第12話 ラッキーデイと準備
今日はなんていい日なんだ!
作中最強装備であるタスラムが手に入ったし、レアポップモンスターであるメタルスライムを倒すことができた。おかげでレベル爆上がり、戦力爆上がりだ。
体が軽い軽い。空も飛べそうだ。今、何レベルくらいなんだろう? 少なくとも十レベルは超えてると思うけど、ステータスが見れないのは不便だな。
それに、上がったのは肉体レベルだけじゃない。体術のレベルの爆上がりだ。おかげで一気に使える技が増えた。後々使うこともあるだろう。
「やっぱり、【収納】は使えるな!」
メタルスライムを倒せたのは、【収納】のギフトがあったからだ。敵を切断するあの技の名前を何て呼ぼう? シンプルに“カット”とかかな。MPを消費するけど、その効果は絶大だ。なるべくMPは温存して、カットに回したいところだな。
オレはルンルン気分でスキップをしながら、第六階層をクリアして街に戻るのだった。
◇
オレールの街に戻ると、空はまだ青かったが、日はだいぶ傾いていた。午後三時か四時くらいってところかな。
オレはダンジョンに潜りたい気持ちをぐっとこらえ、今後のための準備をすることにした。
まだまだ低層だからそうでもないけど、ダンジョン攻略に甘えは禁物だ。今日のようにレアポップモンスターに出会えるかもしれないからな。
今日、出会ったメタルスライムもそうだが、レアポップモンスターはその階層では規格外に強いモンスターだ。ダンジョンでは、不意に強敵との戦闘がありえる。
そんなある意味迷惑なレアポップモンスターだが、プレイヤーにとってメリットもある。今日のメタルスライムのように莫大な経験値が貰えたり、強力な装備をドロップするのだ。オレもどうしても欲しい装備があって、何度も同じ階層をグルグルと周回したものだ。
レアポップモンスターやボスとの戦闘に備えて、最善の状態でありたい。
そこでオレがやって来たのは、ハンマーが鉄を打つ音が響いてくる鍛冶屋だ。
「いらっしゃい」
ずんぐりとした女性に出迎えられた。店には壁や棚に所狭しといろいろな武器が飾られている。
オレはこの鍛冶屋の腕のほどは知らないが、この冒険者の聖地で鍛冶屋を続けられているのだ。それなりの腕はあるだろう。
まぁ、オレはなにも難しいことを要求しようと思ってない。たぶん大丈夫だろう。
「注文をいいか?」
「あいよ。剣かい? いや、あんたは拳士だね? ナックルダスターの注文かい?」
「実は鉄球が欲しいんだ」
「は? 鉄球?」
肝っ玉母さん然とした女性が不思議そうな顔でオレを見ている。
「このぐらいの大きさの鉄の塊が欲しい。形は完璧な球体じゃなくてもかまわない。四角でもいいぞ」
オレはビー玉よりも一回り大きいサイズを指で作って注文する。女性は困惑しながらも了承してくれた。
「それでいくつ欲しいんだい?」
「とりあえず千は欲しいな」
「千個も!?」
とても驚かれてしまった。まぁ、さすがに千個は多すぎたか。だが、譲るつもりはない。
「じゃあ、頼むよ」
鍛冶屋で鉄球の注文を終えると、今度は冒険者用の雑貨店に向かった。
雑貨店の中に入ると、バックパックやポシェット、小物などいろいろなものが置いてある。商品を選んでいる他の冒険者の姿も見えた。
「ちょっといいか?」
「はい。何の御用でしょうか?」
「特級ポーションが欲しい」
「特級ポーションでございますか?」
店員の男性がジロジロとオレを見た。代金を払えるか疑問なのだろう。
そうだよな。白い骸骨のお面をした奴が普通に買い物するかも疑問だ。強盗の方がお似合いだろう。
「金なら払う」
オレは収納空間から財布を取り出すと、金貨を一枚出してみせた。
「失礼いたしました。ただいま用意いたします」
金の力って偉大だなぁ。
そんなことを思いながら、オレは特級ポーションを六本買った。これで元から持っていたものと合わせると十本だ。
こういう魔法のポーションは時間経過とともに劣化するらしいが、オレの収納空間に入れておけば大丈夫だろう。だから、多めに買っておく。
オレはソロだからな。ヒーラーがいない以上、こうした回復アイテムに頼るしかない。いつかはパーティを組みたいものだが、ここまでくるとソロでどこまで行けるかチャレンジしてみるのも悪くない気がした。
他にも細々としたものを買い集め、オレは白い装備からいつもの服に着替えると、屋敷に戻った。
明日の体術の訓練が楽しみだな。マチューはビックリするだろう。
強さ的な話をするなら、オレはもうマチューよりも強くなっていると思う。だが、長年体術を学んできたマチューには基礎的な部分で学ぶことが多い。これからもマチューに体術の基礎について学んでいこうと思う。
何事も基礎が大事だからな。今のオレは、肉体レベルが上がって強くなった体を振り回しているだけだ。しっかりと体術を身に着けていきたいと思う。
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