第9話 引っ越し
アビュー雪原へ到着したヘルン達兵士一行。
ヘルンはレイスから貰った透明な球体を取り出した。
「これを壊せばいいんだっけか……」
ヘルンはそう言うと、その透明な球体を親指と人差し指で挟み、力づくで砕いた。
すると直後、吹雪は突然無くなり、その奥から一人分の人影が現れた。
「久しいですね、ヘルン殿。」
レイスはあの時と同じ仏頂面でそう言った。
「あれ、エレナ殿は……」
「ああ、エレナには小屋の処理をお願いしています。」
直後、ボウッっと何かが燃えるような音がしたかと思うと、その奥にあったであろう小屋は燃えていた。
「あ、あ、あれは一体……というかエレナ殿は!?燃えてませんか!?」
「ああ、大丈夫ですよ。どうせあれはエレナには燃え移らないですし。」
慌てふためくヘルン。それに対して、いたって冷静なレイス。
しばらくすると、エレナが奥の方から青や水色、白が混じった動きやすい服を着てやってきた。
「レイス、処理は終わったわ。」
「ありがとう、エレナ。」
淡々と処理を終わらせたことを報告するエレナ。
「えっと……小屋は燃えてますが……あれが、処理なんでしょうか?」
兵士がそう聞いた。するとエレナはにっこり笑って、
「ええ、アレが処理ですよ。あの炎は決して燃え尽きません。そして私とレイスは絶対に燃えません。そういう炎です。」
と言い放った。
「そしてなにより、あの炎に触れたが最後、私が決めた人以外は簡単に燃え尽きてします。決して、触れないように注意してくださいね?」
エレナはこの3/4ヵ月でバスキー漁についてレイスから聞いていた。
エレナは何よりも自分の
レイスなら自分が何時、何処で作った住処でも全然welcome!な感じなのだが、完全な他人だと、もう触れられるのも嫌で今までの住処にはすべて「
「はぁ……分かりました……」
エレナに聞いた兵士は今年のバスキー漁の護衛だったのか、小屋を物惜しみな目で見ていた。
「あのなぁ……トッド、この二人があの小屋を俺らに貸し出すことなんてあるわけないじゃないか。お前は忘れたのか?あの時、ここを離れない理由に占拠される可能性があるから、と言ってたのを。」
「そりゃぁ……そうですけど……」
兵士は渋々、といった表情で引き下がった。
「それではレイス殿、エレナ殿。しばらくは徒歩ですが大丈夫でしょうか。」
「当たり前でしょう。逆に登るのはできて降りるのが無理なんてことありますか?」
レイスは何を言ってるんだこの人は、という表情をヘルンに向ける。
「二、三日ほど歩きます。いかんせん、麓が遠いので。」
そりゃそうか、という表情を浮かべたヘルンは、一応どれだけの日数をかけるかどうかの説明をする。
頷いた二人は兵士達と共に麓まで下りて行った。
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読んでくださった皆様に最大限の感謝を。
コメントやフォローをしてくれるとすごく嬉しいです。
あの……本当にコメントお願いします。少しでも思うことがあったらコメントしてくれると本当にありがたいので……
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