第19話 新たな能力を購入?

 所持金が1億7千万円もするアースドラゴンの甲羅を売って1億円を超えたところで能力購入等と言うものが加わった。


 能力購入・・・最初はランダムに能力を購入する。

 付与された能力は最高能力値・神の域になるまで次の能力販売はされない。

 その次もランダム販売され最高能力値・神の域になるまで販売は不可で、それを繰り返す。


と言うものだ。・・・どんな能力が手に入るかは運次第ということか?!

 持ち金は2億円を超えている。

 男は度胸・女は愛嬌・一か八かでポチッと能力購入のボタンを押す。

 所持金の桁が見る見るうちに減り、丁度1億分が支払われると・・・能力に・・・!


『剣術・見習い・初級者レベル1』


と能力が付与された。・・・前世で剣道を散々やり込めた俺がこの世界にきて『剣術』それも『見習い』で『初級者レベル1』かよ!・・・剣術なら切紙・目録・免許・印可となっているが?・・・それが見習いで初級者かよ!

 それを最高能力値である剣神までレベルアップしないと次の能力は購入されないのか・・・まあ買ってしまったものはしょうがない。


 レベルアップするには自己鍛錬か魔獣討伐・・・初級者は1日1体を倒す・・・か1億円を支払うと言うものだ。

 自己鍛錬は見習いの内は毎日素振り10回を一ヶ月振ればレベルが1アップする。・・・だと、前世でも今世でも毎日朝は千回以上は素振りをしている俺にとっては、ぬるい鍛錬だが・・・1ヶ月後に初級者レベル2になるだけか?魔獣討伐の方が効率は良さそうだ。

 ところで魔獣討伐て・・・なんだ1日何体も魔獣を倒してもこのレベルは1アップするだけか?


 一応素振りをしておこう、基本は大切だ。

 守り刀を使って10回と言わずいつも通り千回素振りをして気持ちを落ち着かす。

 戦斧の周り積み上げたスライムの魔石を数えると千個を越えていた。

 スライムの魔石は俺の小指の先ほどの大きさで大蛇の魔石は黒飴ほどの大きさだったのはお笑いだ。


 ところで討伐したアースドラゴンの魔石は?

 アースドラゴンの甲羅の後で出来た大穴に潜ってみたがふ・・・深い。

 今の俺の能力では穴の底まで潜る事が出来ない。

 あれだけスライムを倒したのにスライムが顔に張り付く

 スライムの魔石を掴み取って急いで水面に上がる


「フウ」


と一息ついてから河から上がると


『本日魔物1体を倒したので

 剣術・見習い・初級者レベル2

になりました。』


脳内アナウンスが流れた。

 河から上がると日が傾き始めている。

 しかしスライムを1体倒しただけで俺の能力が


『剣術・見習い・初級者レベル1』


から


『剣術・見習い・初級者レベル2』


となった。

 手に持ったスライムの魔石を


『ガリッ』


と齧ると黒飴の味が口一杯に広がる。

 スライムの魔石は食べたが腹は減っている。

 はやいところ寝床を探して、そこで異空間収納してある大蛇の肉でも食べよう。


 夕闇が迫ってきたのでねぐらを探そうとスライムを倒した小川から見えた洞窟を目指す事にした。

 俺は大蛇やスライムを倒した時に手に入れた大量の魔石がある。

 異空間収納でもこの数は入らない、どうやって持っていく?

 小遣いで貰った同一の通貨を小袋に入れると異空間収納ができる。

 それで俺は


『他に見ている人もいない、着ている貫頭衣でも使って大量のスライムの魔石を包むか。』


と貫頭衣を脱いで小指の先ほどの小さなスライムの魔石千個以上を包み込み、異空間収納に押し込んで見ると、出来た!異空間収納には


『貫頭衣に包まれたスライムの魔石1,212個』


と表示されている。・・・いちいち数えなくても良いのは楽だね。

 その他にもスライムが固まって大スライムになったのを雷撃で倒したのでどれだけ魔石があったかわからない。

 一度スライムの魔石を包んだ貫頭衣を出してスライムの魔石と一緒に大蛇の牙も入れようとするが入らなかった。

 やはり同一種のみなら出来るようだ。

 俺は戦斧を担いで洞窟に向かってブラブラと歩きだす。


「本当にスースーする。」


 素っ裸の俺の一物・逸物いちもつもブラブラ?


「あれ?おれの一物・・・逸物という程大きくなっていない?」


どれだけ大きくなっても9歳児では使う所は無い・・・それに精通前だ。・・・それでもレベルが上がると大きくなるのか?・・・等と馬鹿げた事を考えているうちに洞窟の入り口に着いた。


 そこには真黒な洞窟が口を開けて待っている。

 直ぐに入る前に火を起こすか。

 倒した兵士が火打石のセットを持っていたので有難く使わせてもらう。


 火が起きれば小枝にドロップした蛇の肉を刺して焼き上げて食べる。

 蛇の肉だと思うと・・・蒲焼・・・うなぎの肉だと思えば食える。

 まあ悪くない味だった。


 蛇の肉・・・鰻の肉!ウナギの肉は半分ほど残ったので異空間収納に入れる。

 いくら一物・・・逸物・・・が大きくなってもいつまでも裸でいる気はない。

 貫頭衣の代わりになる物を探す。

 大きな葉を持つ植物があったので、戦斧で切り倒して大きな葉で魔石を包んで異空間収納に入れてみる。・・・出来た!良かった!今度は


『葉に包まれたスライムの魔石1,212個』


と表示された。

 これで貫頭衣が着れる。

 貫頭衣を着直すと丈が短くなった?・・・一物だけでなく体も大きくなったようだ。


『さて?洞窟の中で休むか?外にするか?

 天気も悪くなりそうだ、洞窟の中にするか。』


 これだけ洞窟の開口部はでかいから中の空気は大丈夫だとは思うが念のために燃える焚火の枝を何本か放り込む。

 放り込まれた焚火の炎が洞窟内部を照らす。

 入った直ぐが広いホールのようになっており、さらに奥へと向かう通路が見える。

 その通路の奥の方は放り込んだ焚火の炎明るさでも届かない、洞窟は深そうだ。

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