第23話 黄金の盾

 ダンジョンの階層ボスを倒すと現れた階段を使って地下一階層へと降りる。

 地下一階層の最初の十字路を右に曲がると突き当りで、そこで10体以上のボブゴブリンが待ち構えていた。

 地下一階層をうろつくゴブリンは少し体の大きな1階層の小部屋の主だったボブゴブリンのようだ。

 ボブゴブリンの持っている得物は1階層の小部屋の主と同じ石の剣や石の穂先を付けた槍で、これを使って攻撃してきた。

 こいつらを全て倒すと


『本日魔物1体を倒したので

 剣術・見習い・初級者レベル9

になりました。』


『本日魔物10体以上倒したので特別ボーナスとして

 剣術・見習い・中級者レベル1

になりました。』


と脳内アナウンスが聞こえた。・・・う~ん中級者レベル?・・・まあいいか初級者レベルは9までで次の中級者レベルに上がるようだ。


 ところでボブゴブリンを倒すとドロップアイテムは『石の剣』や『石の穂先の槍』『石斧』それに『皮製の貫頭衣』ゴブリンよりわずかに大きい魔石だ。

 石器時代のゴブリンなど相手にならん等と侮ってはいけない。

 石の剣でお助けルームで手に入れた魔猪の肉を切ってみると


『スパーッ』


と切れた。

 なかなかの切れ味の石の剣や石の穂先の槍、それに石斧だが販売価格が500円で使い勝手が無いしコレクションにする物でも無いので全て売り払うことにした。


 皮製の貫頭衣は俺の身体より少し大きい奴で身体に合わないが着替え用に魔法の袋に入れていく、あまり多くなれば残りは販売するか。

 それに皮製の貫頭衣は1枚当たり5千円で銅の剣と同額だった。・・・鞣革が5、6千円するので当然か。


 今回の地下一階層にもT字路の様な明らかに変わった場所があったので戦斧で


『ガーン』『ガーン』『ガーン』


と殴りつけて壁を壊したら壊した先の通路から黄金の盾を持った全身を鎧で覆った騎士風のゴブリン・・・ゴブリンナイト・・・面頬までついた兜をかぶっているがその隙間から緑色の肌をした醜悪な面構えが見える。・・・が向かって来たのだ。


 俺は守り刀を抜くと面頬の隙間に突きを見舞う。

 ゴブリンナイトは盾で俺の攻撃を受け流すように防ぎ、受け流した盾を使って攻撃してくる。

 さらに鎧の隙間に斬撃を放つとこれも盾で受け流して反撃してきた。・・・なるほど盾の使い方をこいつで教わるか面白い!


『カーン』『カーン』『コーン』『カーン』『コーン』


と俺は闘う程にゴブリンナイトの盾使いの能力を見切り吸収していく。・・・剣術の能力は伊達でない!


 戦いの時間は過ぎていくがゴブリンナイトに疲れは見られない。

 俺も体力には自信がある。


『カーン』『カーン』『コーン』『カーン』『コーン』


と何度目かのトレースしたように同じ動きをゴブリンナイトがする。

 これ以上はこのゴブリンナイトの盾使いの能力を見切り吸収することは出来ないか?

 さらに戦ううちにゴブリンナイトの動きを完全に見切った。

 ほんの僅かな間隙を突いてゴブリンナイトの兜と鎧の隙間・首に守り刀を突き刺した。


 ゴブリンナイトは光となって消えて黄金の盾が残った。

 盾は使わないからいらないか?

 販売価格も1億円だ!・・・ポチッとボタンを押す・・・のを寸前で止めた。

 異空間収納に入れて性能の方を見たら、この黄金の盾は俺の守り刀の様に大きさと形状が変わるという流石1億円もする優れものだ。

 ただ大きさや形状を変えるのに魔力を流し込む必要がある。

 魔力を流して俺の左腕に時計の様に小さくして装備したのだ。


 黄金の盾を試しに使ってみる。

 この地下一階層も十字路があり行き止まりの方はゴブリン・ボブゴブリンが湧き出すのでそこで黄金の盾だけ使って倒して行く。

 もう少し訓練が必要だ。

 その反対側の突き当りには小部屋がある。

 地下一階層の小部屋の主は銅の剣や銅の穂先の槍を持ったハイゴブリンだった。

 小部屋の主を倒すとハイポーションが入った宝箱が現れた。


 地下一階層には十字路が計8ヶ所もあり、そのうちの1ヶ所は魔猪が勝手に壁に激突して肉や毛皮、魔石を残すお助けルームだった。

 このお助けルームは部屋から外へ出て1日たつと使えるようになるようだ。


 残りの7ヶ所の十字路の右か左の通路のどちらか一方の突き当りには小部屋がある。

 この小部屋の主も銅の剣等を持ったハイゴブリンでこの主を倒すとハイポーションやポーションそれに毒消し薬が入った宝箱が現れた。


 残りの小部屋を全てクリアして通路突き当りの地下一階層のボス部屋もT字路の隠し通路から現われた奴と同じ装備、全身鎧の騎士風のゴブリン・ゴブリンナイトが待ち受けている。

 今度のゴブリンナイトは青銅器時代を脱したか?

 鉄で出来た穂先を付けた長い槍を持って向かって来た。

 長い槍の穂先を黄金の盾で逸らし、俺の持つ守り刀を添わせるように走り込んで騎士の鎧の隙間にそのまま守り刀を突き刺す。


 光となって消えた跡には宝箱が出た。

 その宝箱の中から死人でも生き返させる万能薬の


『エリクサー』


が1本入っていた。

 このエリクサーも売り払えば10億円以上の値段が付くとんでもない薬だ。・・・1億だ10億だとなんか金銭感覚が崩壊しそう。


『本日魔物百体以上倒したので特別ボーナスとして

 剣術・見習い・中級者レベル2

になりました。』


と脳内アナウンスが聞こえた。・・・う~ん中級者レベルが2にあがったか!

 今日一日で魔物も百体も倒してなんか疲れた。

 時間的にも休むには丁度良い時間なので魔猪の肉を食べて魔猪の皮を敷物にして一晩休むことにした。


 朝起きて日課の千本素振りをする。・・・基本は大切だからね!

 この部屋を出ると地下への階段が現れた。

 この部屋が階層ボスの部屋だったようだ。

 この階層では売れば1億円もする黄金の盾と10億円もする万能薬を手に入れたが次の地下二階層は小鬼のゴブリンのダンジョンだ本当に


『鬼が出るか蛇が出るか』


楽しみだ。

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