第6話 4月

4月になっても、相変わらず生活は苦しい


それはどちらかというと、体調という意味でもある


ただ、この時がなんのかんのと、一番楽しかったかもしれない


4月2日に、ちりめんじゃこが好きなゲームがローソンとコラボした


元から人の金でする買い物おつかいは好きなので、喜んで代行する


交換も積極的に参加した


田舎にいた時は、あんなに遠かったポストが、矢追町では801歩で届くし、何ならその圏内にもう一個ある


金券ショップなんかも、ちょっと工夫して時間を犠牲にすれば、行くことができる


バスは信徒パスがあるので、乗り放題だから、私のように身体が崩れかかっていても安心だ


とりあえずたくさんのローソンを巡り歩き、ちりめんじゃこが苦手なお菓子やら、投薬の関係で口に出来ないものは、実家行きだ


病識のないその友人は、コロナの陰謀論の次は、LGBT法案に夢中らしい


私から見れば時代遅れ、時代錯誤も甚だしく、討論されているだけで吐き気がする議題だ


なんで


なんで、今更


なんで、外国なんかに触発されるかのように


どうして、流行に乗るミーハーなんかのように


カミングアウトすることに勇気が必要かどうかは知らない


ただ私が言えるのは、当事者以外の人間でも、何かを打ち明けようとすれば誰でも勇気がいるし


何かを打ち明ければ、時代の波が味方するか―――


社会に拒否されるか


その気質に気づかないままに、キリスト教界隈も、LGBT運動一色になった


彼らはジェンダーとしてのLGBTについては理解しようとしたが


セクシャルについてのLGBTの理解は拒否した


元々キリスト教界隈で、何故かLGBTが盛り上がったのは


アメリカで人道に基づき禁止された「精神医療」である「転向療法」を用いて、


LGBTを「治療する」という団体が出され、それを世界中の自称リベラルが反発した、という感じだ


年度の初め、新しい語学の勉強…目まぐるしい日々に、いつの間にか私は、ここに来て一年経っていた


初めて、給料の前借りを頼んだ


新しいケースワーカーにも私の事業を理解してもらえたし


ちりめんじゃこを「全額負担自腹で指導する」という契約書を、クライアントに泣きついて書いてもらった


めんどくさい、めんどくさい、と言いながらも書いてくれたので、この人は比較的いい人だった


クライアントがちりめんじゃこに振ってくれた唯一の仕事は


デスクトップに向かうことすらできなくなった、ちりめんじゃこでは働けなかった


ちょうどメルカリでセールをやっていたので、奮発して8万のiPadを送った


「そんな損にしかならない仕事があるなんて信じられない」


ああ、私も信じられないよ


4万ずつ返す計画を組んでる私が、8万のiPadを買うなんてな!


とにかく仕事を回せば、食っていける


食っていれば、飢餓によるうつ状態にはならない


うつ状態にさえならなければ―――


必要なものはなんだ?


パン? ぶどう酒? それとも魚?


そんなものいくらでもやる


そんなものいくらでもくれてやるから


だから、だから、今度こそ…

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