獣人解放軍のお仲間です3
「もちろん協力します!」
「ありがとう」
「ただ……大丈夫ですかね?」
「何か心配でも?」
「いえ、顔がバレてるから……」
バーミットとその一味に顔がバレてしまっている。
活動するときにそれが枷になるのではないかとレオは心配していた。
「ふむ……心配はないだろう活動してもらうところはここから遠い。バーミットの目をごまかすために君が他のところにいるような工作も行うつもりだ」
「そうですか。じゃあ安心ですね」
「バレても我々がバックアップする」
「なら俺にやらせてください」
「お願いしよう、我らが同胞のレオよ」
トブルがレオの方に手を乗せて微笑む。
「クロウル、彼女たちを呼んでくれ」
「分かりました」
「彼女たち……?」
「人間だろうと獣人だろうと1人でできることには限りがある。君1人に全てを負わせる気はない」
「失礼します」
「あっ、ミカオ、フーニャ!」
クロウルに連れられて部屋に入ってきたのはミカオとフーニャであった。
「あっ、レオ!」
「ご主人様」
フーニャは嬉しそうにレオに密着するように体を寄せる。
モフっとしたフーニャの毛が腕に当たってモフポイントを2得られた。
「ずいぶんと仲が良さそうだな」
「うん、仲良し」
「それでどうして呼ばれたんですか?」
ミカオは解放軍であるのでフーニャほどゆるい態度は取れず、トブルの前で背筋を伸ばして立っている。
「そう固くならずともいい。君たちを呼んだのはレオをを補佐する仕事をしてほしいと思ったからだ。フーニャに関してはお願いだがな」
「し、仕事ですか?」
「そうだ。レオは正式に我々の仲間となった。そしてそのために仕事をしてもらうのだが仲間が必要だろう」
「まさか……」
「これまで一緒にいた君たちがふさわしいだろう?」
ミカオの尻尾がフリフリと動き出す。
レオは解放軍の仲間となった。
そしてまたレオと一緒に活動ができる。
クロウルはミカオの隠しきれない感情を見て小さくため息をつく。
フーニャはお願いというのは、正確にはフーニャはまだ解放軍の仲間ではなかったからである。
クロウルは先にフーニャのことを誘ったのだけどレオが入るなら入るし、入らないなら入らないとキッパリと言われてしまった。
「とうだ? やってくれるか?」
「レオと私は一緒」
「フーニャ、ありがとう」
フーニャがサラリと答える。
一緒にいてくれようとするフーニャはとてもありがたい。
「わ、私もやります! やらせてください!」
「ミカオ……」
「レオは……私がいないとダメなんだから……」
照れ臭そうにつぶやくミカオの尻尾は激しく振られている。
「なら君たち3人に任せよう。細かい計画などは追って伝える。もう少し体を休めていてくれ」
レオたちは部屋を出た。
クロウルはトブルと話があるらしくレオはミカオとフーニャに挟まれて歩く。
「2人とも一緒に来てくれるなんて嬉しいよ」
「当然」
「そりゃあ、だって助けてもらった恩もあるし、同じ解放軍だし、レオが戦うためには……モフるの、必要でしょ? 私とフーニャならもうそうしたこと必要だって知ってるし」
「長い」
「フーニャ!」
「そうだな、事情知ってくれてるミカオがいると心強いよ」
「え、えへへ、そうかな」
ミカオのミミがぴこぴこと動く。
もうレオに必要とされることの喜びが溢れている。
「よしよし」
「子供じゃないんだからね……」
そうは口で言いながらもミカオはミミをペタリと畳んでレオに撫でられるのを受け入れている。
「ご主人様」
「フーニャもか? はいよ」
少し屈んで頭を差し出すフーニャの意図を察したレオはフーニャの頭も撫でる。
なんだかんだレオも気心が知れた2人と活動できることになって嬉しさはある。
「獣人たちのために頑張ろう」
「私はご主人様のために頑張る」
「そこはウソでも獣人のためって言いなさいよ」
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