野犬の息継ぎ
電脳世界から現実世界に戻った私は、ダイヴァー・コクーンから戦略テーブルに戻った。
「敵のログイン地点はわかった。セクターYのアステロイドベルト。〈ヴィルグレーヴィア〉だろうぜ。全く、本当にお目にかかれるとはな」ファナナは振り返りもせずに言った。〈ダウン・サイド〉のダイヴァーを使って、オンライン囲碁をやっているようだった。五目並べしかわからない私にはどちらが優勢なのか劣勢なのかもわからなかった。
私は煙草に火をつけた。悪徳の煙が肺を満たす。「リーランドは?」
「コックピットじゃあねえか? アステロイドベルトは戦艦でも自動操縦じゃ進めないとかなんとか言ってたぜ」
星の間の沈黙。
「セイディはなんて? 会ったんだろう?」ファナナが沈黙を破った。
「別に何も」私はゆっくりと煙を吐く。「任せるってさ。俺たちに」
モニターに反射したファナナの顔は笑っているように見えた。
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