信じ続けた先

釣ール

せめて最期のご奉公を

 まっとうなパートナー。

 俺に相応しくないとかつての友はわらうだろう。


「好きだね。読書。」


 好きじゃない。

 教養ってやつを読書でしか知らないから。


 君が趣味に熱中できるように。

 俺も何か一つだけだとしても、やり遂げたい願いがあるから。


 信じ続けられる気力もなく、裏切りだけをお互い繰り返す。

 どれだけ病んでも男には誰も声をかけない。

 だが彼女だけは違った。


 やはり一般論だけにしたがってる者はかたよっていて独善的。

 そして色欲しきよくのコントロールも出来ていない。


 俺は周りが馬鹿だと彼女に伝えていた。

 趣味を楽しみながら軽く聞き流してくれる彼女は本当に前向きで素敵だ。


 今まで出会ったクズ達とは全く違う。

 偽善者は金と異性と人に見せられる幸せだけで成り立っている。


 特技は綺麗事と暴力と群れること。

 どの国でも行われてきた信頼の元、同じことを繰り返して力に頼り、孤独と村八分を恐れ、相手に自殺をほのめかす。


 強者を望んでるわりに日本国内に住むクマやウシガエル、アメリカザリガニを見ては法律のもと駆逐している。

 さらにそれを世界配信で金儲けに利用して。


「くだらないよね。右をならえの人々は。」


 たまたまSNSで知り合った彼女は今も昔も変わらないこの狂った村社会に自分の意見を言える人だった。


 エゴの正当化。

 本能の美化。


 ふん。馬鹿らしい。

 笑顔の裏に犠牲あり。

 なら幸せ望んでんじゃねえ!


「みんな信じることが救いだと内心では思ってるんじゃない?

 死にたくない、堕ちたくない、ああはなりたくないって私も貴方も思ってる。

 そこに答えはなくてどっちもどっち。

 だからかな。

 葛藤を発信してくれた貴方に会ってみたくなった。」


 これは恋じゃない。

 賛同者としての関係だ。


 でも世界で一人しかいないと思い込んで砂漠を歩いた先で、本当に善悪も他意たいもない優しさに触れた経験が出来たみたいだ。


 二人でこの世はおかしいと指摘しながらいつも読書をしている。


「二人で世界に別れを告げよう。」


「その時はお互い心境に変化があるかもしれない。それでもいいの?」


 ああ。

 構わない。


 誰かをあざわらう年齢でもなくなった。

 かつての人間でも逃げられなかった現実に立ち向かわなくていいと言ってくれる君がいるから。


 これがエゴか。

 だから思い込むんだな。

 本能に。


 もう目の前の糸にすがらない。

 救いは自分達の道でつかむ。


 だから今は目の前に集中しよう。

 それが今できる選択だから。

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信じ続けた先 釣ール @pixixy1O

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