第27話・我がヒロイン達は圧倒的……暴走しているんだが?
リザードランドのボス部屋。
基本的には3人でグランドリザードをフルボッコにしていたが。
途中からアクアが1人で無双し始めたので、俺とディアの出番がほぼなくなったのでシートの上で休憩を始める。
「アクアが強いのはしっておったが、ボスを一方的にボコボコにするとは……」
「ま、まあ、アイツは魔力量が膨大で魔法銃と相性がかなりいいんだよ」
「ほうほう。では、ワシも得意な戦い方を探すとアヤツみたいに出来るのかの?」
「タイプは違うが出来ない事はないそ」
「ッ! その話は興味があるのじゃ!」
だろうな。
同じ動きは出来ないが、ディアにはディアの強みがある。
ゲームの知識の中からディアのビルドを思い出すが、当の本人であるディアの食いつきがすごく、いきなり俺の膝の上に乗り込んできた。
「わ、わかったから少し落ち着いてくれるか?」
「バルクよ、焦らさないで欲しいのじゃ」
「お、おう。それでディアにオススメな戦い方は長槍と炎魔法を使う脳筋ビルドだな」
「……本当に炎魔法が使えるようになるのかの?」
「あくまで俺の情報ならな」
アクアが魔法銃の引き金を引き、グランドリザードをフルボッコにしている中。
ディアは俺の膝の上に乗ってコチラをキラキラとした目をしており、期待を背けたくない気持ちが高まってしまう。
「確定じゃないのはキツイけど、可能性があるだけありがたいのじゃ」
「そりゃよかった。っと、戦い方の話に戻って、まず長槍の方はレア装備を購入するのが一番だな」
「ほうほう。では、本題の炎魔法はどうするのかの?」
「そっちは真実のルビーを使えば使えるようになると思うぞ」
「真実のルビーってかなりのレア物じゃろ!?」
確かに真実のルビーはなかなか手に入らないレア物。
俺もゲーム時は手に入れるのに苦労したが、実は裏技がある。
それをすればまだ楽に手に入るので、手がかりさえ見つかればなんとか。
「俺が持っている情報的にツテがあるからソレ次第だな」
「ほんとお主の情報網はエグいのう」
「まあな。っと、アクアがグランドリザードを倒し終わったな」
「そ、そうじゃな……」
火力だけで言えば今のアクアはかなり高い。
なのでボスが近づいてくる前に、魔法銃で一方的にボコボコに出来るので彼女1人でも倒せている。
ただ同レベルくらいの別キャラだと、主人公キャラですらここまで火力は出せないのでアクアがぶっ壊れすぎ。
「コッチは終わったッスよー!」
「おう。とりあえずドロップアイテムを拾っとくな」
「ありがとうッス。あ、ディアを少し借りてもいいッスか?」
「わ、ワシは大丈夫じゃが……」
あー、なんかアクアの視線が怖くない?
若干ディアが震えている感じがあるけど、俺は目を逸らすようにボス部屋に入ってドロップアイテムを拾っていく。
その間に2人の方をチラッと見ると、何かで盛り上がっているのか明るい声が聞こえた。
ーー
今日1日で25周くらいリザードランドのボスを討伐。
レアボスの分も含めて大量のドロップアイテムが落ちたので、冒険者ギルドに持ち込んだが。
「お前らどんだけボスを倒してきたんだ?」
「えっと? 通常ボスが22匹でレアボスが3匹だな」
「いやまあ、ドロップアイテムの量的にわかるけど倒しすぎだろ!?」
「なら今度はもっと持ってくるッスね」
「え、ま、マジかよ……」
ガタいのいい男性ことバクサさんは、俺達が持ってきた素材の量に引いており、ドンドンと積まれるドロップ素材に目が点になっていた。
なので個人的に欲しいドロップアイテム以外、カウンターの上に置いていく。
「これは少し時間がかかりそうだな」
「別にいいけどコイツは残しておきます」
「冒険者ギルドの職員としては
「嫌です」
「おいぃ!?」
今回の買取にレアボスからドロップした当たりは出さない。
なので俺は収納鞄から一旦取り出した茶色い金属の塊をしまい直した後、苦笑いを浮かべるバクサさんの方に視線を戻す。
「いやだって、レアボスからドロップした大地の
「だからそこ売って欲しいんだよ……」
「もし売るなら冒険者ギルドではなくオークションに出しますよ」
「やっぱそうだよなー」
オークションは月一で開かれる一大イベント。
主催者側が登録された装備やアイテムをセリ形式で売る商売で、買い取ってもらうよりも高値がつく事も多い。
なので大地の土鋼はとっておき、残りのドロップアイテムの売却をお願いする。
「後は買取をお願いしますね」
「ああ、わかった」
コッチの取引が終わったので2人が待つロビーに戻る。
するとチンピラっぽい冒険者が地面に沈んでおり、アクアとディアは満足そうにベンチに座っていた。
「お、おい、ツレのお前、アイツらをなんとかしてくれ」
「……その前に何があったんだ?」
「あ、ああ」
地面に倒れている複数の冒険者。
流れ的に男性ばかりが倒れていると思ったが、意外と女性も多いので思わず固まってしまう。
なので無事な冒険者の1人に声をかけ、ソイツから話を聞いていく。
「最初はバカな低級冒険者がナンパをしたんだが、アイツらが冷たく断ったんだよ」
「ふむふむ。なら男性が倒れているのはわかるが、なんで女性も倒れているんだ?」
「それは、青髪の子が言った返しが女性冒険者をブチギレさせたんだ」
「おおう、アイツ何を言ったんだ?」
嫌な予感しかしない。
俺はダラダラと冷や汗を流していると、慎重っぽい男性冒険者は戸惑いが隠さないまま続きを話してきた。
「確か『ここの女達はおっぱいが小さいし、性格も歪んでそうだから人気がないんスね』だったはず……」
「す、すとれーと。てか、明らかヤバくね?」
「そりゃそうだろ」
基本的に冒険者は沸点が低め。
ゲームでもたまに戦闘にはなるが、クランに所属してない冒険者は大半がそこまで強くない。
なのでアクア達が負ける要因がほぼないと思いカウンターに行ったが、まさかの別案件で問題が起きるとは。
「あっ、バルクが帰ってきたのじゃ!」
「おかえりなさいッス!」
「た、ただいま。お前ら大丈夫か?」
「この通り無傷で勝ったッス!」
いやまあ、勝ったのはいいが。
冒険者ギルドに所属している職員さんの目が怖く、警備部隊の方が怪訝な表情で集まってくる。
そのため俺はこの後の事情聴取をどう話すか、ウンウンと悩み始めるのだった。
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