第16話 蹂躙される人族の村
第三夫人の実父である近衛騎士団副団長・牛将軍は魔王に謁見して俺が連れ出されて件の捜査状況を説明し
『隣国マルク帝国(人族)によって誘惑された第一王子を救い出す。』
と言う大義名分を掲げ、魔王からも隣国マルク帝国(人族)の村に対する討伐の許可を得た。
魔王も
『ふん、兄とあの女との間に出来た偽りの第一王子の始末を牛将軍がしてくれたか、何でも良い第一王子を始末して人族、マルク帝国の村も
と考えて許可を与え
『尖塔に幽閉している兄にこれを話したらどんな顔をするだろ?
愛するあの女が毒殺されたと聞いて・・・泣きわめいていた姿は溜飲が下がる思いだったわ。』
と呟きながら尖塔に閉じ込めた同じ顔をもつ先王のもとへと向かうのだった。
一方出陣の許可を得た近衛騎士団副団長は
「魔王様より人族・マルク帝国誅滅(罪ある者を討ち滅ぼす事)の許可を得た・・・得たぞ!
出陣じゃ!」
と号令をかける
『ブオーン』『ブオーーン』
と角笛が吹き鳴らされて、城門が開かれるとまるで用意していたかのように軍馬に乗った完全武装の近衛騎士団や食料を満載した輜重隊が人族の村へと出撃したのだった。
進軍していく近衛騎士団は俺が殺した兵士が見つかった人族の廃村に向かう。
ここを占拠して軍を敷くとすぐそばの人族の辺境伯・・・ハインリッヒ辺境伯が住まいし治めている村に向かって軍をすすめ。
『魔王家の第一王子誘拐に手を貸した人族の村に鉄鎚をくだす。』
と言う宣戦布告が行われた。
当然身に覚えの無い村を支配するマルク帝国のハインリッヒ辺境伯が白旗を掲げて攻撃側の近衛騎士団を指揮する近衛騎士団副団長である牛将軍に面会する。
ハインリッヒ辺境伯は
「何かの間違いです。
我々は何もしていません。」
と訴えるも、近衛兵に身体を抑えられて牛将軍自らの手でその首が刎ねられた。
近衛騎士団は辺境伯の首を掲げて
「第一王子誘拐の主犯であるハインリッヒ辺境伯を討ち果たした。
抵抗する者は殺す。」
と言って村の城壁の門を壊して乱入した。
村で抵抗する者は殺され、残った者は捕らえられて奴隷の身分となった。
それはハインリッヒ辺境伯の家族も同様で、家族を守ろうと立ち向かった鎧を身にまとった母親も長男も切り殺された。
残されたのは3人の姉妹であったが、あまりの出来事に泣きわめきながら近衛騎士団に殴りかかった幼い妹達2人を玩具の様に切って棄てた。
それを生き残った美しい姉は涙を流して眺める事しかできなかった。
最後に生き残った姉は何の気紛れか純潔を守ったまま牛将軍に引き出された。
牛将軍はその美しい娘を見て
「人族ではあるがこの美貌だ・・・俺が玩具にするよりも魔王に献上してこの地位を安定させるか。・・・フフッ」
と言って魔王城に身柄を送った。
それを受け取った牛将軍の娘・魔王の第三夫人は
「父上は何と面倒な者を送ってくるのだ。
魔王の寵愛がこの娘に行けば妾の地位が不味くなる。
しばらく様子を見てから奴隷商に性奴隷として売り払ってしまえ。」
と側近の女官頭に命じた。
哀れハインリッヒ辺境伯の長女は魔王に献上される事なく後日性奴隷に落とされたのであった。
話は戻る、近衛騎士団所属の工兵部隊と輜重隊の隊員が廃村と蹂躙したハインリッヒ辺境伯の村に砦を築いていく。
その砦を築くのに蹂躙して捕らえられた村民達が奴隷として使われているのだった。
人族の国、マルク帝国に
人族の国、マルク帝国に対する橋頭堡が出来上がったのだ。
これにより近衛騎士団の評価が上がり、俺が魔王城から連れ出された2週間後には
『第二王子を王太子に任命する。
王太子を産んだ第三夫人を王妃に任命する。』
との御触書が城内、城外を問わず至る所に張り出された。
ついでに
『第一王子捜索の為に尽力し、今回の人族の村を攻略した功績により牛将軍を近衛騎士団長に任命し、牛魔将軍と名のる事を許す。』
との任命書と御触書が出された。
さらにその1月後には牛魔将軍は牛魔王将軍に昇格して軍務大臣にまで任命され、王太子と王妃二人の任命式がその2週間後行われた。
その際
『王太子、王妃の任命に際し、全ての
とさらなる布告がされた。
それに伴いポッチャリさん
「俺の誘拐の手助けをしていた者と捕縛していたが、王太子、王妃の任命により恩赦を与えて解き放つ。」
と魔王城の地下牢から出され保釈された。
保釈されたポッチャリさんは別人のように痩せ衰えていた。
エンマ様のもとに一度立ち寄った後ポッチャリさん
「いなくなったジョーを探しに行きます。」
と言って魔王城を立ち去ったのだった。
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