第三回 ☆伊南の創作論2
前回でベースになる土台の基本設定を作ったので、ここからは配置するキャラ作りに入っていきます。
例に上げてる「彼方よりきたりて」の主人公はシリウスですが、最初は名前とか名称とかは考えません。「キャラクターの生い立ちや性格」は話を書くのに重要ですが、そこにつく名詞は重要じゃないので後回し。これも名称に重要な意味がある場合は別ですけど、私はあまり重要視してないです。
・主人公(シリウス)
→魔王の力を持つ一族の人間。性格は癖のある性格にすると決めていたから特に変更なし。一族皆が魔王の力を持っていたらラスボスに狙われるの主人公じゃなくても良い事になっちゃうので力は嫡男だけに引き継がれる設定にする。
癖の強い性格だと大人しく王族に従わなさそう。制約で縛るだけでは弱いかな……盲目的に慕う王族を立てよう。
ここでリゲルに当たるキャラを作ろう! となる訳ですが、慕うに至る出来事が何なのかはこの時点では考えません。
何故なら主人公が慕っているのが重要であって、慕う理由になった出来事はぶっちゃけ重要じゃないからです。
キャラの掘り下げをするなら決めないといけませんが基本設定を作る段階では不要。
だから本編でシリウスとリゲルの出会いの話が後半でエルナトが訊ねるまで出てこないのもそんな理由(途中で判りやすいように閑話休題で書いてはいますけども)です。エルナトがシリウスの事を知りたいから聞いただけであって、話の展開にはあまり関係ないから。
こんな感じで基本を決める時は話を展開させるのに必要な物だけにして、他の細かい部分は出す必要性が出てきた時に追加で考えてます。
……まぁ、こんな作り方してるから細かい設定を聞かれた時に「あんまり深く考えてなくて……えへ!」とかなる訳ですけどね!(笑)(笑い事じゃねぇ)
・聖女(アリア)
→異世界召喚された少女。
主人公ではないですが書こうとしてる話の主軸は聖女ですから重要キャラ。
後から述べますが、話を書いていく時に出発点と着地点の間にいくつかポイントになる出来事を配置して、そこに向かって話を進めていく書き方をしてます。
聖女はそのポイントに必ず登場するキャラという位置付けで作っていくんですけど……話を作る上では重要だけど主人公視点だと重要じゃないんですよ、聖女。
でも積極的に絡ませないと埋もれちゃうので、元々の目的に「推し故に主人公を助けたい! 」という理由をつけて、それ以外は私の思う「乙女ゲーの主人公」の要素を入れました。
ゲーム世界ではヒロインだしそういう動きをする性格にしないとね!
っていう理由です。
・主人公が慕う王族(リゲル)
→主人公視点で一番重要なキャラとして設定。癖のある主人公が慕うんだから何でもこなして気配りも出来て周りからも慕われるような性格が基本。
主人公が何か暴走しかけても抑えられるくらい出来た人間にしようと思っていたので、設定はすんなり決まりました。一番楽だった(笑)
・主人公の力を奪うラスボス(エルナト/カイトス)
→ベースに据えたゲーム世界ではラスボスポジションですが、主人公が慕う王族までキャラを作った段階で
もう一捻りほしいなぁ……
と思ったのと、ゲーム展開を覆すならラスボスの立場も変えた方が良いのでは……?
と考えて。
元々学院に潜り込んで隙をうかがっている設定は考えていましたが、主人公が慕う王族を作った段階でお付きの従者にする事にしました。
次いでゲームのラスボスの立ち位置が変わるなら別のラスボスを立てなきゃいけない。そうなった時の展開とそこに至るための理由を考えててる時に
元ラスボスを主人公の相手役にした方が説得力も出るし話も組み立てやすいんじゃね?
っていう思考になって「実は女性でした」要素を入れてあの流れになりました。
ちなみにレオニス伯爵一家を作ったのも「力が欲しいだけで別に主人公を殺したい訳じゃない」という思考にどうやったらなる?
