第2話 可愛い彼女との幸せな初体験と、幼馴染の部屋の窓


 G.H.Hのリメイク劇場版がGWにあわせて封切されるという事を聞いて、感想の交流もしたかったので北乃さんを映画に誘うと、北乃さんは顔を真っ赤にしながら頷いてくれた。あれ、よく考えたらこれってデート?ま、いっか。こまけえことはいいんだよ!!


 その週末、北乃さんと映画を見に行ったが薄い色のワンピースに上着を合わせた可愛らしい恰好をした北乃さんとの映画鑑賞は最高に楽しく、作品の出来は最高でカフェで滅茶苦茶に話し込んだ。おもしろー!!!!!!

 北乃さんは感想の交流をするときに、こちらの意見や反応をよくかみ砕ききながら反応を返してくれる。

 推し作品の交流をするその時間が楽しくなるように、豊富な語彙や感性でこちらの言葉に寄り添いながら言葉のキャッチボールを弾ませていってくれるのだ。そんな、2人で楽しい時間を作るという北乃さんの姿勢は僕も学ぶところがあった。

 これは菜穂とのやりとりではなかったことで、北乃さんがもつ優しい性格によるものだろうと俺は感じている。

 


「今日は誘ってくれてありがとう、川田君。私、男の子と出かけるの初めてだったけどすごく楽しかったです。」


「こちらこそ来てくれてありがとう、映画はサイコーだったし、感想も話せて面白かったー!!」


 名残惜しいが別れの時間、北乃さんを家に送って手を振り合いながら別れて帰宅すると、俺の家の前に菜穂が居た。こちらを見るなり睨みつけるように見てくるが、そんな視線を向けられる理由がないんだが??


「遅かったじゃない。どこいってたのよ」


 不貞腐れた様子で舌打ちと共に話しかけてくる菜穂の顔を見て、そういえば菜穂の顔見るのも久しぶりだとか思った。いやー、お前の顔みたくねンだわ。菜穂と付き合う?いや~キツイっしょ。という訳でいつものように適当にあしらっておさらばしようネ。


「おう、ちょっとな。それじゃ」


 端的に挨拶だけして家に帰ろうとしたが菜穂に腕を掴まれて阻止される。何なんスかこの手は。


「待ちなさいよ!!誰とどこに行ってたの?!」


「関係ないだろ。……悪いけど疲れたから寝たいんだわ」


  詰問するような言い方をされて嫌な気分になったので、菜穂の手を振りほどきながら端的に応えて家のドアへとズンズンすすむ。それでも何かいいたげな気配を感じたが、無視虫、無視キングと菜穂を気にせず家に入った。あーあ、めちゃくちゃだよこれ。折角の楽しい気分が台無しにされちまった。


 そしてそれからも北乃さんと一緒にいる時間が増えるにつれて菜穂の事を考えることはどんどんと無くなっていき、北乃さんも北乃さんで眼鏡にヘアゴムで髪を結ぶ控えめな文学少女な見た目から、美容室に行くようになったみたいでのか少しだけ毛先にパーマをかけたミディアムヘアへと垢ぬけて滅茶苦茶に可愛くなった。


 いつしか同じ作品のファンという事で北乃さんのお家に呼ばれて、北乃さんのお父さんとも顔を合わせて作品話に大いに盛り上がりすぎて帰るのが遅くなることもあった。その日は天気が崩れてしまった事もあり、北乃さんのお父さんに送ってもらいうちの両親と北乃さんのお父さんで何やら話をしていたが、父親同士のコミュニュケーションというのもあるんだろうね。


 なんて言ってたらほどなくして俺は北乃さんに告白された。顔を真っ赤にして、スカートを掴んで震えながら、一生懸命に告白してくれる北乃さん。その姿にかつての自分が重なり、そして北乃さんと一緒にいる事を楽しいと感じている自分を思い返し、俺は北乃さんの告白を受け入れて彼氏と彼女になった。


 両家公認の彼氏彼女となった俺と北乃さんは日々を仲睦まじく楽しく過ごしていた。親しい男友達たちには、菜穂に4度も振られたことやその後の階段での話の録音を聞かせて、事情を説明しておいた。そんな根回しも有皆からは北乃さんとのことを応援されると同時に、菜穂の評価は男子の中では最底辺の地に堕ちていた。


 ある日、女子を引き連れた菜穂が俺の席にやってきて、浮気者、二股クズ野郎と俺の事をさんざんにののしりまくってくることがあった。だが事前に俺からの話を聞いていた男子が割って入り、男子対女子とでもいうべき状態になったので俺はスマホの録音を取り出し菜穂の言い分をよく聞こえる大音量で鳴らしてやった。


「俺と菜穂、いや御木本さんは家が隣なだけの他人なんだよ。本人がそう言うようにな」


 垂れ流されたあまりにも酷い録音の内容に、詳しい事情を知らずに菜穂側についていた女子もドン引き、ついでに主導していた菜穂の親しい女子達も白い目で見られるようになった。わーこれがざまぁってやつかーと思ったけど特に何の感慨も感じなかったわ。残当よ残当。


 そしてある日、うちの両親が揃って親戚の家に出かけることになって留守をすることになった休日、俺は北乃さんと家で北乃さんが持参したBDをみていた。北乃さんの家にあったOVA版のG.H.Hだ。2人で盛り上がっていた後、ふとした時に視線が交わって、どちらともなくキスを交わした。


「……好きだよ、北乃さん、いや八雲」


「私も、祐一君が好き。いつも一緒にいる時間が楽しくて、ずっと一緒にいたいです」


 それから俺の部屋に場所を移し、俺達はお互いの初めてを交換し合った。

 八雲も最初はすごく痛がっていたが、涙を零しながら精一杯俺を受け止めてくれる姿に愛しさで胸がいっぱいになった。

 あと、八雲は結構着やせするタイプだったので驚かされたけど、俺には分不相応な位可愛い彼女過ぎるのではないだろうか?

 実は八雲も両親が不在だということだったので、その日の夜俺は時間を忘れて八雲と愛し合った。年頃の高校生が可愛い彼女とそんな事をして火が付いたらもうおサルさんまっしぐら。水分補給とエッチを繰り返し続けながらいつしか寝落ち、次の日の朝は俺の寝顔を見て幸せそうに微笑む八雲の顔を見ながら目覚めるという最高に幸せな朝を迎えさせてもらった。

 シャワーを浴びてから八雲を家に送って帰ってきたあと、ベッドのシーツに初めての血もついてしまったがこれは俺が鼻字を吹いたとでもいう事にしておこう。


 ふと、窓に視線を感じたのでしめっぱなしだったカーテンをあけてみる。俺の部屋の窓の正面には御木本家、菜穂の部屋がある。わずかに菜穂の部屋のカーテンが動いていたような?そういえば俺と菜穂の部屋は物理的な距離が近いのも有り、普通に音や声が聞こえる。もしかして菜穂に聞かれていたか?……いや、気のせいだろうしどうでもいいな。菜穂も俺の事を赤の他人呼びしてたんだし、万一聞こえていたとしても特に問題ないよね?


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