第3話(2)

第3話 シーズン1/リポート3/セクション2

救世の血 セイバーブラッド シーズン1 導かれる希望


3.スケールスキャナー


「ここはかなりの広さだな、WMも造れそうだ」

「何が言いたいんですか?」

「WMの部品の売買は良いが…開発・製造は違法はんざいだ」

「承知しています、重罪ですよね?」

「ああ…それに侵入者を匿ったりすることも罪に問われるぞ」

「………」

「ここも調べるかね?」

 エリザベスが返答に困る中、スティングが間に入った。

「…いや、仕事場を荒らされたくないだろう、もう失礼する」

 ミア率いる部隊は引き揚げて、ハワード父娘と別れた。


「…どうにか

「冷や冷やしたわ…もう大丈夫ね」

 リヴァーはドックの地下に隠れていた。ドックの隠し扉を開ければ、深い階段があり、地下通路につながっている。ドック地下はシェルターになっていた。


「迷惑をかけてすまない、奴らは?」

「帰ったよ、ひとまずはな…」

「無暗に外出できないな、しばらく様子を見ないと…」

「息苦しいけど、地下ここなら安全よ」

「部屋として使わせてもらう、悪いな」

「気にするな、飯の時は上に来い」

 リヴァーは、ハワード父娘の温かい心遣いを素直に受け止めた。

 その一方で…


「ハワード父娘の監視を怠るな」「何か問題が?」

「娘の様子がおかしかった…何かある」

 ミアは、まだハワード父娘を疑っていた。油断は禁物だった。それから時間が流れて…


 いろいろとあったが、空は暗くなっていき、日没時間になった。

 ハワード父娘は、居候のリヴァーと夕食を囲んだ。


「リボーンバイオも普通に飯を食べるんだな」

「言っただろ、若干違うだけだと…昨日、宇宙食を食べたっきりだ」

「大したものないけど、いっぱい食べてね」

「あんまり肉を食べないな、サラダ好きなのか?」

「野菜が主食ベジタリアンでね…あと、水があれば充分だ」

「よくそれで持つな、酒の方は?」

「彼は未成年こどもよ」

 スティングは娘の発言を無視して、お気に入りのバーボンを飲もうと、キッチンに取りに行った。


「これも何かの縁だ、飲もうじゃないか」

「リヴァー君は駄目だったら!」

「固いこと言うなよ、お前も付き合え」

「結構よ!」

「…ふ、付き合うよ、注いでくれ」

 ハワード父娘が口論する中、リヴァーが笑みを浮かべた。彼らは一連の騒動を忘れて楽しい時間を過ごした。そして…


 リヴァーは食後、エリザベスに呼び出された。彼らは地下で密談を始めるが…


「話したいこととは?」

「ここの軍が来る前、言いかけたことがあったわよね」

「ああ…スケールスキャナーを持ってきたのか」

「あなたに見せたいものがあるの」

 エリザベスはそう言って、持ってきたスケールスキャナーを作動させた。彼女は距離を取って、何かをスケールスキャナーの読込台に置いた。

「まさか…」

 リヴァーは、エリザベスが何を始めるか悟ったようだった。

 スケールスキャナーは読込対象物にまばゆい光を照射した。すると…


 読込対象物は、スケールスキャナーの力で空間転送されて、8メートル以上の物体に変化した。それは戦争兵器のWMであった。


 スケールスキャナーは密度・比率・重量の計算・読込を行い、対象物体の大きさを変化させるハイテク装置である。これがあれば、大型所有物の保管場所に困ることがなく、装置はコンパクトサイズなので、何時でも何処でも持ち運べる。

 保有困難の武器・兵器の物体変化も可能で、戦乱の世でスケールスキャナーは欠かせない代物であった。


 リヴァーは、エリザベス、ハワード家の秘密を知ることとなった。

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