修仙勇者異聞錄

第14話：白湯で煮たエビ、豆腐味噌汁

深夜のラーメン屋台、群衆の会話が交錯していた。李飛星は複雑な気持ちで、幕府がまだ倒れていない時代に武士が街で刀を試し切りする話を思い出していた。

「ところで、もし本当に何も見つからなかったら、人を海に沈めるつもりか？」

「それは狂っているだろう。そんなことをしたら、誰が我々と協力するんだ？」

「それに、お前は海図を見ているだけだから、見つからなくてもお前のせいじゃないよ。」

「初めてこんな近くで接するから、色々と知っておきたいんだ。」

「文化人とはこういうものだね。飛星君じゃなくて、飛星さんと呼ぶべきだね。」

「気にしないで、自由に呼んでくれ。」

李飛星はその言葉を聞いて、苦笑した。

「飛星君、あまり考えすぎるな。我々は見た目が少し怖いかもしれないが、根は理屈が通るんだ。」

櫻井は言いながら、大きなチャーシューを箸で持ち上げ、口に運んで満足げな表情を見せた。

「結局のところ、みんな生活のために頑張っているんだ。誰だって少しでも良い暮らしをしたいんだ。」別の男も話に加わった。「今は規則が多くて、トラブルを避けるために、まっとうに商売をする方がいい。」

彼らも自分を「さん」と呼ぶのを聞いて、李飛星は幽蘭小姐のことを思い出し、どこか似た雰囲気を感じた。

「詫びとして、清酒をもう二本頼むよ！」李飛星は二人に酒をおごった。

深夜のラーメン屋台で、この異なる世界から来た男たちと少年たちが、熱々のラーメンを食べながら冒険の話をして、互いの距離を縮めていった。夜空に輝く星々の下、仁義と天道の出会いが化学反応を起こしていた。

李飛星が住まいに戻ると、夜は深まり、弥子は夢の中で安らかに眠っていた。息は穏やかで規則正しかった。

「でも、弥子を明日家に帰らせた方がいいかな…もし自分が戻れない場合を考えて。」

※

一夜明け、李飛星は寝ている弥子を起こした。

「うーん、どうしたの？」

「ここ2、3日、船に乗って海に出るかもしれない…」

「新しいイベント？」

「違う、宝探しに行くんだ。」

小狐は体を伸ばしながら、目をこすって体を動かした。

「それが嘘だと言ってなかった？」

「嘘だ…でも行かないといけない。」

李飛星はそれが人間の言葉ではないように感じた。

「複雑だな。私も行きたい！」

「ダメダメ、ちょっと危険だから、君を家に帰らせたいんだ。」

「嫌だ！」

「嫌だ嫌だ！」

彼の足にしがみつき、李飛星はどうするべきか分からなくなった。

弥子は李飛星を見上げ、何かを考えているようだった。

「ここで君が帰ってくるのを待っていればいいのに。」

「それでお腹が空いたらどうするんだ？」

「私は一緒にご飯を食べるのが好きなんだ！物を買うことはできるよ！」

弥子は怒っているようだった。

「まずい、彼女を子供のように扱ってしまった…」

「すごいすごい、弥子は賢いんだ。」

「ふん、この数日、幽蘭姐姐のところに行くよ。馬鹿飛星！」

「そうだね、幽蘭小姐に弥子を見てもらえばいい。彼女なら安心だ。」

「この数日、弥子は幽蘭小姐のところに行こうか。ごめんね。」

「ふん、噛んでやる。」

李飛星は狐の頭を撫でながら、そう言ったが、彼女の口調はさっきほど強くなかった。

「いい子だ、弥子。すぐに帰るから。」

小狐は口を尖らせたが、最終的には頷き、小さな声で「早く帰ってきてね」と言った。

「幽蘭小姐には本当に申し訳ないな。」

そう思いつつ、李飛星は早朝に幽蘭小姐の家を訪れ、弥子を数日間預かってもらうようお願いした。幽蘭はすぐに承諾したが、少し驚いていた。

「先生も海に金があると信じているんですか？」

「みんな宝探しに行って、大通りには誰もいない…海で少し散歩するのもいいと思って。」

「よく頑張ってるんです。」

李飛星は顔を赤くした。彼は一つの事実を理解した。「嘘は無数の嘘で支えられる。」

※

沿岸に浮かぶ船は福船で、これは性能の良い遠洋船であり、特徴は船首と船尾が高くそびえていることだ。一般的に喫水は約四メートル。尖った底と広い上部、船首と船尾が高く、全体は四層に分かれており、海上貿易や交通に多く使われる。

「どうして鎮守府まで出てくるんだ…」李飛星は目の前の大きな船を見て、複雑な気持ちで言葉を失った。

「宝探しのためにここまでやる必要があるのか？」

「一体どれだけの金がかかるんだ。」

「世の中が平穏なのも悪くないな、飛星君。」

櫻井は李飛星に声をかけた。

「幕府が倒れたのは悪いことじゃないかもしれない。」

「その言葉、どこかで聞いたことがあるな。」

李飛星は頭の中で考えたが、礼儀正しく応じた。

「我々はこの沙船の一団で、苦労しているんだな、兄弟。」

「大丈夫さ、いい経験になるし、久しぶりに外に出られるんだ。」

皆は頷き、余計な言葉はなかった。男たちの返事は行動で示された。装備を整え、航海の必需品をチェックして、全てが準備万端だった。櫻井の誠実な配慮のもと、李飛星も組織の服装に着替え、背中には大きな「仁義」の文字があった。

準備を整え、出発！

相濑海は近くの三つの島に囲まれているが、これは広大な海域のほんの一部に過ぎない。

今朝は少し暑さが和らぎ、海風が涼しく感じられた。碧い海水は波紋を広げ、李飛星は船の縁に立ち、皆と一緒に海図を分析していた。

遠くの海と地平線が交わり、船団は進み続けた。島々は徐々に遠ざかっていった。

航海は順調で、時間はすでに正午に差し掛かっていた。李飛星が知る限り、これらの船は一ヶ月分の食料と淡水を備えていた。どれくらい航海が続くのかは不明だった。

「わあ、こんなにたくさん捕れたんだ。」

「シンプルに煮るだけで美味しそうだね。」

櫻井は興奮し、李飛星に漁獲を見せた。李飛星も同様に期待していた。考え事をするとお腹が空くものだ。

宝探しのために来たので、捕れた魚やエビ、カニには特に制限はなく、自由に食べることができた。

シンプルに調理された

魚やエビ、カニは、海の新鮮さが詰まっていた。船員たち（実際にはヤクザの兄貴たち）は輪になって座り、昼食を楽しんでいた。白湯で茹でたエビやカニは、素材の持つ純粋な風味を引き出した。沸騰したお湯に入れて煮るだけで、過度な調味料は不要だった。塩ひとつまみや生姜の数片で十分だった。蒸気が立ち上り、エビやカニは青から赤へと変わっていった。

笑い声と波の音が混ざり合う。その瞬間、宝探しの緊張感は一時忘れられ、残るは兄弟の絆と海への畏敬だけだった。

※

「幽蘭姐姐、今日は何を食べるの？」

「多分、茹でたオクラと、大根、人参、豆腐の味噌汁、そして塩魚を白飯と一緒に食べるわね。」

「うーん…」