第3話
今だ騒いでいる周りの声に耳を傾ける
「さすが勇者様、なんて寛大な考えの持ち主」「何が見極めたいだ、そんな考えではこの国が亡びる」「召喚は失敗だ」「今日の夕飯は何だろうか」「女王はこれを認めるのか」「なかなかイケている顔をしているではないか」「勇者様の栄光に恥じぬ勇ましさ」「この世界の行く末が心配だ」
賞賛の声もあるがやはり不満の声が多い(一部関係ない事も交じっているが)
だがここで最終的な決断をするのはエレーナ嬢だ
正直言って本当に魔王討伐の為、国の一角になるのは本当に嫌だ、めんどくさい、召喚されてなんだけどそんな義務俺にはない、もしここで国に残って魔王討伐の訓練をすることが決まったらさっき以上に駄々を捏ねる自信しかない、挙句は提供された部屋に閉じこもり餓死で死んでやる
自分の為に戦うならまだしも会って5分も経っていない赤の他人にどうして命を張らなきゃいけない!おかしい!絶対おかしい!!物語に出てくる勇者は何故こうもすんなりと受け入れることが出来るのか…
魔王を倒したら元の世界に帰れるからか? 名誉?
そんなの何の意味がある、だいだい帰れたとしてもこういう話の類は死んでからの異世界転生の方が多いだろう
帰って何になる?? ゾンビにでもなるつもりか? この世界で名誉なんて貰えれば魅力的なんだろおうけれどもそれはそれで違った形でまた危険にさらされるんではないであろうか…
うぅっ
考えただけで気が遠くなる…
俺は観光がしたい! 異文化交流がしたい! 討伐の旅に出ればついでに出来なくもないだろうけど、ついでは嫌だ! メインが良い! 観光と異文化交流をして
ついでに、出来れば、もし可能なのであれば魔王討伐が理想的
俺はショッピングモールとかはメインのお店に行く前に隅々まで回ってから行くタイプだし、ショートケーキのイチゴは最後まで取っておくし、レストランでも決まった料理した頼まないが何時間もメニューを眺めるタイプだ
そんな俺がデザートだけ食って帰れだ? ふざけるな! 前菜、メインディッシュがあってこそのデザートだろ!
魔王討伐がデザートなら前菜は旅の準備期間、王家の援助で必要なものを買い漁りメインディッシュへ行きそこで出来るだけ料理を楽しむ、目視や香りを楽しんでから食べ始め、それでも直ぐに食べてしまっては勿体無いので一口づつよく噛んで味わってから飲み込む、食事と一緒に飲み物なんかがあれば料理の味を引き立てるかもしれない
何がいいだろうか、コース料理だったらワインなんかがベストなんだろうが俺はやっぱりこういうのはお酒より果汁のジュースや炭酸なんかが良いな…
あっ!
でもCaipirinha* みたいな甘くてサッパリした酒だったら一緒に楽しめると思うな…
いいもの飲んで料理をソースの一滴も皿に残さず食べたら、いよいよ旅の締めのデザートだ、欲を言うなら食後のコーヒーがあれば俺は大満足だ
物思いに更けていたらお腹が空いてきた、そろそろエレーナ嬢には俺のこれからを判断して貰いたいものだ
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これから物語に出てくるポ語の単語とか料理について補足を入れたいと思います。
Caipirinha【カイピリーニャ】とは
ブラジルの伝統的なカクテルで、ライムの酸味と砂糖の甘味、そしてカシャッサのアルコールが絶妙に混ぜ合わせたドリンクです。
※お酒は適正年齢になってから飲んでね
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