第7話 我の天秤が傾く時
我はどうしたらよいのか。
ここで話すのも何だが、いっそ滅ぼしてもいいと考える。
なんせあの勇者も生きていてももうすぐ死ぬであろうからな。
1回だけでも会えればよいのだが、我は魔帝、幸運値は最低と言っても過言ではない。
会える確率も0に近いであろう。
だが、あれほど自己犠牲にまみれ、あれほど神に愛されたものをもう一度見たいと思う我の心は汚れているのだろうか。
もともと人間のときの心臓よりも汚いが、それは我の生命活動に必要であり、人間と同じである。 最もここの人間とは違うがな!
ここの人間の心は汚すぎる。 まるで盗賊団のアジトだ。
本当に元の世界は良かったと心から思うのであった。
ここでは犯罪を行っても地位が高ければ帳消しにされてしまったり、
盗人を追うこともできない。また、
「おっと」「チッ」
こうやって金品を盗まれそうになることもある。
その多くが貧しそうな子供だった。 しかも、路地裏を見ると40人はいた。
前の王都はこんなに貧しい子供を見なかった。
貧しい子供がいてもすぐ騎士団が駆けつけており、手を差し伸べていたが、
ここでは騎士団の見回りすらない。 また、貧民を見つけても笑ったり卑下したりする奴らしかいない。 こんな王都を本当に王都と言うのだろうか。
喋りすぎてしまってすまない。しかし、こんなにひどい光景は初めてのことだった。
何回も同じことを言うがここの人間の心は汚すぎる。 近くの村のほうが人柄も良かった。このことを踏まえてもこんな王都になってしまったのは、最近のことだと思える。その他にも我を倒そうという意見が出たのはこのせいで王都の評判が下がってしまっているから我がなにかやったのかと思いこんで、討伐しようとしたのか。
我はこれを好機と考えた。王都を消滅させればすべてが終わるのではないか?と考えたのだ。しかし、勇者にも会いたいので、まずは勇者の捜索から始めた。
「まず、魔力で実力を判別してみよう。」
まあ勇者は引っかかんないと思うが、これで範囲は縮まる。
「よし、300人程度か」
我の判別をしても勇者の魔力を持った人間はいなかった。
なので、この中に勇者がいるか、もう死んでいるか
「アンデッド」
そう、グールやゾンビになってしまっている可能性もある。
「グールやゾンビだったら厄介だな」
話もできないし、無言で走ってきて攻撃してくるのだ。
しかも、人間の頃できなかった肉体をいじることもできるのだ。
我はこうして捜索を始めていったのだ
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