第10話
みんなの自己紹介を気持ち半分で聞いていた俺はテキパキと動くメイドさん達や並べられる料理に目を輝かせる、そんな俺の前にはとても良い香りの薄めの緑のとても綺麗な色をしたポタージュの入った深皿とパンが置かれた
早速食べようとスプーンに手を伸ばそうとしたところで回りが静かすぎる事に気が付いた、料理から目を放し周りの人たちを見たら皆がお祈りの様なものしており、なら自分もと思い簡単にお祈りを行い最後に”いただきます”と唱えてからスプーンを取り食べ始める
ペーストしたであろう野菜の味にたまに歯ごたえとしてある大粒のポテトがとても楽しくて美味しかった、ルンルンで綺麗に切り分けられたドライフルーツ入りのパンに手を伸ばそうとして気付く
皆の視線が
(やばいたかがスープではしゃぎすぎたか、それとも皆を差し置いて食べ始めてから?)驚いたよな視線に冷や汗が流れ出す
カル「我々と一緒に祈りを捧げる勇者は初めてだ!」はしゃぎながら俺の背中をバシバシ叩く彼に他の人たちはうんうんと頷く
「な…なぁさっきから気になってたんだけどよう、勇者って俺の他にも居るの?」疑問に思っていた事をようやく口にする
エレ「えぇそうです、貴方様以外にも勇者様はご顕在されています」なんとなく察しの付いていた答えを何ともないように言う「魔王討伐の為、どの国でも勇者様の召喚を行っている聞きます」
「なるほどね…この国でも召喚された勇者は俺が初めてってわけでは無い様だけど」チラっとカルロスを見る
カル「全員が環境の変化への体制や魔王討伐への責任感があるわけじゃないからな」
何か違和感のある言い方に眉を寄せる
「他の勇者たちは何処に?ここに居ないのはおかしいんじゃないか?勇者同士でパーティーを組んだ方がいいと思うけど…」
エレ「えぇおっしゃる通りです、確かに最初は私達もそう思い他の国と結託をし勇者同士でパーティーを組ませましたですが、相性が悪かったのかは分かりませんが同士が一定期間集まり行動すると成長が止まってしまう様で、元々弱いものはステータスアップが出来ずに…」
最後の方は聞かなくてもわかってしまう、手元のパンを一欠けらちぎり口の中に放り込む
カル「まぁ可哀そうだが仕方がない力無きものはチリ、力あるものがのし上がる、それが此処のルールだ」
エレ「残念ながら、全員が良いステータスを持ってこの世界にはやってきません、それに勇者様方も人の子ゆえに皆が討伐にこころよく受けてくれるわけではありません」
カル「そんな奴らには俺たちは何をすると思う?」ニヒルな笑みを浮かべこちらを見ながら彼は問う
「な…何を?」
カル「元々皆死んでから此処に来ている、弱くてロクに戦ったことのない勇者達が自分の身も守れずまた死んでいくのは可哀そうだろう」さっきまでの騒がしい口調とは違ってどんよりとした憎たらしい口調で話す
エレ「そんな言い方はやめなさい!」
なんだか空気が重い、全身から警戒信号が出ている、冷や汗が止まらない、緊張からか段々周りからの声が遠くなるにつれて自分の吐息と心臓の音が大きくなる、皆の顔を伺えば誰もが不安そうにこちらを見ている
「あんたらまさか…」今にでも逃げ出せるように腰が浮いていく間に肩をつかまれ抱き寄せられ
カル「教育♡」
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