第4話 石丸伸二氏は「モンスタークレーマー」なのか?

<弁護士から「モンスタークレーマー」といわれた石丸伸二氏>


弁護士の紀藤正樹氏によると、石丸伸二氏は2020年に実施された広島県の安芸高田市長選の選挙ポスターに未払いがあった問題で敗訴が確定したようです。


石丸伸二氏は、2020年の安芸高田市長選で初当選したが、この時に製作した選挙ポスターをめぐって、広島市の会社が代金の未払いがあるとして約73万円の支払いを求めて提訴。最高裁は、石丸氏側の上告を受理しない決定を出し、石丸氏に約73万円の支払いを命じた一、二審判決が確定しました。


弁護士の紀藤氏は「最高裁判決を前提とすると石丸氏は、ほとんどモンスタークレーマー」と敗訴が確定した石丸伸二氏をバッサリと斬り捨てています。



<NHK党の石丸伸二氏を利用した姑息な作戦とは?>


東京都知事選で注目を集めたのが「NHKから国民を守る党(NHK党)」です。

候補者24人を擁立し、掲示板のポスターの枠を一般に売却して、報道でも大きく取り上げられました。


都知事選挙に立候補するためには供託金として300万円が必要です。得票が有効投票数の1割未満だと供託金は没収されます。これは当選を狙う意志がなく、売名のためなど無責任に立候補するのを防ぐための制度ですが、供託金制度の実効性は低いといえます。


NHK党の立花孝志党首は以前の取材で「都知事選は注目度が高く、宣伝効果は数千万円に匹敵する。300万円を支払う価値はある」といっています。


NHK党が擁立した24人の得票数は合計で11万2081票で7位相当、有効投票総数の1割に達せず、供託金の合計7200万円はもちろん没収となります。NHK党は、1000~1500カ所程度のポスター掲示枠を販売しましたが、利益は出ていないようです。


さて、11万票も獲得して善戦したように見えますが、実はここに姑息な作戦があったのです。


NHK党関連の候補者でもっとも得票数が多かったのは、アディーレ法律事務所の創業者、石丸幸人氏です。全体の中で8位となる9万6222票を集めました。


NHK党の立花党首は記者会見で、「皆さんも(下の名前を)覚えていない。50人ぐらい候補者が並ぶと、『石丸』(を見たら)『幸人』か、と思って書く人がいる」と書き間違いを狙う「戦略」を語っていたのです。


YouTubeでも「有権者の12人に1人ぐらいは、石丸伸二さんに入れたかったのが、石丸幸人さんに入れてしまったのではないか」と語っていますので、「書き間違い」を狙っていたのは間違いありません。


他のNHK党関連の候補者の得票数は、ほとんどが1000票に達しておらず、9万票以上を獲得した石丸幸人氏の得票数のうち、本当の支持者は何人いたのか、疑問は残ります。


また、石丸伸二氏サイドから見れば、もし小池百合子氏との得票差が僅差だった場合、この「書き間違い」戦略は無視できなかったでしょう。今回の都知事選は、数多くの課題が浮き彫りになった選挙といえるでしょう。



<おまけ:開票率0%で「当選確実」はなぜなのか?>


テレビの選挙特番では、投票締め切り時間の直後に、まだ開票率0%の状況で「当選確実」と発表します。


ネットでは、開票率0%で「当選確実」が出るのは、何か裏工作があるのか、出来レースではないかという意見も見られました。


もちろん違和感はありますが、出口調査と統計学を用いて、開票率0%の状況でも「当選確実」を発表できるのです。


特に今回のように圧倒的な得票差がある場合は判断しやすいでしょう。当然、過去の選挙では開票が進んでも、なかなか「当選確実」が出ないケースもありました。


このご時世に裏工作や出来レースなんて、できるわけないやんと筆者は思うのですが、陰謀論が好きなのか、情報リテラシーがないのか、考え方が浅いのは問題です。疑問に思ったら、妄想のような考え方はやめて、納得できるまで調べて欲しいですね。

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