RESTART
なこ
プロローグ
私は27歳住所不定の無職。ヒキニートだ。
人生を後悔している真っ最中の酒に依存しているアル中ゴミ女だ。
つい5時間ほど前は住所不定ではない。
ただの引きこもり生活11年目となるベテランニートだったのだが、
気づいたら、親は死んでいた。気かづいたのは兄妹達が私の部屋に来て、怒鳴りながら知らせた。
兄姉妹達は怒って同然だった。なんせ、親の葬式にでなかったのだから。それに怒った兄姉妹達は私を家から追い出した。二度と家に来るな!この親不孝者!と妹に言われた。
5時間前、葬式当日、雨が降っていた。
私はいつも通り、パソコンでゲームをしながら酒を飲み、菓子を食っていた。いきなり、喪服姿の兄姉妹達に部屋に乱入され、絶縁状を突きつけられた。
無視して、酒を飲もうとした瞬間妹が木製バットで私がビールを持っていた手を叩き、命よりも大切な酒とパソコンを破壊した。
私はブチ切れし、妹を殴ろうとしたが、兄達が守り、私を殴り蹴り飛ばした。
長男は柔道をやっていて有段者。敵わないのも当然だった。
無様に泣きじゃくって事無きをえようとしたら、着の身着のまま家から叩き出された。まぁ、しょうがないなとおもった。
ズキズキと痛む脇腹と腕を抑えながら、とぼとぼと町を歩く。
家を後にした時の兄姉妹達の罵詈雑言が未だに耳に残っている。
聞くに絶えない暴言だ。
あの大人しい妹さえ、暴言を言っていた。ゴミを見るような目で私を見た。
これからどうしよう。
いや、頭ではわかっている。
バイトかなにかを探して、住む場所を見つけて、食べ物を買うんだ。
どうやって?
仕事を探す方法が分からない。
なんとなくだが、ハロワ?というところにいけばいいということはわかる。
が、伊達に十年以上引きこもっていたわけじゃない。
ハロワの場所なんか、到底わかるわけが無い。
スマホもなし。
それに、話は聞いたことがある。ハロワに言っても仕事を紹介されるだけだと聞いたことがある。
紹介されたところに履歴書を持っていき、面接を受けるわけだ。
公衆トイレに入り、鏡をみて、顔を見た。誰がこんなボロボロの女を受け入れてくれる?本当に酷い顔だ。
私だったら、こんな酷い格好をしている女を絶対に採用しない。
そもそも履歴書はどこに売っているのが分からない。
文房具屋か?コンビニ?
コンビニだったら歩いて行けばあるかもしれないが、金は持っていない。
もし、これらを買ってクリアしたとしよう。
運良く金が手に入って、服などを新しく新調して、履歴書と筆記用具を買ったとしよう。
そもそも、履歴書というものは住所がないと書けない。と聞いたことがある。
詰んだ。
完全に詰んだ。これから、どうすれば、いい。
とりあえず、公園にある水栓柱の水を飲んでベンチに座る。雨で濡れてるが関係ない。
「はぁ……」
雨がさらに強くなってきた、
もう、夏は終わり、肌寒くなってくる時期だ。
冷たい雨は容赦なく体温を奪った。
「もう一度、人生をやり直せたら、いいなぁ……」
雨が降っている空を見上げて、思わず言葉が溢れる
私は、生まれた時からクズ人間じゃなかったのよ。
裕福な家庭に次女として生まれた。兄が1人姉が1人妹が1人4人兄妹の3番目。
中学までは頭はそこそこ良く運動もそこそこ出来た。テストではいつも赤点はなかった。むしろ、上位にいた。友達もいて、私を頼ってきた。それが、嬉しかった。わかりやすいお調子者。
クラスの中心的存在で、カーストも上位。
家が金持ちだったため、友達とか自然にできた。おそらく、友達は「お金持ちだったから近づいた」と言うに違いない。
勉強は簡単だったから疎かにしていた。授業で真面目に聞いて、それで、できたから。
高校は女子校に進学した。高校も大丈夫だろうと安心していた。だが、現実は甘くなかった。私は中学までと変わらず友達もできた。授業は、ノートは書かずに話だけ聞いた。そして、テストの日。私は困惑した。なんだ……分からない……と内心で焦った。結果はもちろん赤点。初めて赤点を取ってしまった。
その日は親に酷く怒られた。親は高得点以外認めない人だ。勉強をしたが全く分からない。聞いていたつもりが聞けてなかった。なぜなら、友達も喋っていたから。それでも中学までは高得点を取れてたから。大丈夫と過信していたんだ……。ただ、、それが癖になっていて友達と喋り続けた。テストをやる度にまた、赤点……赤点……赤点……と親は呆れて何も言わなくなった。何も言わないのが1番ダメージに来る。
落ちこぼれた私は 吹っ切れて髪も染めて、酒とタバコに手を出した。深夜に外出し朝に帰る。学校をサボルを繰り返す。一応、私は兄の影響で柔道をやっていたから喧嘩には強かった。
また、自分の強さに過信していた私はこの辺で有名な不良に勝負を挑み、その結果フルボッコにされ、服が破れ、色々と見えて、私を柵に縛り、写真を撮っていた。
次の日、久しぶりに学校に行くとみんな私の方を見てなんだ?と思った。まぁ、珍しく来たら金髪になっていて、ボロボロの顔をしている私を見たらジロジロ見る。
担任が私に喋りかけ、職員室に呼び出し、パソコンを開き画面を私の方に見せた。そこにはネット提示版に私の裸が、載っていた。くそ……あいつら、やりやがった……ゆるせねぇ……!その日の夜、あいつらに会い、話した。やった行為は認めた。あっさりと。
私は勝手に体が動いてリーダーに殴りに行ったが、人数が多く、また、適わなかった。学ばない自分に笑った。今度は男共を連れてきて、私の体を傷つけた。
その日以来私は引きこもった。そして、追い出された。
嫌なことを思い出したな。あの傷は今も残っている。ベンチから立ち上がり公園から立ち去ろうとした瞬間目の前にフードを被って、ナイフを持っていた謎の人物が立って、私の方に走って向かってきた。やばい!と思って、逃げようとしたが間に合わず、謎の人物が持っていたナイフが私の脇腹に刺した。よろけて、地面に倒れ、その後は私を滅多刺しにした。足掻いたが力が出ず、時間が経つにつれ、力が入らなくなった。謎の人物は満足したのかこの場を立ち去った。周りは血の海が出来ていた。意識が徐々になくなっていくのが分かった。
(あぁ……死ぬんだ……)と心の中で呟き、目が半開きになったまま死んだ。
RESTART なこ @itoha_shinomoya
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