短歌二十首連作部門【壁の染み】

山田 詩乃舞

壁の染み


 泣き叫び 刃物を首に 押し当てて

 駆け引きだけど 半分本気



 他人ひとの子の 可愛さばかり 目について

 妬ましいから 死にたくなるの 



 許してよ どうせその人 不要でしょ

 朝ごはんすら 作ってないのに


 

 風を裂く あの鳥名前 なんだっけ

 忘れたけれど あなたに似てる



 音速の 壁を破って さらってよ

 そうでもなけりゃ 抜け出せないの


 

 狂い咲き 目にもの見せて やればいい

 後のことなど 知ったことかよ


 

 傷ついた そんな言葉で 傷つけた

 知らないままで 幸せだった



 つきさして 痺れるほどに 深くまで

 そんな言葉で 釣られるあなた



 目の前の 私の顔も 見ないまま

 スマホ見つめる あなたの非道



 男たち 蜜蜂みたいに 群がって

 その花毒と 知らせず嗤う


 

 死にたいの それでもなぜか 生きたいの

 毎日それを 考え泣くの


 

 深夜二時 明け方までの モラトリアム

 楽しい寂しい お遊戯時間



 梅雨時が ずっとこのまま 続いてよ

 晴れたら雨の せいにできない



 愛してる 狂おしいほど 大好きよ

 取られる前に 殺してあげる



 本当は 生まれてすぐに 決まってる

 そうじゃないなら 示してくれよ



 灰にして 海に流して さようなら

 思い出したの 母の遺言



 同じ星 見ているからと 旅立って

 ずっとわたしを 縛りつけるの



 横顔に 流れた涙 輝いて

 忘れられない 恋愛ドラマ



 嘘をつく 貴方は今日も 嘘をつく

 それでいいけど 忘れないから



 神様に 誓って二人 くちづけた

 なのにどうして 離れていくの


 

 

 



 


 

 

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短歌二十首連作部門【壁の染み】 山田 詩乃舞 @nobuaki_takeda

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