と考えてた時に「良い人達にお世話になってたら人間に対して見下しはなくなるだろう」の理由付けが一番良いかなとなって。これもその出来事は重要じゃないから後から設定を詰めました。
元ラスボスが一番頭悩ませて作ったキャラです。その甲斐があってか動かすのはすごい楽でした。
・真のラスボス(ギエナ)
→話の展開と流れで作る事になったキャラ。
真のラスボスは元ラスボスと関係性がないと登場が難しいだろう、というところから同郷の魔族にしました。
そろそろお分かりかもしれませんが、この時点で種族は決まっていません。
主人公から力を奪うという行為が重要で手段は何でもいいから後回し。
真のラスボスだし元ラスボスよりめっちゃ強いキャラにしよ……あ、いっそ元ラスボスを激弱設定にして、力を欲しがる理由付けもそれを追加でつけようか。
みたいな感じで、すでに考えていた設定を他のキャラと整合性を取るために細かい部分を追加したり変更しながらすり合わせます。
さて、これでメインキャラが揃いました。
小説ではこの他にもキャラが出てきますが、話の軸となるメインキャラはこの五名。
……しかし何となくでやってるここまでの流れ、文章にしてみるとめっちゃ長いね……一応、それっぽい事してたんだなぁ、私!(他人事)
ともあれ、ついにきましたお話作り。
これまで書いてた中で「出発点」と「着地点」っていうのを何度か出してましたが、話作りはその二つの間を書いていく流れになります。
ただ一本道を書くと単調になるので、いくつか中間点を置いて、それを繋げながら着地点まで書いていくのが私のやり方です。
・出発点
→主人公が学院に入学、自分が殺される話を聞く
・中間点
→剣術大会で魔王の力を持っているのが元ラスボスにバレる
→主人公から元ラスボスに魔王の力が移る
→主人公と元ラスボスの親密度が上がる
→真のラスボス登場
・着地点
→主人公が生き残ってハッピーエンド
すごいざっくりですけどこんな感じ。
点と点を繋げる話を考えてる時に「こういうの書きたいな〜」っていうのがあれば話の基軸がずれない範囲で好きに書きます。最終的に点と点がちゃんと繋がればいいので、その間の展開は比較的自由。
ただしこのやり方だと好きに書けて楽しい反面、上手く繋げられなかった場合は手直しをがっつりやる羽目になります。
私もこの話を書いてる途中、細々した手直しはたくさんやりましたが、一番がっつり書き直しをしたのはシリウスがエルナトに告白した辺り。「彼方よりきたりて」は基本的にキャラを頭の中で動かしながら書いてたんですけど、シリウスがそれはもう自由に動きすぎて本筋からズレた展開になっちゃって。
流石にこれはアカンと告白のくだりをいちから書き直す羽目になりました。そういう弊害が出る場合もあります(苦笑)
そしてこの作業をする過程で繋ぎをより円滑に進めるために配置するのがサブキャラです。私はね!(強調)
ちなみに一番よく動いてくれたのはサルガスでした。
彼はすごく良かったよ……剣術大会を皮切りに要所要所で的確に動いてくれてちょっと話がズレそうになるのをよく修正してくれてました(笑)
後はレダとスピカですかね。
レダがいなかったらエルナトの蝙蝠はシリウスの所に辿りつく前にやられてただろうし、スピカがいなかったらエルナトが自身で思っていた事を意識するの、もっと時間かかっただろうし。
メインキャラや出発点・中間点・着地点が話の歯車ならサブキャラはそれを回すための潤滑油みたいな感じでしょうか。
それと全く出てこなかった資料についてですが、話を書く段階でようやく集め始めます。「彼方よりきたりて」を書くに当たって調べたのは
・爵位の序列
・爵位で与えられる領地の規模
・アラブ系の建物や一般的な文化
・武器の種類
・吸血鬼について
・星の名前
こんな感じ。ちなみに一番調べたのは吸血鬼関連です。
何でかというと吸血鬼に血を吸われたら眷属化して吸血鬼になる、っていう話はよく目にしますが、子どもができるとかの話ってほとんどなくて。
まぁ創作だし想像して書いちゃうか〜!
となったのは良いんですが、世に出ている作品でネタかぶりしてたら補足で書いとかないとな……。と思って、似たような設定の話がないか調べてたんです。特に版権でかぶってて何も言わずに書いてたらパクりになっちゃうし。
結果、あのやり方で作ってる作品は見つからなかったからそのまま書いたんですけど。どうかなぁ大丈夫かなぁ、とか思いながら話作ってました(苦笑)
大体は「教えてGoogle先生!」って ネット検索で探してます。しっかり子細まで調べる場合はネットだけでは心許無いと思いますが、今回は必要な情報が基本的な物が多いのでネットだけで完結。
ただしこの資料集めのやり方、書く小説の内容によってはあまり宜しくない方法だというのも付け加えておきます。ネットは便利だけど情報も玉石混淆ですし。
必要な情報が何か、を考えた上で資料集めされるのが一番だと思います。
……とまぁ。そんな感じで色々しながら点と点同士を繋げつつ、細かい部分を詰めていって話を書いていく訳です。最終的に着地点に辿り着けばオッケー! のスタンスなので好きなように書き進めて仕上げます。
以上が私の小説の書き方です。
人によってやりやすい書き方は違うと思いますので、あくまでこれは「伊南の書き方」だとご理解下さい。
「こいつはこんな感じで創作してるんだなー」くらいで見て頂けるのが一番良いです(笑)
という事で自分の創作論は以上になります。
ここまで読んで頂いた皆様、有難うございました~!
私の創作についての雑記 伊南 @inan-hawk
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の創作についての雑記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます