第6話 フェニクジャルの家にて

「んっ……ふわぁああ」


エレナが目をシパシパさせてみると目の先には裸のレイスがいた。少し(0,001秒)思考が止まると、直後昨夜の営みを思い出して、即座に破顔した。


「ふふっ……やっぱりレイスと愛を確かめ合うのはとても嬉しいわ。…もう少しこのまま……」


そう小さく呟くと、彼女はそのままレイスの胸に体を預け、レイスの生きている証心音を気持ちよく聞いていた。


しばらくすると、レイスの目も覚める。


「……エレナ?何してるの?」

「ん~、レイスの心音聞いてた。今、すごく幸せ。」

「こっちよりも?」チュッ


おはようのキスをするレイス。それに対して、またもや思考が止まり(0.1秒)、破顔するエレナ。(そしてそれを書いて嫉妬する作者)


「ねぇ、あの人たちが王国に帰ってここに結果を報告に来るまでどのくらいかしら?」

「う~んと、大体1か月後くらいになるんじゃない?大体この山を下りるのに2日、アルスキカ王国の領土内に入るまでに3日、王城のある王都までに1週間、宰相と王の相談に2日、で往復。」

「それじゃあ、それまでに何かやっておいた方がいいことってあるかしら?」

「う~ん、この小屋の中の物をまとめるだとかとかかな……あっ、入学試験!」


二人は服を着ると、ヘルン達が来るまでにどんなことをしようかと、相談する。その最中でレイスが、あるであろう入学試験について思い出す。


「あら、何かした方がいい?」

「え~と。基本的に入学試験は"算術"、"魔法大系"、"戦闘全般"だから。算術はまぁ大丈夫。魔法大系は絶対に大丈夫。最後に戦闘全般だけど…」

「なにか問題でも?」

「これは色々なパターンがあるからな……対人戦だとか、的破壊だとか。そんなに王国の学園事情が変わってないなら対人戦が多いかな……となると…」

「なるほど。分かりやすく自分の力で勝った、ということと相手が死なないようにしなきゃいけないってことね。相手のレベルがどれくらいか分からないけど……」


などと入学試験についてのことを相談し始めた。エレナの言葉通り手加減は覚えておいた方がいいだろう。なにせ、昨日の兵士団すら国としてはTOPレベルの戦力なのだから。


「そんな話をしていたらご飯ができたぞ、ほら。」


実はこんな話をしながら朝ごはんを作っていたレイス。ちなみに、レイスの作ったご飯は、「ハルカの実のパン」「ラスミスの葉とスイカのスープ」「焼き魚(バスキー)」である。


「やっぱりレイスのご飯は美味しいわ!ほっぺが落ちちゃう!」

「ありがとう、エレナ。」


エレナは頬に手のひらを当てて本日三回目の破顔。この顔を見せている相手がレイスでなければあまりの可愛さに1週間は悶絶している。


「それじゃあ、さっきの話の続きになるけどもしものために手加減の練習でもしておく?」

「そうしましょう。それじゃあ裏庭開けとくから。」


そういうとエレナはパチンとフィンガースナップし、裏庭にかかっている吹雪の魔法を解く。


それからその一日、魔法と戦闘技術の調整という特訓となったのだった。


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読んでくださった皆様に最大限の感謝を。

コメントやフォローをしてくれるとすごく嬉しいです。

作中の食べ物を現実に例えると「ハルカの実のパン」はクルミパン、「ラスミスの葉とスイカのスープ」は白菜とポテトのスープです。

スイカはこの世界ではじゃがいもです(?)

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