第60話 レアポップモンスター狩り

 そんなわけで、また休日が巡ってきたある日。


 今日はアリスもコレットもエヴプラクシアのお茶会本番なので不在だ。コルネリウスに観劇誘われたけど、これも華麗にスルーし、オレは冒険者ギルドに立ち寄ってからダンジョンに来ていた。


「まずは第六階層だったな」


 入り口にあるモニュメントの前で6の数字を押すと、一瞬の浮遊感の後、見慣れた白い幅広の通路が目の前に広がっていた。第六階層だ。


「目撃情報はこっちだったな……」


 オレは軽く駆け足で第六階層の右奥を目指す。


「ハズレか……。お、宝箱見っけ!」


 通路の突き当りで宝箱を発見した。木でできたオーソドックスな宝箱だ。この階層はまだミミックを警戒しなくてもいいから楽だね。


 カパッと開けると、銀のネックレスが入っていた。MPを+10する首装備だ。これはアリスにあげよう。


 アリスにいいお土産ができた。オレはルンルン気分で走り出すと、また行き止まりにたどり着いた。そして、そこにも宝箱があった。


「二回連続とは運がいいな」


 カパッと開けると、牙を連ねてできた腕輪が入っていた。これは物理攻撃力+5の効果があるアイテムだ。さっそく自分でつける。物理攻撃力+5なんてカスみたいな数値だが、オレは腕輪装備を持っていないのでありがたい。


 ちょっと得した気分で走り出すと、また行き止まりに宝箱があるのを発見した。


「え? また?」


 さすがにここまでくるとなにか理由があるじゃないかと勘繰ってしまう。


「もしかして、レアポップモンスターがいるから、みんなここを避けているんじゃないか? だから、宝箱がそのまま残ってる……」


 宝箱はランダムポップだったので確証はないが、そんな気がする。


 冒険者ギルドで出会った男は、レアポップモンスターを倒すなんて考えられないみたいなこと言ってたし、もしかしたら、レアポップモンスターの周囲は大量の宝箱に囲まれているのかもしれない。


 思いがけない報酬だな。オレはメイン装備は整ったが、まだアクセサリーの類は全然集まってないから助かる。


「この調子でどんどんいくぞ!」


 宝箱を開けようとしたその瞬間、オレは危険を察知して転がるようにサイドステップを踏んだ。


 オレのさっきまでいた所を貫いていく銀色のぶっとい針。その表面に映ったオレの顔は驚愕の表情を浮かべていた。


 本当に、自分でもよく避けれたなと思う。まったく気配を感じなかった。


 銀色の槍は、ひゅんっと戻っていく。釣られてその方向に目を向ければ、銀色の大きなお饅頭のようなものがあった。メタルスライム。これこそ、オレの探していたレアポップモンスターだ。


 メタルスライムの表面が細かく波打ち、次の攻撃に備えているのがわかる。


 だが、オレの視界に映った時点でお前の負けだ。


 オレは即座に収納空間を展開すると、メタルスライムを縦に半分ほど飲み込んだ。


「カット」


 高い物理防御力を持っているはずのメタルスライムが、半分に割られる。その時、コアも破壊したのか、メタルスライムはボフンッと白い煙となって消えた。


「くっ!?」


 その瞬間、体が内側から燃やされているような熱を感じた。メタルスライムの存在の力を吸収したのだ。


 久しぶりだな。一気にレベルが上がるこの感覚! クセになりそうだ。


「くふふふふ……」


 まるで自分が一段上の存在になれたような全能感。


 まぁ、いっても20レベルくらいだからまだ全然なんだけどね。


 メタルスライムはアイテムをドロップしないレアポップモンスターだ。その代わり、倒すと大量の経験値が貰える。ゲームでは人気のレアポップモンスターだったんだけどなぁ。


「さて」


 それはそれとして、宝箱を開けたら次の階層に行くか。


 ちなみに宝箱の中身は力の指輪だったのでありがたく自分で着けることにした。


 そういえば、ゲームでは指輪って一つしか装備できなかったんだけど、今はすべての指に着けることができる。その場合、ちゃんと効果が発動するのだろうか?


 そのあたりもちゃんと検証しないとな。



 ◇



「ふう」


 ダンジョンの第十一階層にやってきた。ここにもレアポップモンスターがいるらしい。


「目撃情報は……たしかこっちだったな」


 オレはあてずっぽうで左に向けて走り出した。


 迷路のようになっているダンジョンの通路をひたすらに左に。こういう時、方向感覚がないとすぐに迷子になるのだが、オレには心強い味方がいる。それが収納空間だ。


 収納空間は、自分で操作しない限り、一定の方向にあり続ける。例えば、ダンジョンの入り口で左側に収納空間を展開したら、まるで方位磁針のようにずっと左の方向にあり続ける。


 これでオレはダンジョンで方向を見失わずに済んでいる。


 前世から方向音痴を自認しているオレには本当に心強い味方だ。


 そのまま左方向に向かって走り続けていると……。


「た、たすけ! 助けてくれー!」

「誰かー!」


 助けを求める声が聞こえてきた。


 ひょっとすると、レアポップモンスターに襲われているのだろうか?


 オレは声のする方向に急いだ。




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【世界最強の炎魔法使い】~主人公に何度も負けてすべてを失うデブモブに転生したオレ、一途に愛するヒロインを救うために無双する~


https://kakuyomu.jp/works/16818093079967998143

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