第2話 石丸伸二氏が公約発表、どうなる都知事選!?
前安芸高田市長の石丸伸二氏が、立候補を表明している都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)の公約を、6月17日に都庁で発表しました。
三つの柱として掲げたのが
・政治再建
・都市開発
・産業創出
「政治再建がすべての基本であり根本。政治が三流であれば、経済も三流に落ちていく」と主張し、民意を集約して「ばらまき政策」を一掃すると訴えています。
また、都市開発としては「23区内の過密が特に顕著」で「多摩格差」の是正や防災の充実などの必要性を強調しています。
※「多摩格差」とは、特別区である東京23区と、後発的な多摩地区の市町村との間の社会経済格差
産業創出としては「最も成長する分野」として「教育分野に投資をするのが一番の成長戦略」と述べています。そして、都以外の46道府県との協調強化なども盛り込んでいます。
石丸氏は「この混沌とする日本において、社会を立て直していくのは何よりも経済の力」であり、「東京から経済強国として生まれ変わる日本を切に願う。そのために、まずは東京を動かしていこう」と呼び掛けています。
樹木伐採に批判がある、明治神宮外苑地区で三井不動産などが行う再開発計画については「そもそも民間の開発事業で、東京都ができることは提案、そこまでだという認識でいる。これを全部ひっくり返すのは極めて難しい、むしろ混乱を招く」と述べています。
2期8年にわたる現職の小池百合子知事(71)の都政への評価については
「一概に悪いとは言わない。批判を恐れるスタンスは政治的には正解だと思うが、そういう政治には用はない」と指摘し、「賛否が分かれる問題を扱うために我々は代表者を選ぶ。賛否が分かれることから逃げないことが、何より本当は必要だったのではないかと思う」と述べています。
【都知事選には50人以上が立候補を表明していますが、マスメディアで取り上げられるのは現職の小池百合子知事と蓮舫参院議員(56)がメインで、二番手として石丸伸二氏と元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)の名を挙げるのみです。与党と野党の対立構造として分かりやすい形で報道していますが、有権者を二者択一に誘導する情報操作や偏向報道に近いものがあります】
もちろん、マスメディアとしてもすべての候補者を平等に取り上げられない事情があります。
その一つは「NHKから国民を守る党」です。
N党は東京都知事選に24人の候補者を擁立し、選挙ポスター掲示板で割り当てられる最大24枠のポスターを貼る権利を販売する方針を示しています。
立花孝志党首は6月16日、YouTubeで、ポスター掲示板について「ネット時代にベニヤ板に紙のポスターを貼るのはやめるべき」とした上で「いろいろな種類のポスターがドーンと貼られると面白い。多くの人が選挙に関心を持ち投票に行けば万々歳だ。選挙をフェスにする」と語っています。
立花氏は24人が出馬する理由を「都知事になろうと思ってやっている活動ではない」とし、「選挙は政治的な目的を達成するためにやる。NHKにお金を払わない人を増やし、NHKをぶっ壊すためだ」と述べ、NHKの政見放送を「ジャック」する狙いがあると説明しています。
もう一つが「つばさの党」です。
代表の黒川敦彦氏、幹事長の根本良輔氏、幹部の杉田勇人氏の3人が、衆院東京15区補選で他陣営の演説を妨害したとして、公職選挙法違反の疑いで5月17日に逮捕されています。
しかし、黒川氏は東京都知事選への立候補を表明しています。根本氏も立候補を表明していましたが、取り下げる意向のようです。
逮捕されていても罪が確定していないので立候補は可能で、保釈されると選挙運動も可能になります。また、勾留されていても関係者が演説をすることは可能のようです。
代表代理の外山麻貴・埼玉県朝霞市議は6月13日、東京都庁で記者会見し「行き過ぎた面があったことについてはお詫び申し上げる」と述べていますが、都知事選では「逮捕されないように前向きな活動をやっていく。(各候補者に)拡声器は使わずに、普通に質問しに行く行為まで、おかしいという道理はない」と話しており、妨害行為と選挙ビジネスを展開する可能性があります。
【N党やつばさの党の出現によって、改めて法律的な整備が求められています。法律として明文化せずとも、今までは常識や良識の範囲で対応できていました。しかし、インターネットの普及によって、少数派の意見を集約して活動することが可能になっています。もちろん、社会的に不当な扱いを受けている少数派の意見なら取り上げるべきですが、動画の収益目的のために過激な選挙活動をするのを許すべきではないと思います】
【さて、本題に戻ります。石丸伸二氏は地方の市長を経験したことで、東京都とそれ以外の自治体との格差を痛感したようです。公約や発言からは、日本全体を良くしたい、東京一極集中を是正したい、という思いが伝わってきます。それは東京都以外の国民にとっては応援したいことですが、東京都民は都民ファーストを訴える候補者に投票するでしょう】
【かつて、大阪では「大阪都構想」が維新の会によって議論され、その是非を問う投票が大阪市民に対して実施されました。大阪市も東京23区のように、関西では一極集中状態であり、大阪府と大阪市の二重行政の無駄があることが問題視されていました。大阪市以外の大阪府民は二重行政を解消して欲しいと考える人が多くいましたが、大阪市民は市民ファーストの行政を望んだため、「大阪都構想」は実現しませんでした】
【石丸伸二氏が掲げていることは「大阪都構想」の議論と似ているところがあります。東京都民が、全国民のために犠牲になることを望むとは考えられません。素晴らしい公約と理想論を掲げても、東京都民に選ばれるためには、東京都民の暮らしが良くなることを、もっとアピールしなければ当選は難しいでしょう】
【ちなみに「大阪都構想」の投票後、大阪市民の感想で多かったのが、大阪市がなくなって大阪都になると区が再編成されるため、慣れ親しんだ区の名前が変わってしまうのが嫌だ、というものでした。あまりにも論点がズレていて、大阪市以外の大阪府民はガッカリした人が多かったと思います】
【まもなく、現職の小池百合子知事と蓮舫参院議員が公約を発表する予定です。テレビや新聞では、候補者はこの二人に絞られたような形で、二人の公約を比較しながら解説することでしょう。東京都民の皆さんには、マスメディアに誘導されることなく、しっかりと候補者を見極めてもらいたいと切に願います】
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