第4話 ひょっこり出るかも♡――相談④ 佐野 あかり
前回の相談から数日後。忙しかった仕事のキリが付いたので、今日も昼休みと放課後に相談を行おう。朝のホームルームでクラスのみんなにそう伝えた。
そして昼休みになり、私は空き教室で待機中だ。誰か来るかしら? なんて思っていたら、扉がノックされた。
「入って」
「失礼しま~す」
女子生徒の
「佐野さん。私に相談したい事は何かしら?」
「実は、弟の
私は一人っ子だから、佐野さんの気持ちに寄り添うのは難しいわ。
「あの子お風呂から上がった後、トランクスでリビングをウロウロするんですよ。気になって気になって…」
佐野さんは真面目だから、そういうのは放っておけないか。
「直接弟君には言ったの?」
「もちろん言いました。そうしたら『別に迷惑かけてないじゃん』って言うんです…」
本人に言って改善するなら、私に相談する必要はないわね。
「お母さんには言ったかしら?」
「言いましたけど『あかりが生まれる前は、お父さんもやってたから気にしなくて良いの』と言われました」
お母さんは諦め気味だから、弟君に言う事はなさそう。佐野さんがしつこく注意すると、姉弟仲に支障をきたす可能性が高そうだ。
「佐野さん。お母さんの言うように、気にしないほうが良いと思うわよ?」
これが一番の解決方法になるんだけど…。
「それは難しいです。だって、進のトランクスは“前開き”タイプなんですよ? いつひょっこり出るか気になるじゃないですか♡」
「えっ?」
あれ? 佐野さんの様子が?
「弟がいても、本物は見た事ないので…。事故なら仕方ありませんよね♡」
そういうのが気になるお年頃か。私もあったけど、ピークは過ぎたな…。
「だったら、弟君がトランクスでウロウロしても良いんじゃ?」
じゃないと、見る機会がなくなる。
「私の中で“見たい気持ち”と“見てはいけない気持ち”がぶつかりあってるんです。今は見たい気持ちが優勢になりつつあるので、何とか煩悩を振り払おうと…」
だから私に相談してきたのね。その気持ちは立派だけど、我慢を強いるのも良くない。どうしよう…?
「佐野さん、今のままで良いんじゃないかしら?」
「今のまま…ですか?」
「そう。佐野さんはしっかりしてるし、我慢する必要はないと思うわ」
弟君が行動を改めるには、言葉より実際に見られたほうが効果的ね。
「…ありがとうございます。先生のアドバイスに従います」
良かった、納得してくれたみたいだ。
相談が終わり、佐野さんは教室を出て行った。彼女の話を聴いた影響で、私もあそこが見たくなった。次の人が来るまでスマホで画像を探そう…。
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