第2話 俺栞と付き合う
俺は高校生になり、垂れに高校の名札を付けて一般稽古に行った初日
『神崎』
という鬼瓦のような顔をした先生に突き技で転がされた。・・・屈辱だ!
それ以後その先生とはよく稽古をお願いした。
あれ神崎・・・鬼瓦が?美少女で中学の後輩も神崎?・・・とその時は思っていた。
中二病に患う事も無く、高二病にも患わず高校生活を送っていた。
俺が高校3年生の時、神崎栞が入学し、剣道部に入部した。
未だに栞の剣道は弱い。・・・俺基準だが・・・しかし、入学当初の学力試験で上位100人が張り出され・・・学年トップ!すげえな!
俺、聞くのも野暮、2番でもビリから・・・いわゆるブービー。
母親から目から火が出るほど怒られ担任の先生からも
「部活禁止で居残り勉強。」
が俺の状態になった。・・・俺は先生の目を盗んで部活へ逃げる日が続いた。
高校3年になって顧問が替わった。
剣道7段の定年目の前の爺だ、爺でも強い!強い!!
爺が顧問になった初日、俺は爺と稽古した。
立ち上がって
『さあこい!』
と前に出た瞬間、あれ天井が見える。
俺・・・空を飛んでいる。
爺が俺の出頭をとらえて突いたのだ。
その日以来、爺と血反吐を吐くほど稽古した。・・・俺が居残り勉強で逃げ出してきた日ほど凄まじい稽古をした。
稽古の稽の字はノ木偏に犬がヒ日・・・本当に犬のように這い蹲されて
「ヒ~ヒ~。」
言わされた。
爺は他の人には優しい、いや甘い、美少女に育った栞等にはいいタイミングで小手等を打たせている。
偶には俺にも打たせろ等と思ったら
「ヒェ~また突いてきたよ。」
俺も合わせて突くが、少し遅れたドスンと突かれて・・・空を飛ぶ!・・・またかよ!
おかげで今年は、団体戦はそこそこいい成績で、爺のおかげで俺は個人戦で全国大会にも行けた。
全国大会は初戦から九州勢が続き、3人目で力尽きた。・・・糞!高校3年・・高校最後の有終の美を飾れなくて残念でならない!
おかげでいろんな大学の先生から声をかけていただいた。
帰宅した翌日、高校剣道部の部活からは卒業した。
ちょうど祭りの日だ。
神社に全国大会に行けたこと等のお礼ついでに祭りに出かけることにした。
『ブン・ブン・ブン』
と蚊トンボか!暴走族か!五月蠅いのがここまで来ていなければいいのだが。
神聖な神域にやっぱりいた!
阿保面した特攻服を着た男が長い黒髪を赤いリボンで縛った浴衣の女の子にナンパしている。
いきなり阿保面男が女の子の浴衣の襟を引っ張って
「ちょっと来いよ。」
と言う。
女の子がその手を振り払おうとした弾みで、浴衣から女の子の白いブラジャーがこぼれ出て見えた。
女の子と目が合う・・・栞だ。
その時もう俺は阿保面男の浴衣を持つ手の親指を握りこむようにして押さえる。
阿保面男が
「痛ッ!」
と言って栞の襟を放し俺の手を振り払おうとする。
俺はその勢いを利用して逆手に回して阿保面男を投げ飛ばす。
俺は栞の手を取って走ってその場から離れる。
少し走って、栞が乱れた浴衣の胸を押さえながら
『ハアハア』
している。カワイイ!超カワイイ!!
俺と栞が稽古以外で初めて手合わせ・・・幸せ何テンパってるの俺・・・手を握った日で栞と付き合い始めた初日だった。
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