第5話

「うほ!うほ!」

凄絶な、空間を引き裂くような、男たちの叫び声。


暗闇のなかで、無数の、全裸の男たちが、動いていた。


「うほ!うほ!」


四つん這いになる男、

その男のお尻の穴に、勃起したチンポコを入れる男、


腰を振る男たち。


「うほ!うほ!」


***


俺も、昔からバナナが好きだったんだよ。


***


涎を垂らし、恍惚の表情で、伊藤ゴンザレス辰夫は、衣服を全て脱ぎ、暗闇のなかへ、無数の男たちの蠢きのなかへ、入って行った。


すぐに腕を取られ、強引なキス。


「あっ、きもちい・・・」

伊藤ゴンザレス辰夫は、すぐにトロ顔になり、チンポコを勃起させる。


「うほ!うほ!」


いつからか、伊藤ゴンザレス辰夫も、そう叫んでいた。

伊藤ゴンザレス辰夫は四つん這いになり、ケツを突き出した。


「バナナだ!バナナくれよ!うほ!うほ!」


***


「あ~いくいく」

完全に勃起したチンポコから、ビュッビュッと勢いよく白い液体が発射された。


「うほ!俺もいぐっいぐいぐ!」


暗闇の中はむんむんしている。イカの臭いが満ち溢れている。


***


「あんた、最高だったよ、あんたのケツ、すげえ」

「そうかい」

「あんた、名前なんていうんだ?」

「俺か?俺は、伊藤ゴンザレス辰夫」

「そっか。辰夫か。またやりてえな。ダメか?」


***


その頃、犬のシンディーが、草むらに向かって盛んに吠えていたのだ。

飼い主の65歳フジノ尚子が、草むらを見る。


「キャー!!」


そこには腐敗し、半分溶けたマザー・テルコの生首があった。


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