第57話・なんかまたややこしい相手に目をつけられたような?
いわくつき区画を一周回ってみた後。
3人ほどゲームで見覚えのあるキャラが見つかったので、カイザルに頼んで1人ずつ面談することにした。
「バルク様は物好きなのですね」
「そうかもしれないな」
苦笑いを浮かべるカイザルと共に、いわくつき区画の隣にある部屋の中で待つ。
すると外から警備員さんの声が聞こえたので、アクアとディアに軽く視線を飛ばした後に頷く。
「では1人目をお願いする」
「はっ! では、失礼します」
1人目の相手は真っ白な肌に薄緑色の髪の15歳くらいの線の細い少女。
表向きはそこまで問題なさそうだが、瞳の色が右目が紫で左目が赤色のオッドアイになっている。
「彼女の名前はリーネットで、いわくつきの理由は瞳の色が左右で違う点です」
「なるほど……少し彼女と話してみていいか?」
「それはもちろん」
ほぼ購入するつもりだがいちおう確認はしないとな。
戸惑いながら左右を見るリーネットに視線を合わせながら、反対にあるソファーに座ってもらう。
「話しても大丈夫だぞ」
「え、あ、はい。ありがとうございます」
「ん?」
喋り方が平民よりも貴族に近く感じるな。
どこか落ち着いた感じがあるが、人生を諦めているようにも見える。
リーネットの発言が気になっていると、彼女は不安そうに俯いた。
「あの、すみません。忌み子のボクよりも一般の奴隷を買った方がいいと思いますよ」
「忌み子ってその目の事を言っているのか?」
「はい……」
「あー、それなら別に気にしてないぞ」
てかボクッ子とか勝ちだろ。
今は髪が長いので少し合わないが、ショートカットにすればボーイッシュ系の美少女としていけそう。
というか原作のゲームでもリーネットのショートカット版が出た瞬間に人気キャラになったしな。
「本当に?」
「ああ、てか君の目はオッドアイで綺麗だと思うぞ」
「ええ!? で、でも僕は……」
「それに歳の割にしっかりと話せているのはプラスだな」
「ありがとうございます!」
はい、購入確定。
個人的な好みもあるが、サブストーリーでもリーネットは優秀なキャラなので手に入れておきたい。
なので後ろから感じる寒気を無視しながら、俺は立ち上がり彼女に向けて右手を差し出す。
「俺の元にこいリーネット!」
「はい! これからよろしくお願いします!」
「おう! あ、てなわけで彼女を雇いますね」
「わ、わかりました」
あらー、なんかカイザルがひいてない?
まあでも、その程度のマイナスで
なので俺は嬉しそうに笑う彼女と握手した後、いったん部屋から出て行ってもらうのだった。
ーー
よし、残り2人だな……。
リーネットは割とマトモなタイプで話が進んだが、残り2人は性格的にも訳ありだったはず。
そう思いながら警備員さんから声が届いたので、2人目の相手に入ってもらう。
「フフッ、美味しそうな坊ちゃん」
「許可を出す前に話すな」
「きゃうっ!?」
あー、お仕置きを受けたな。
首輪から流れる電撃に件の人物は陸でピチピチ跳ねる魚のように痙攣していた。
その姿に若干引きながら復活した彼女は首をさすりながらソファに座った。
「発言どうぞ」
「ありがとう。それでこの妾、リリサになんのようか?」
「この場合は訳あり奴隷ではなく、凄腕錬金術師のリリサ・マーダルとして話を聞いて欲しいんだけどな」
「へえ、その名を知っているのか!」
「まあな」
実際は頭の飛んだ凄腕錬金術師だけどな。
リリサ・マーダルの見た目は濃い紫色のロングヘアーに赤い瞳、身長はディアに負けず劣らずの相手で年齢は20代中盤だったはず。
ゲーム時のデータを思い出していると、リリサは色っぽい笑みを浮かべながら口を開く。
「しっかし1年間も閉じ込められるのは暇だったわ」
「いやお前が起こした問題的に牢獄にぶちこまれても文句は言えないだろ!」
「研究費用を横領して研究所を爆破したくらいなのに」
「普通にアウトだよ!?」
頭のいいアホかコイツは!?
まあでも、リリサはゲームでは有能キャラで高レベルの錬金ステ&そこそこな戦闘力を持っていたのでありがたいのだが。
ただし、性格的に終わっているせいか色々と問題を持ってくるのでトラブルメーカでもある。
「いやだって天才の妾を邪魔するのが悪くない?」
「お前が天才なのは認めるが最低限の常識は待ってくれ!」
「常識なんて邪魔よ!」
「言い切ったなおい!?」
冷静なキャラになるつもりが俺もキャラ崩壊したぞ。
というかコイツ、俺の事をオモチャか何かと勘違いてない?
なんか自分の中で負けた気持ちになっていると、リリサは色っぽい笑みを浮かべた。
「フフッ、やっぱり貴方は面白いわね」
「お前な……。でだ、お前が俺に雇われた場合に必要な物はあるか?」
「うーん、とりあえず研究所と物資が欲しいわね」
「ほうほう。内容にもよるが合法的な物なら大体集まるぞ」
「へえぇ! それならぜひ雇われたいわ!」
なんか立場がおかしくない?
満面な笑みを浮かべるリリサに若干引きながら、彼女も購入することを決め、俺は目が点になっているカイザルに購入すると伝えるのだった。
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