第21話 最初のダンジョン
今日は今からこの洞窟の奥へと続く道・ダンジョンの探検だ。
最初のダンジョンだと思うと肩に力が入る。
腰に守り刀や蛇の牙のナイフを差して手に戦斧を持って寝ていた窪みから立ち上がる。
短いこん棒は薪にするしか使い道が無いので寝床にした窪みに焚火にくべた残りを置いていく。
通路で魔物が涌く様ならダンジョンだと思ってホールから奥へと続く通路の入り口に向かう。
すると
『ヒタヒタ』
と洞窟の奥から向かって歩いてくる何体かの足音が聞こえる。
俺は奥へ通じる通路の入り口の右側に立って戦斧を振り上げて待つ。
待つことしばし夜中襲って来たのと同じ短いこん棒を持ったゴブリンが出てきた。
俺はそのゴブリンの頭目がけて戦斧を振り落とす。
「ギャワン。」
と一声上げるとゴブリンが光となって消える。・・・明るい中でゴブリンをまじまじと見たが緑色の身体に醜い顔、9歳児の俺より一寸低めで身長1メートル20センチ位か?
後続のゴブリンが
「ギャワ。」「ギャワワ。」
と喚きながら通路の奥へと逃げていく。
俺は倒れたゴブリンの魔石とゴブリンの腰巻を寝ていた窪みに置く。
また、元居た通路の右側に立つと。
「ギャー」「ギャー」「ギャワー」
等と騒ぎながら奥へと逃げたゴブリンどもが仲間を引き連れて戻ってきた。
声や足音から20体以上のゴブリンどもが向かって来たようだ。
先頭のゴブリンが通路からホールに出てくる。
その頭めがけて戦斧を振り下ろす。
切られたゴブリンが光となって消える・・・その間隙を使って次のもう一体が飛び出してくる。
もう一度通路から出てきたゴブリンの頭を叩き割る。
宮本武蔵も
「五輪の書」
で多数を相手にする時は一本道のように常に一対一の状況で戦えと言っている。
この奥へと向かう通路の幅は狭く人一人がやっと通れるような場所だ。・・・ただ天井は高い。・・・これなら兵士の戦斧を振り上げれる。
『今度は俺が攻め込む番だ!』
と思い定めて、俺は通路の状況を確認すると通路に踊り込む。
すると不思議なことに通路の壁に掲げられた松明に火が灯り薄暗い通路が明るくなった。
魔道具か?ここに住むゴブリンには反応せず、ダンジョン侵入者にのみ反応するようだ。
通路に明かりが灯った事から目を
その目を瞬かせた短い時間が仇になった俺の持つ戦斧の方の振りが早い。
『グシャリ』
とゴブリンの頭が割れて光になって消える。
次々と向かって来る短いこん棒を持った10体以上のゴブリンを倒すと
『レベルが上がりました。』
『本日魔物10体以上倒したので特別ボーナスとして
剣術・見習い・初級者レベル4
になりました。』
と脳内にいつもの若い女性の声が聞こえステータス画面が表示された。
~~~~~~~~~~~~~~~
種族 --(魔族とエルフ族の混血種)
名前 ボドヴェル・マリヌーバ・ジョー
年齢
魔王暦24562年1月15日生まれ 9歳
称号 放浪の王子・スライム惨殺者
レベル 31
使える魔法
身体強化魔法(固有魔法)
異空間収納(レベル数に応じる)
異空間販売・異空間購入(水のみ100円・能力購入1回に付き1億円)
能力
剣術・見習い・初級者レベル4
レベルアップ耐性
持ち物
守り刀
兵士の戦斧
大蛇の牙 2本
魔法の袋(中の品はステータス画面№2)
所持金 1億2548万3014円
と表示された。・・・『剣術・見習い・初級者レベル4』か、これは夜半ゴブリンの襲撃で上がってからダンジョン内で10体以上倒したところで特別ボーナスで上がったということか?・・・他にも特別ボーナスてあるのかな?・・・10体の次は百体か?
剣術の見習いから上に上がれば条件が変わるのか?
何はともあれ頑張って上げればわかる事だ。
その間に次から次へと前からゴブリンが
「ギャワワ」「ギャワワワワ」
と喚きながら向かって来た。
何体か倒しながら進むと、俺の進路の先に十字路が見える。
十字路の左手からゴブリンが飛び出した。
俺はそいつを倒して右に曲がると突き当りにドアが見えた。
その部屋に入ると石の斧と石の穂先の槍を持つ今までのゴブリンよりも頭一つ分ほど背が高いボブゴブリンと言う奴が二体向かって来た。
最初は石の槍を持つボブゴブリンだ。
俺の得物の長所を利用してボブゴブリンが突き出した槍を打ち落とし、さらに打ち落とした勢いを利用して戦斧を振り上げると頭をたたき割って倒す。
それを好機と見た石斧を持ったボブゴブリンが横から石斧で殴りかかってきたので、俺は戦斧を手放して腰に差した守り刀で抜き胴を決める。
二体のボブゴブリンが光となって消えた。
倒した後に宝箱が出た。
宝箱の化け物ミミックだと怖いので俺の持つ斧で開けた、中に銅の剣が出てきた。・・・う~ん石の斧よりは良いがなんかがっかりだ。
銅の剣は販売価格が5千円だった。
この小部屋の主を倒したのでセフティールームになったので一休みする。
昼頃なので腹が減った。
異空間収納に入っていたゴブリンの短いこん棒に火をつけて蛇の肉をあぶって焼いて食べた。
小部屋の主のボブゴブリンの住み家なので風呂は無かったがシャワールームやトイレまであるが・・・トイレは昔の肥溜めだ。
ボブゴブリンの寝床はあるが何となく不潔そうなので床に一角ウサギの毛皮を敷いて1時間ほど午睡をとる。
部屋から外に出ると扉が石化して入れなくなった。
通路にあれ程倒したゴブリンの魔石や腰巻、短い棒が無くなっていた。
ダンジョンがドロップアイテムを食べたのだ。
俺がダンジョンで死んだら食べられるのかな?
十字路の反対側に行くと行き止まりで目の前にゴブリンが湧いて出た。
ゴブリンの魔石をドロップした腰巻に放り込んで異空間収納に入れた。
短い棒は肉を焼くのに使うので腰巻に包んでこれも異空間収納する。
通路を進む間も何体ものゴブリンが湧いて出る。
短い棒だけのゴブリンは俺の持つ戦斧の柄の方が長いので瞬殺で倒しながら進む。
次の十字路が見えてきた。
今度も右側を進むと行き止まりでやはりゴブリンが十体以上湧いて出た。
調子に乗って何度も二つの十字路のゴブリンの湧く行き止まりを行ききして何体もゴブリンを倒したら
『本日魔物百体以上倒したので特別ボーナスとして
剣術・見習い・初心者レベル5
になりました。』
とアナウンスがあった。・・・やっぱり特別ボーナスはあったが・・・う~ん流石に疲れた。
まだ行っていない十字路の反対に行くと突き当りに扉があった。
その扉を開けて入った途端魔猪が向かって来たので身を翻すと勝手に壁に当たって光になって消えた。
倒れた後には『猪の肉』『猪の毛皮』『魔石』が出た。・・・う~ん宝箱は出なかった!
腹も空いたので猪の肉を食べて、一角ウサギの毛皮を枕に猪の毛皮を敷いて寝ることにした。
寝ながら猪の魔石を齧ったが苦いだけでおせいじにも美味しいとは言えなかった。
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