第8話 兵士団一行の気付き
「思いの
ヘルンは宰相からの手紙でレイスを王国の客として招き、学園に入学させる案が通り、その許可が二日もしないうちに出たため、驚いていた。
「まぁいいか。おい、おめぇら、支度しろ!アビュー雪原に向かうぞ!」
「……ほんとに行くんすか。」
「行くしかないだろう、何を言ってるんだ。」
ヘルンは一人の兵士からの言葉を受け取り、そう言った。
「だって、あのガキは!……すいません、あの少年は問題児だったとはいえ、俺たちの仲間を殺したんです。不安感を抱くのは当然でしょう。」
「それはもっともだが……どっちにしろ、あの少年と関わることは分かってるのか?」
ヘルンはその兵士を諭すように話した。
「例えば、この状況で放置したとしよう。」
「ええ。」
「そうすれば、今年のバスキー漁はできなくなる。すると必然、物価は上がる。他国との貿易で
「……」
兵士は苦い顔をしてしぶしぶ頷いた。
「貴族様はそれが許せない。そうなるとあの少年の小屋を襲うことになるわけだが……あのウェリーを殺した謎の力がどんな力か分かるか?」
「分かりません……」
「んじゃあ複数人に使えるかもしれない。結局一度最初にやり玉にあげられるのは俺たちなんだ。それだったら、平和的選択肢を選ぶのが一番だろう。」
「それじゃあ、早々に少年の嫁といっていた……あのエレナという狐の獣人を誘拐でもすれば……」
兵士は
「あのなぁ、なんでわざわざ虎の尾を踏みに行こうとする。第一、あの少女もあんな吹雪を展開できるほどの何か……おそらく魔法だろうが、を持ってるわけだ。彼女がこちらに対して友好的ならともかく、少年とは近年稀にみる絆をもった夫婦だ。あいつが嫌がるようなことをさせるわけ無いだろ。」
そこまでヘルンが言うと、完全に兵士は納得し、旅の支度を始めた。
「あ、あとな。」
支度を始めた兵士達に対して、ヘルンは言う。
「多分だが、あの少年は"敵"じゃなければよっぽどなことはしないと思うぞ。実際、あの少年が怒ったことといえば殺意にも近い感情をもったウェリーに対してと虐待されてたっぽいレチューとの関係性を示唆されたとき程度だったからな。第一、俺たちは無断であの小屋に入ったんだぞ。」
ヘルンがそう言うと兵士たちはあの時のことを思い出す。
「「「「「確かに」」」」」
満場一致でそう言った。
確かによくよく思い出してみれば、レイスが明確に怒ったタイミングというのはその二点ぐらいしかなく、他のときは横柄な態度ぽかったが他の盗賊団のような完全な悪と比べればよっぽど温厚だった。
それに考えれば、家に帰れば知らない大の大人十数人が現れたのは警戒するのに十分すぎる要素だし、突然連行されようとしたら抵抗するのは当たり前だろう。それが警戒と合わさって「殺す」という判断になっただけで。
特にあんなにも優しい目を向けていた
「……全員、納得したようだな。このままじゃあの少年にとって俺らは不法侵入した挙句、突然この小屋から出てけなんて言った鬼畜野郎どもだ。
その言葉を受けて完全に兵士一行はこちらが悪いことを自覚し、あの少年への不安もほぼ払拭された。
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読んでくださった皆様に最大限の感謝を。
コメントやフォローをしてくれるとすごく嬉しいです。
今回は試しに後書き部分の感覚を開けてみます。
あのウェリーは問題児の名の通り血の気が多かったので、レイスには殺意にも近い感情を出してました。
そして、この世界はこっちの世界と違って命が大分軽いため、家に泥棒などが入れば家主は普通に剣などの武器を持って殺してから兵士団に突き出します。
ので、この世界的にあの時ウェリーを殺したのは普通の判断だったなんていう話。
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