リアーナと亡霊
リベルテ学級王国
リベルテ学級王国
それは、学ぶ者には勉学のとびらが全て開かれている場所。白と金で上品なお城のような建物で、魔法、魔法薬学、歴史、遺跡、数字と。幅広く対応している。
建物はこの王国の宮殿と似た作りとなっていて、魔法塔、歴史塔、平和塔と分かれている。
リアーナは、朝起きて書庫の整理をするが、いくつかを整理していて思うことがある。
(最近本達の劣化が激しいな……)
しばらく本を見つめて悶々と考えていると、珍しく遅寝の人間姿のピューレが起きてきて、リアーナの肩に頭を乗せた。
「あら、おはようリアーナ」
「おはようピューレ、んー気のせいなのかな?じゃあ、学校行ってくるよ」
「ええ?もう?いってらっしゃいな」
いつもこういう時のピューレは朝ごはんを食べなさいなりなんなり行ってくるのに、今日はまるではやくいきなさいとでもいう態度だった。そういう日もあるだろうとリアーナは思い、鞄をもって学級王国に小走りで向かった。
✴︎✴︎✴︎
「おはよう、リア」
「おはよう!リーヴァ!シルフ!」
(うっ、今日も花びらが見える……!)
後ろから声をかけられ振り向くと、優雅な雰囲気が溢れ出した2人がやってきた。
片方は素敵な女性で、海のような髪型に優しさの中にエレガントな雰囲気が広がっている、シルフ・シャンドラ。彼女は優秀で気高い存在で、圧倒的な優雅さを兼ねそろえている。たれ目気味だが、ほんの少し厳格さを兼ねそろえた瞳のせいではじめは近寄りがたい印象を持たれていたが、いざ話しかけるとそんなことはなかった。
片方はズボンタイプの制服だが、これまた女の子だ。短い髪に、さわやかなイケメンオーラが出てやまないジェントルマン。学園の王子様として女の子は彼女にメロメロだ。子犬みたいな純粋な瞳は、愛嬌がありついかまいたくなってしまう。
この2人はお似合いなカップル的な存在として崇められている。
この学級王国の制服は、真っ白なジャケットにプリーツスカート、もしくはパンツとなっていて、ジャケットの中身は自由にしていいものだ。ジャケットにはワンポイントで、魔法レベルに合わせたピンバッジを胸元に着けている、非常にシンプルなものだ。
「もう、リアーナ聞いてちょうだい。この人、また女の子を口説いていたのよ?」
「口説くだなんて!僕はただ挨拶をしていただけさ」
「えぇ」
この3人は入学してからの大親友だ。時々2人の雰囲気に押し負けてしまうことがあるけれど、居心地はピカイチだ。
なにせ二人にはファンが多いのだ。妹気質なリアーナはこの二人には何かとお世話になっている。
「ところでリアーナ、今日があの日?」
「あの日って何だい?」
三人で学級王国への道中、リアーナを挟んで歩いていく。三人で歩くのは苦手なリアーナだが、この三人ならなぜか心地が良いのだ。心地よさを感じながらリーヴァの問いかけに応える。
「弟子(仮)との顔合わせ。今から泡吹いて倒れそう」
「あぁ、そうだったね!リアならきっと大丈夫だよ!」
まぶしい、本当にまぶしい。もうどうにかしてくれ。リーヴァのキラキラ純粋な瞳は本当に目に毒だ。
それに比例してシルフは愁いを帯びたようなため息を、右ほほに手を当ててついて、何やら心配そうな顔をしている。
「何かあったらすぐに文字を飛ばしをしてね。私はなんだか心配だわ」
三人はいつも夜遅くに文字飛ばしの魔法を使っておしゃべりを楽しんでいることがある。内容はリアーナが課題をやり忘れていないかや、シルフがリーヴァに女の子を口説いてないを問い詰めたり、文字上でもにぎやかだ。
各々で談笑しながら、学級王国の門に足を踏み入れ、教室に向かい、平凡な学校生活の始まりだった。
✴︎✴︎✴︎
「あぁ」
「心配なら、僕もついていこうか?」
シルフは魔法実技の先生に用があり不在の放課後、リーヴァは大きなため息を吐きだすリアーナを案じて声をかけていた。
もう顔は今にも魂をかき出しますかのごとく、真っ白だ。彼女はどうも初対面の人には緊張してしまうらしい。
(1回話してしまえばあとは平気なのになぁ)
「よし!明日は3人でケーキ屋さんに行こう!」
「え?」
急に何を言い出すんだというリアーナの視線を無視して、リーヴァは熱弁している。皆今日は頑張って明日はその疲れを甘い者で発散させようと。
「うん!わかった。じゃあ少しだけ頑張ってくるねぇ」
「うんうん!その調子だよ!時計塔まで送っていくよ!」
といって、のろのろとなめくじのように歩くリアーナを、半ば強引に引っ張っていくリーヴァとの姿を、翌日リーヴァのファンに問い詰められることとなったリアーナだった。
(これはこれで苦痛!)
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