第3話(1)

第3話 シーズン1/リポート3/セクション1

救世の血 セイバーブラッド シーズン1 導かれる希望


3.スケールスキャナー

 

 リヴァーはひょんなことからハワード父娘に匿ってもらっていたが、独立連邦西部インデペンデンス・フェデラル・ウエストテリトリーIFWの捜査の手が回っていた。ハワード父娘のジャンク工場には、IFWの兵士が集まっており…


「団体を引き連れて、何の用だ?お嬢さん…」

「ミスターハワード、訊きたいことがある」

 指揮官のミアは、鋭い目と堂々とした口調でスティングに訊ねた。

「傘下に入る件は断ったはずだが…」

「その件じゃない、人を捜しているんだ、昨夜…うちの領地にが忍び込んでね…」

「してやられたか、何者だ?」

 ミアは、部下に侵入者のデータを提示するよう命じた。


「リヴァー・ボウイ、宇宙側の傭兵だ」

 ミア率いる部隊は、軍事施設で採取したリヴァーの血液を分析、遺伝子検出で身元を照合した。

「…まだ、土地まちを出てないのか?」

「恐らく…この区域は完全封鎖したんだが…」

「うちはどうすれば?」

「申し訳ないが…中を調べさせてもらう、どうか協力を…」

 ミアは軍帽を脱いで、礼儀正しくスティングに頭を下げた。

「良いだろう、好きにしな」

 スティングはミアの顔に免じて、快く要求に応じた。彼の思惑は如何に…


 その一方で、リヴァーはエリザベスに工場内を案内してもらっていた。

「ここが整備場ドックよ」

「従業員はお前たちだけか?」

「うん、家業みたいなものだからね、人を雇う余裕ないし…」

経営しごとは成り立っているのか?」

「大きなお世話よ、うちは何でも屋みたいなもの、飛行車艇ホバーカーや作業ロボットの修理はお手のものよ」

「成程、珍しいのが置いてあるな」

 リヴァーはドックを散策して、ある物を見つけた。


「それはパパの車よ、20世紀の映画コンテンツが好きでね、お気に入りの作品に登場するよ」

「逃げる時のための乗り物が欲しいんだが…」

「すぐに用意できないけど、父に話してみるわ」

「頼む…!」

 その時、リヴァーはある装置が視界に入って、表情が一変した。

「どうしたの?」

「そこにあるのは…〝スケールスキャナー〟じゃないのか?」

「ええ…そうだけど…」

 エリザベスは、リヴァーの質問に気が乗らないようであった。


「これがあるってことは…兵器も扱っているのか?」

「ええ…この辺りは争いが多いからね…」

「〝WM〟が戦闘を?」

「街を戦場にしてね…それで友人や知人を亡くしたわ」

「ここにはWMの部品があるのか?」

「破損したものや残骸を回収しているわ、高く売れるからね」

「製造はしているのか?スケールスキャナーがある意味は?」

「それは…」

 エリザベスはリヴァーに問い詰められて、重い口を開こうとしたが…


[ザザ…応答してくれ、エリザベス…]

「はい…どうしたの?」

 エリザベスは専用無線機から父の声がしたため、直ちに応対した。

[軍の連中がうちのドックを見たいそうだ、今から向かう…]

 エリザベスは緊急事態だと察して、リヴァーとの会話を一旦止めた。

 そして…


「…旧式アナログ無線機のどこが良いんだ?」

骨董アンティークに愛着があるんだ、自分も古いから相性が良い」

 スティングはミアと雑談しながら、エリザベスたちがいるドックまで案内するが…


「入っていいか」「どうぞ」

 エリザベスはインターホンで応答して、ドックの扉を開けた。

「こっちの都合でお邪魔させてもらっている、娘さんね?」

「はい、どういったご用件でしょう?」

「うちの軍事施設に忍び込んだやからを捜している、こいつだ…」

 エリザベスはリヴァーの写真を見せられて、冷静さを保つのに必死であった。


「彼は宇宙開拓軍の傭兵で…基地に侵入したんですね?」

「ああ、我が軍の兵器…WMを破壊された、何としても捕らえなければ…」

「彼はどうなるんですか?」

「捕虜となり、宇宙開拓軍が取引に応じなければ、処刑確定だな」

 ミアは淡々とリヴァーの運命を語り、聞き手のエリザベスは脂汗あせを掻いていた。

「彼を見かけたら連絡したらいいんですか?」

「ああ、情報を提供してくれたら、褒美をやろう」「分かりました…何か?」

 ミアはドック内を見渡した。

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