
と自分を戒めた。
こちらの世界に戻って以来、グロースはアイルさんの言っていた士官学校スパイ潜入疑惑について
どことなく心にひかかっていた。そうな顔をして去って行った。
グロースはフギン先輩の後ろ姿を見て
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