弟子(仮)の口調がなんだおかしい件について
リーヴァと別れた後、リアーナは時計塔の前で大通りの人混みで目を凝らしていた。
(私が他人に魔法を教えられるのかなぁ)
昨日はは書庫にいくつかある空き部屋を実践用の部屋と座学用の部屋を作り、魔力が暴走しても大丈夫なように魔力収縮結界などを張り出来るだけ安全に授業を行えるようにしていた。
街へ出ると、いろんな服装の人が色々な方向に歩いている。
リアーナはこの光景を見るといつも思う。
今日も皆、明るく見えて心の奥に闇を持っているんだろうな、と。
大時計の前に着くと、黒いロングコートに黒いハット帽(ツバが長くて顔は見えないが)に薄ら首の横で髪を括っている高身長の男性がいた。黒いハット帽に良くなじむヒノキ色の髪色はよく映えていた。
リアーナはその人の前に行き胸に手を当ててお辞儀をする。リアーナが頭を上げると、ハット帽は左手を小さくあげた。
(間違いない、この人だ)
そして双方挨拶もせずに、リアーナは彼の手を取り、
そして時計盤の裏に足をつくと、リアーナは息をはく。
彼の方へと向き直り、ようやく挨拶をする。
「はじめまして。リアーナ・ローズブレイドです。よろしく」
「アリオス・ロードナイト。アンタに会うのを楽しみに待っていたのよ」
「……?」
「なによ」
リアーナは動揺を隠しきれなかった。スラリとしていて髪も長い、身長も高い。もしかして女性だったの!?
(ん?そういう喋り方!?)
「いっとくけど、この喋り方は癖なの。気にしないで」
「えっと、アリオスさんは女性……?」
するとリアーナの頭をこんとつつき、ため息をつきながら言った。
「男よ。この喋り方は癖なだけ。気にしないでちょうだい」
(ちょっと関わりやすいかも!)
実はリアーナ、男と関わる事がほんの少し苦手だった。特に理由はないが、思春期特有の何かなのだろうか。
「わかりした!じゃあ、今から書庫に移動しますね」
2人の頭上からけたたましい程の金の音が鳴り響く。
アリオスは顔を顰め、リアーナは驚きすぎて咄嗟に2人の周りに消音結界を張ってしまった。
アリオスはくすくすしながら、
「わわわわ」
「ちょっと、もう!サンドリヨンの鐘じゃないんだから」
「サンドリヨン?」
「それはついたら説明するわ」
リアーナは6等星のネックレスを手から吊るし、魔力を込める。
そうすれば、光がリアーナ達の周りを飛び跳ね、それが弾ければ見えてくるのはいつもの書庫の景色だった。
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