断章 水仙

 生活保護法実施要領次官通知第9項曰く。


 保護の相談に当たっては,相談者の申請権を侵害しないことはもとより,申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこと。


 これについて違反しているものが、俗に「水際作戦」と言われるものである。


 日本国憲法第25条に、生存権が挙げられており、ここから社会福祉六法として、生活保護法が派生した。


 最近のニュースだと、ガーナ人が生活保護を断られ、裁判をするという例があるが、これは生存権の問題ではなく、生活保護法において、このガーナ人が「日本国民」ではなく、「ガーナ国民」であるからだろう。裁判費用は自腹なので、恐らく左翼弁護士に利用されている。


 生活保護法第1条曰く。


 憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること。


 この「国民」の解釈について、色々とやり取りをしているのではないだろうか。


 さて、それはそれとして。


 水際作戦が起こる理由について、説明しておこうと思う。


 「保護」という言葉が表すとおり、生活保護は本人が就職した後、何らかの要因で失職した場合、すぐに保護を再開させることが求められる。


 生活保護は働く意思が必要と言われるのは、この就職と、その後安定していることを最低でも3ヶ月、保護しなければならないからだ。


 所謂「不正受給者」のイメージがあまりにも強いのは世間一般の話で、行政側が水際作戦をする理由は少し違う。それは児童虐待防止法と似ているものだ。


 生活保護を受けているから働いていない、というのは、はっきり言って、健常者や就労者の妬みだ。


 働きたくないなら、その健康な体と取り替えて欲しい。

 障害者だって働きたい。働くには病気が邪魔だし、あの女のような差別も邪魔だ。


 ブラック企業に務めてエナドリ漬けでもいい。


 くれよ、その働ける体。

 自分で家賃払って、税金払って、年金の減額や税金の増減に一喜一憂できる、その体、くれよ。

 ボロボロでエナドリ漬けでも、うつ病1歩手前でもいいからさ。

 ぶっ壊れちまって、もう二度と元には戻らない私たちの身体と取り換えて。


 私たちだって働きたい。働いても働いても生活が苦しいのではなく、


 実際私は平素は月収1万に届くか届かないかをウロウロしている。さらに、私は、以前から事業をしているので、常に赤字だから、実質収入は無いに等しい。


 家から巣立とうとして、行き当たりばったりでどうにかなるようにするには、社会は複雑すぎて、資本主義に毒されすぎた。


 「人を殺す経済」とは、何も感情的な言葉ではなく、ローマ教皇フランシスコの競争経済についての発言である。

 私は寧ろ「人を殺させる社会」だと思うのだが、まあそれは健康な人達が使える言葉だ。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る