第4話
冒険者試験。
全てで三次試験まで存在する。
昔と変わらず、一次は制限時間以内に森の中で地図を見て目的地に到着するものだ。
当然、途中、魔物が出現する。
下手したら命を落とすこともあるというわけだ。
二次は三人チームを作り、宝を見つけ出すというものだ。
なお、この宝はチーム分の半分しかなく、取れなかった時点で脱落である。
三次はその三人チームと三チームで戦い、勝った方が合格というものだ。
どの試験も危険であり、毎回何人もの死者を出している。
けれど、冒険者というものはそういうもの。
いつ、どこで、命を落とすかなどわからない危険な職業なのだから。
試験会場は緊迫とした空気が漂っていた。
受験者は若者から年寄りと幅広い年齢層がいた。
床には大きな魔法陣が描かれていた。
講堂にて、ちょびひげを生やしたスーツ姿の試験官が後ろに手を組みながら言う。
「よし、これより冒険者試験を開始する! 今年の受験者は三千人か……多くて百人ってとこだな。みんな知ってると思うが、一次試験では、毎年何百人者行方不明者、死者を出している。どこの試験会場でもだ……」
一次試験は、魔物たちが住もう森の中へとワープし、地図を頼りにこちらに戻るためのワープホールを見つけ出す。
いわば、地図をしっかりに見れるかの確認と魔物に対抗できる実力を見るものだ。
まあ、地図の見方くらい覚えてらあ。
試験官はベルトに挟んであった魔法の杖を手に取り、振る。
「それでは、ただいまより冒険者試験、一次試験を行う!!」
突如、魔法陣が白く光りだす。
「ワープと同時に君たちの手に地図が現れる。いいな、その地図を頼りにするんだ」
こうして、一次試験が始まるのだった。
○
光が止むと、会場から森の中の景色に変わっていた。
さてさて、とっととゴールしますかあ。
周りには受験者たちがいる。
ざわざわ、と話し、協力し合っている。
自分だけの力で合格しなきゃ、冒険者として生きていけねえのになあ。
まず最初は、周りの景色から地図のどこに自分がいるか確認するところからだ。
昔の俺だったら、魔法ですぐに自分の位置がわかったのに。
ないものはしょうがないけど……。
「はあ、しゃーない」
地図には、森全体の縮小図が描かれている。
周りの木の本数、全方向先の道からここは……。
よし、ここだな。
すぐに、今自分のいる場所がどこなのか見つけ出すことに成功した。
ゴールはこっちか。
俺は、ゴールの場所へと向きを変え、走り出す。
前方には、数人の受験者がいる。
ふん、やるじゃんかよ、こいつら。
「うわああ!!」
と、その時、男性の声ともに、こちらに向かって男性が吹き飛んできた。
みなが、立ち止まり、戦闘態勢に入る。
目の前には、二メートルほどのカマキリが立っていた。
俺は、隣に立っていた男性に声をかけた。
「その剣借りるぞー」
こんなザコい魔物に手を取られてるようじゃ、まだまだだぞ、本当。
剣をひったくり。
「えっ、返してくれ!!」
「後でなー」
俺は、カマキリに向かって走り出す。
キュアア──ッ!!
と、鳴きこちらに向かって、大きな鎌を二本、構えながら襲いかかるカマキリ。
きっと、周りの連中には、カマキリの動きが目の前ない速さだっただろう。
ただ、俺には見える。
なんたって、俺はS級パーティー冒険者だったのだから!
「おせえよ、それで俺に勝てると思ったのかよッ!!」
俺は剣を縦に振り、こちらに襲いかかるカマキリを真っ二つに斬った。
プシャアア──ッ、と紫色の体液を溢れ出しながら、倒れるカマキリ。
うおおお!?
と、歓声が周りからは湧いた。
魔力を使い果たし魔王を倒した、元S級パーティー冒険者のサードライフ 〜金が底を尽きたので、冒険者に復職しようと思う〜 さい @Sai31
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