第7話 身体強化魔法発動

 俺が4歳になった時に偶然養い親になったエンマ様からこの世界の魔法についての講義を受けた。

 どうやら俺には魔法を使う為の元素・魔素を創り出す魔核が人よりも小さく、創られた魔素を流す魔路も細いようだ。

 基本的にこれでは魔法を編み出すことは出来ない。


 エンマ様に抱かれている俺より1歳下のシオリは夜だと魔素を創り出す魔核が蛍のように輝き、その魔素が明るく魔路を流れていくのが見えるのだ。・・・将来は大魔導士になる事が約束されている。


 俺はエンマ様から


「先ずは魔核や魔路を発達させなければ人並みに魔法も発動できない。」


と聞かされた。

 それからというもの毎日のように座禅を組んで魔素を感じるように訓練をする。・・・う~ん上手くいかないものだ。

 魔素なんて前世は勿論の事、今世では他人が使うのは見たことがあるが今までに感じたことが無い。・・・感じたことが無い物を探す、本当に手探りの状態だ。


 ポッチャリさんの魔法の発動の様子を見ていると、ラノベでよくある中二病的な詠唱は必要なく、イメージをすると水や明かりが指先からポワリと言う感じで出るようだ。

 感じたことが無ければ感じればよいではないか!

 それで一度ポッチャリさんに


「魔法を受けてみたいので、俺に一度やってみてくれ。」


とお願いして、火魔法は怖いので水魔法をお願いしたが・・・水の冷たさを感じただけだった。


 もう良く解らない?何時ものように座禅を組んで臍下丹田を意識して呼吸してみるが、概念が違うようだ。

 魔核があると言われる胸を心臓付近を意識しても上手くいかない。

 それならばと身体の腕や脚に魔素を集める事を意識して強化する。・・・いわゆる身体強化魔法を使ってみる。


 これは座禅ではどうも無理そうなので前世でも毎日のようにやり込んでいた素振り・・・守り刀を抜き素振りをする事にした。

 この守り刀、便利な刀で俺の思い通りの長さや重さに変化してくれるのだ。

 最初は短くて軽く、次第に長くて剣先を重くしていく。

 なにせ素振りは剣道馬鹿だった前世では最もやり込んだ動きだ。

 その動きの中で違和感を感じた部分に意識を集中する。

 早くなる、速くなる、しなやかにそして強くなる・・・イメージだ。


 身体強化魔法を使えるようにすると言う目標のもとに1年間汗水たらして素振りの稽古をした。・・・前世ではこれは当たり前の日課だったので苦にはならなかった。

 苦にはならないが身体強化魔法を使えるようにすると言う目標が達成できない!

 焦る気持ちを抑えつつ目標を立ててから2年と言う月日が流れ6歳になったある日、いきなり感覚が研ぎ澄まされて大の大人でも振れないような巨大で重い剣にした守り刀が軽々と振れるようになった。・・・う~ん?これが身体強化魔法か!?

 試しに身体強化魔法を使って庭に置いてある大石に手をかけると持ち上げてみる。・・・何だこれ張りぼての石か?・・・あまりにも軽々と持ち上がるので変な感じだ。


 俺があまりにも軽々と庭石を上げるのを見て


『剛腕王子』


と噂されるようになった。

 先代?・・・エンマ様の話ではいつの間にか入れ替わっている・・・とは言え魔族の統領の王様と美貌のエルフの間に産まれた俺は天使のように可愛い。・・・自分で言うかな。

 そんなはかなげで可愛い幼児が軽々と庭石を上げるのを見れば噂も大きくなると言うものである。

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