修仙勇者異聞錄

第3話:山に火をつける

李飛星は山を下りたとき、魔教の者に誘拐されました。すると、師兄が現れて助けに来ました。彼らの戦いで空間が歪み、林中の小屋で蘇雨という美少女に出会いました。彼女は数言話した後、彼に剣を渡し、彼は謎の場所に転送され、多くの霊体を目にしました。

なんとか安全を確保し、再びこの森に出ました。少なくともまだ生きているのだから、李飛星はそう思い、ため息をつきました。その後、長剣を握りながら静かな森を探索しました。

春の夜、空は高く月は明るい。月光が差し込み、少年はその道を見て前に進むことができました。歩き続けるうちに、李飛星は拉致された後、面を食べてから長い時間が経ったことに気付きました。

彼は腹が減り、身につけている袋を探しましたが、中の乾パンは葉楚楚たちに取られてしまったことを思い出しました。「これではどうしようもない」と彼は考え、野生の動物を捕まえることを思案しました。

「夜中に動物なんているわけないだろう」と彼は顔を揉み、自分を目覚めさせました。天剣峰の書庫にある本に書かれた野生の果物のことを思い出しながら、彼は歩き続け、高い草むらを抜けて、広大で清らかな湖水を見つけました。

「飯がないなら水でも飲むか」と彼は言い、大口で湖水を飲みました。その時、路辺の草むらがガサガサと音を立てました。彼は動物か人が来たのだろうと思い、運の悪さに再び身を隠しました。

予想通り、草むらが開き、数匹の緑色の小精怪が口を塞がれた少女を担いで現れました。彼は黙って小精怪が少女を近くの洞穴に運ぶのを見て、本に書かれていた仙人の妖怪退治の話を思い出しました。「これは生贄の誘拐だろうか？どうせ良いことではない。」

出て行こうとしたが、理性が彼を止めました。彼はまだ練気三層の剣修であり、あの小人のような精怪たちを相手に勝てるのか？「勝てるはずだ！」と思いながらも、踏み出すと後ろの草むらから音がしました。

李飛星は霊体に驚かされ、もう驚くことはないだろうと思っていたが、突然現れた茶色の大蜘蛛に再び立ち止まりました。「これはさすがに勝てないかもしれない…」

李飛星は剣に手をかけて動かず、考え込みました。大蜘蛛は何かを察知し、目を動かして辺りを見回しましたが、何も見つからず、そのまま洞穴に向かいました。

彼は静かにその様子を見ており、蜘蛛が通った道には粘つく白い蜘蛛の巣がありました。どうやらこの蜘蛛精も小精怪たちを見逃すつもりはないようです。

「見殺しにはできない！」と彼は思い、本に書かれているように、蜘蛛は食料を貯蔵するので、少女はまだ生きているかもしれないと思いました。「李飛星、お前は何を言っているんだ。これは明らかに妖獣だぞ、どうして動物のように扱えるんだ！」

李飛星は悩みました。「普段はこんなことが自分に起こるとは思っていなかったが、短い間にこんなにも多くのことが起こった。」

「飛星、剣は君子の兵だ。剣修の道を選んだのは君が剣を選んだのではなく、剣が君を選んだのだ。心を修め道を求めるのではなく、救世救民を目指せ。剣は折れても曲がらない。」李斬仙の師兄の教えが突然頭に浮かびました。当時、彼は師兄と毎日の練習をし、疲れ果てて昼食後には怪談小説を書いていたときに、師兄が彼に言った言葉です。

「どうして修行者が妖怪を恐れるんだ！師兄ならきっと彼らを倒すだろう！」しかし、彼は自分が弱いことを思い出し、背負っていた袋を触りました。

「！」彼は袋の中の硬い物体を触り、「これは火折子ではないか！」

「火を使うのはどうだ…だが、少女が燃えてしまうかもしれない。」彼は再び悩みました。「救おうとして逆に殺してしまったら、何の意味もない。」

「待てよ、俺は水の霊根を持っているじゃないか！」李飛星は少ない霊気を使い体を濡らし、火折子を取り出して蜘蛛の巣に火を点けました。

火はすぐに広がり、蜘蛛の巣は非常に燃えやすく、洞穴内の白骨の山を気にせず、火を恐れずに洞穴に突進しました。燃え盛る炎は大蜘蛛と精怪たちを包み込み、少女の体にも火がつきました。李飛星は躊躇せず、蜘蛛に向かって剣を刺し、霊気を使って少女の火を消し、彼女を抱えて逃げ出しました。

奇妙なことに、蜘蛛は追いかけてこず、洞穴の出口に到達すると、李飛星は少女を連れて湖に飛び込みました。

······

彼は少女を抱えながら湖の小島まで泳ぎ、ほっと一息つきました。「一時的に安全だ。」

そう言って、彼は自分が放った火が近くの草木を燃やしているのを見ました。

「少しやりすぎたか？」しかし、彼が火を放ったおかげで、報告を受けた地元の安防隊が彼と少女を発見しました。この地に駐留する安防隊は二人の洞明境の武者と一人の筑基期の水霊根修士を派遣し、森林火災を消し止めました。

李飛星は助けられ、安防隊の駐地に到着しました。その頃には夜が明けかけていました。同行した武者と修士は、彼の着ている玄天聖宗の制服を見て、詳細を知った後、彼に朝食を振る舞いました。

「お前は練気三層なのに、どうしてここに来たんだ？」中年の筑基期修士は少し呆れた様子で言いました。

李飛星は白粥を大口で飲み、豚油渣を食べながら、前日に天剣峰の麓にいたのに、その夜に突然移動する小屋に行き、そしてここに来たことを話したら、この前輩は自分を頭の検査に連れて行くだろうと考えました。

「私は…迷ってここに来ました…」彼は大口で白粥を飲み込んで答えました。

「それで、どうやってここに来たんだ？」男はさらに尋ねました。

「船で来たんですが、途中で船が転覆して、ここに漂着しました…」李飛星は彼が読んだ遊侠伝記の話を思い出して答えました。

「それは命がけだったな。」男はため息をつきました。

李飛星はお腹が満たされると、再び思考が巡り始め、この地の状況を知りたくて男に尋ねました。「前輩、ここはどこですか？」

「ここは、飛雲湖だ。」男は答えました。

飛雲湖？李飛星は迅速に思い出しました。彼は『鎮妖兵器譜』でこの名前を見たことを覚えています。

「なんてこった、私は神州の中心部から神州の東部の辺境の島に来てしまった！」

李飛星は驚いていましたが、男性は肩をすくめました。

「ふふ、君も知っているのか。この場所は霊気が薄く、神州本土と比べて貧しい地域で、修行者はあまり来ない。」

「では、先輩はなぜここにいるんですか？」

「恋のためさ。」

「ああ...わかりました、先輩も自由奔放な人なんですね！」

男性は少し考えた後、「若い友よ、ここに来たら修行の準備をしているかね？霊石や貨幣などは？」

「修行ですか...私は小説を書くためにここに来たんです...」李飛星は茫然とした目でスプーンを器の中で回しながら言いました。「最初はお金や霊石を持ってきたつもりだったんですが、なくしてしまいました。」

男性は沈黙し、額を押さえました。そして少しの銀貨を取り出しました。「節約して使え。これで半月は暮らせるだろう。」

「先輩、どうしても...」と李飛星は戸惑って言いました。

「受け取れ、私たちは共に修行者だ、出会いは縁だ。」男性は李飛星の手に銀貨を押し込み、「それに、何か生計を立てなければならないだろう。この近くには比較的繁華な場所がある、行ってみな。」

李飛星は中年の男性に深く頭を下げ、お辞儀をして別れを告げました。出口には村人や小さな女の子が立っており、彼を待っていました。

「ご恩を返すため、私と娘が一礼させていただきます。」二人はパッケージを手に李飛星に差し出しました。

「お気遣いなく、修行者は妖怪を見ても人を助けなければならない。当然のことだ。」李飛星は謙遜しながら言いました。

「小さな仙人、ご救助いただきありがとうございます。」父と娘は再びお辞儀をして、「これは私と妻が夜な夜な用意した乾燥食品と飲料水です。どうかご受け取りください。」

李飛星は食べ物が含まれていることを聞いて、受け取りました。そして二人に別れを告げ、中年の道友が指摘した繁華な地域に向かって歩きました。