第4話 俺の名前はジョー

 俺に名前を付けて魔王が部屋から出て行った。


『俺はジョーとなって、ここでまずは十年間暮らせるのか?

 俺の出来る事など産まれて間もないので、何も出来ないのだが?』


等と思っていると部屋の扉が開かれ、黒色の貫頭衣をドレス風にして着た、黒髪で頭の両脇に魔王同様に羊の角が生えた、目に険があるのが玉に瑕だが、凄い絶世の美女が入ってきた。

 美女はどこか栞に似ている。


「おめでとうニーナ、子供が産まれたんですって。

 あら可愛い、金髪をした男の子じゃないの。


『ジョー』


というの?」


 俺の守り刀に手を出してチリチリと雷光を受けて少し驚きひるんでいたが


「まあ素敵な不思議な守り刀も持っているのね。

 魔法鑑定までの十年間は面倒を見てもらえるの、いい話じゃない。

 我が一族にの子がどのように育つかとても楽しみね。」


と言うだけ言って出ていこうとした。

 アレ?俺は彼女の頭に何か吹き出しの様な物が見える・・・?

 何だ?何だ!何か書いてある?日本語じゃないが読める・・・?


『エンマ・・・か?』


 どうやら彼女は今出て行った魔王の正妻でエンマ様と言うようだ。


『魔族の閻魔えんまのエンマ様か。』


等と思ってクスリと笑うと、部屋から出ようとしていたエンマ様がキッと俺を見て


「今、何かとても不埒なことを考えたでしょう。」


と言って俺の頬を指で突いて


「産まれたての赤ん坊が間違いよね・・・?!」


と言って部屋から出て行った。・・・少し怒った時に薄い黒い靄が出て見えた!


『危ねー!何だ、この世界は?』


と思ったが・・・しかし出て行ったエンマ様のが見えたのが気になるが・・・まあいいか・・・生まれたての赤子の俺では出来ることは無いからな。

 それよりもエンマ様が俺の頬を指で突きながら


「貴方は、本当はエルフ族と魔族の間の関係を良好にするため、エルフ族の族長の娘のニーナと魔族の現魔王の義理兄、前魔王とが結婚して出来た子なの。

 現魔王はニーナがとても綺麗だったので、前魔王を何処かに幽閉して現魔王となって奪ったのよ。

 貴方は本当は現魔王の子ではないのよ。」


等と耳元でささやいたことの方が重要だ・・・まあいいか・・・生まれたての赤子の俺では出来ることが無いからな。

 赤子の俺では・・・何度目の呟きだ、しかし赤子でも何が出来るか?これは今後の課題だな!?


 他に気になるのは、母親や侍女もそうだがエンマ様が着ている貫頭衣だ。

 一枚布に穴をあけ頭を出すだけのあれだ。

 これは裁縫の技術が無いのか?・・・それでも衣服を織る技術はあるようだ。

 しかし、エンマ様も母親もうまく貫頭衣をドレス風に着ているものだ。


 俺が産まれてから、ニーナは体調が悪いのか乳が出ない。

 それで、年嵩の女官があまり大きくもない乳房を出して俺に乳を与える。

 この女官は最近女の子を産んだとか言っていた。

 この年嵩の女官の他には若い・・・10歳ぐらいの少女のようなポッチャリした女官・・・頭の吹き出しでは名前はエリーゼで愛称は皆からエリーと呼ばれているが俺はポッチャリさんの方が良いのでポッチャリさんと呼ぶ・・・がいる。・・・う~んドス黒い靄が掛かった女官が今はいない?


「クッ・・・殺せ!」


ポッチャリした女官が俺の下の世話をしている。

 俺は生まれたてとはいえ、前世では大学を卒業して2年目の鍛冶師見習いで24歳の立派な成人男性だったのだぞ!・・・恥ずかしさで爆発しそうだ。

 ところでポッチャリさん俺のお尻を洗った水どこから出した?

 風が吹いて俺のお尻を乾かしている・・・風どこから出ている?


「クッ・・・殺せ!」


本日二度目の


「クッ殺」


・・・であるポッチャリした少女の女官が俺と一緒に露天風呂に入っている。・・・本当に恥ずかしさで爆発しそう!・・・俺、実は前世では童貞だったのだ!

 そんな俺がポッチャリさんと風呂に入っている!・・・恥ずかしい・・・いや嬉しさで爆発しそうなのだ。


 実はポッチャリ・・10歳の少女とは思えない実に素晴らしい体をしている。

 出る所は出て締まるところは締まっていたんだな!いわゆる


『ボンキュッボン』


と言うナイスバディだ。

 貫頭衣なんか着ているからポッチャリに見えるのだ。

 それよりボンキュッボンの最初のボンに挟まれて浮かんでいるよ俺!

 本当は死ぬほど幸せ・・・嬉しい・・・(社長)!


 今度もまた俺の体を風が吹いて水滴が吹き飛ばされる?

 ポッチャリが俺の方に手を向けている・・・そ、そこから風が出ている?

 魔法か!魔法か?俺にも使えるかな?


 しかしながら殺風景な部屋である。

 俺が寝かされている木で出来たベットだがマットレスの様な柔らかい敷布も無く硬い木にシーツ・・・獣の皮を敷いてあるだけで、上掛け布団も獣の皮だ。

 体調が優れないで俺の横で寝ている母親のベットも同様だ。

 それにチェスト・・・武骨な木で出来た三段箪笥だ。・・・いやいやニスなども塗って無く粗削りで触ると棘が刺さりそう!

 それ以外家具は無い。


 部屋の作りは石造りで組み上げられた大きな石と隙間を埋めるために泥が乱暴に塗り込んである。

 部屋の扉はチェストと同じで、これまた粗削りの木のドアであり、窓にはガラスも無く夜には木の蓋を閉め日中の日差しの強い時は獣の皮がカーテン替わりだ。

 この部屋には暖炉らしいものがあるが窓や戸を閉め切ったら・・・死んじゃうかもしれない!?

 明かりは蠟燭ろうそくではなく


「ライト」


という魔法の明かりで、持続時間は俺の体感では1時間ほどで消える。

 魔法の明かりが消えれば皆寝るようだ。

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