第8話 この世界
俺は魔族国国王・魔王の王位継承権第1位であり、王族に繋がる公爵家のエンマ様が後見している養い子である。
王位継承権第1位を好いことに後宮はもちろんのこと王城内を隈なく・・・近衛騎士が入場を制限するところ以外・・・探検して回った。
6歳児・・・前世では小学校入学時の年齢だ。・・・の俺の後ろを13歳・・・前世では中学校入学時の年齢だ。・・・になり少女から大人へと変わる途中で益々美しさに磨きがかかった美少女女官のポッチャリ(エリー)さんがお付きの女官よろしくついて回る。
入場を制限された場所は王様の居室と資料室・・・魔王国の収支決算等の資料や何冊かの本がありようだが・・・そして高い尖塔と地下室・・・地下牢があると言われている場所ぐらいのものである。
その俺がペタペタと住んでいる宮殿の柱を触っている。
石で出来た太い丸い円柱が何本も建ち並び、屋根も三角形の石造りである。
世界史の教科書にもよく載っている紀元前400年頃に建てられた古代ギリシャの建造物パルテノン神殿を思い浮かべてもらえばよい。
どの部屋も石造りで、ガラス窓は無い。
布を垂らしてカーテンのようにしたり、雨風が酷い日は木で窓を蓋をするのだ。
ただ円柱や三角形の矢切の部分には古代ギリシャのギリシャの神々を模した彫刻美術のような物は無い。
魔王信奉者が魔王を崇高な物としている事から宗教的な美術や音楽が否定され禁止されているのだ。
パルテノン神殿が建てられた紀元前400年頃は、日本で言えば弥生時代で稲作が始まったころである。
この時代と同様に服装は基本貫頭衣で、平民は貫頭衣を頭から被り、腰に荒縄巻くと言うスタイルだ。
身分が高くなると、別の布を肩からかけたり、腰に巻いたりし、大きな飾りのついたピンでとめる。
寒い時は毛皮をマントのように羽織るのだ。
王城でよく見かける近衛兵の服装は、頬を隠すヘルメット型の兜で頭部には真赤な鳥の羽が飾られている。
魔王国を表す紋章の付いた胸当てのような鎧を着て、左手に同様に魔王国を表す紋章の付いた大盾を持ち、右手には青銅の穂先を付けた長い槍を持って城内を闊歩する。
時代は融点が低いことから加工のしやすい青銅器の時代である。
俺が6歳になって身体強化魔法が発動できるようになってからは
「殿下は大の大人よりも力がある。」
と変な期待に応えるようにポッチャリ(エリー)さんの手を離れある程度の自由が利くようになった。
それで時々王城の外といっても城下町の内もブラブラと歩きまわるようになった。・・・ただこれも2時間以内に戻らないとポチャリ(エリー)さんの警護が付くよと言われているが、街角に見知ったポッチャリ(エリー)さんの顔が時々覗いている。
魔王城下は人種の
その中でも最も多いのが亜人種の魔族である。
亜人種の魔族の中でも例えば長い耳のウサギ族等は魔獣の一角ウサギの突然変異で誕生したと聞く、それ以外にも牛や虎、羊や犬や猫など同様に突然変異した魔族が闊歩して歩く。
その他にもポッチャリ(エリー)さんの母親はサキュバスで、サキュバスやドラキュラのような超自然的な存在もいる。
亜人種以外にも魔王と敵対する人族やドワーフ族もいるがラノベで有名な俺の母親のエルフ族は自分達の森にいてほとんど見かけない。
魔王城下は見ていて楽しい種族の博覧会だ。
その魔王城の城下街の色々な店をのぞく。
売られている商品の値段を見て歩く、ここで魔王城だけでなく周辺諸国の金の単位は『#』でドンと呼ぶようだ。
リンゴのような果物に『112#』だの、貫頭衣の古着に『5100#』だのと表示が付いている。
ちなみに1#=1円で小銅貨1枚だ。
貨幣は魔王国の紋章が入った全て硬貨で、小銅貨1枚=1#=1円、中銅貨1枚=10#=10円、大銅貨1枚=百#=百円、小銀貨1枚=千#=千円、中銀貨1枚=1万#=1万円、大銀貨1枚=10万#=10万円、小金貨1枚=100万#=100万円、中金貨1枚=1000万#=1000万円、大金貨1枚=1億#=1億円となる。
ちなみに俺は王位継承権第一位の王子で俺自身が直接もらう小遣いは中金貨1枚(1千万円)で、産まれてから毎月貰っている。
まさか大金貨で買い物に出るわけにいかないので町に出る時は中銀貨10枚と大銀貨5枚の他に大銅貨を10枚ほど皮袋に入れている。
町の中を歩くと貧民街ではなく高級住宅街にある露店で串焼きの肉を焼いていたので大銅貨5枚(5百円)で購入して、その串焼きを食べながらさらに歩き回る。・・・貧民街では何の肉かは知らないが中銅貨5枚(50円)で串焼きを売っているそうだ。
稲穂の様な看板が食料品店で、スプーンの様な看板が雑貨屋だ。
それらを統括する商業ギルドの看板は天秤の模様が描かれている。・・・天秤を看板にする割には不正が多いとかで商業ギルドに入ってまで仕事をする人が少なくなったと言う。
金床と鎚が描かれているのが鍛冶師の店だ。
ラノベでも有名な冒険者ギルドは剣と盾の看板だ。
冒険者は自己責任であり、子供でもできる仕事があるので、5歳以上ならだれでも登録が出来る・・・どうやらポッチャリさんも5歳で冒険者登録したがその後魔族とエルフ族の混血と言う縁で俺の母親の女官になっていたようだ。・・・が
『ギーッ』
と扉を開けるとギルド内で大喧嘩しており、受付・・・当然登録コーナーも閉められていた。
どうしても冒険者は腕一本で仕事をしているので気も荒くなるようだ。
冒険者登録は諦めて、好奇心旺盛な俺は城門の外に出ようとしたが、さすがに門衛をしている爺さん兵士に
「外は魔獣や獣が一杯いる。
危ないから一人で出ては駄目だよ。」
と止められた。
外に出れられないとなると外に出る場所を探す。
止められると外へ出たくなるものである。
思い出した・・・王城内の俺の亡くなった母親が元住んでいた愛妾の離れの城壁が一部階段状に壊れている。
俺は守り刀を背負い、身体強化魔法を使ってその階段を降りていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます