悪役貴族
作中におけるノア・トアライト。
天才児として生まれたが故にその才能にあぐらをかき、生涯何かしらの努力をすることはなかった男。
それこそがトアであるが、それでもなお、彼は悪役として主人公の前に立ち、勝負を行えるほどには強力だった。
その力の源泉こそ、ノアが持っていた一振りの剣、魔剣グリムにあった。
簡潔にこの魔剣グリムについて語ると、現実改変能力を持った剣となる。
思いを魔力としてこの剣に込めて振るえばそれだけ、己の思い通りとなる。まさに最強の武器と言えた。
トアはこの魔剣グリムを振るだけで最強の一角であり、このひと振りだけで公式チートである主人公一行と戦えたのだ。
「起きろっ、魔剣グリム」
「……っ!?」
そして、その戦闘スタイルは今の僕もさほど変わらなかった。
僕もこの魔剣グリムを持った時が最強であり、本気となる。
「結局これが一番強いのよねぇー」
魔剣グラム。
僕が、ノアがなぜか生まれながらに有している最強の武具。
これを使って戦うのが結局、一番強いんだ。
僕が必死こいて修めた魔法や剣の技量もこの魔剣グリムの効力には勝てない。
頼もしく、ちょっと憎たらしいくらいこいつが最強なんだよなぁ、本当に強い。
「がぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああっ!」
「悪いな、これを持った時の僕は誰にも負ける気がしないんだ」
魔剣グラムの性能も僕の改良と努力の結果、作中でトアが使っていた時よりも遥かに強化されている。
これを持った僕が何者かに負けることなどありえない。
「がぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああっ!」
本能的に恐れるものでもあるのか。
僕が魔剣グリムを持った瞬間に大声をあげて自分の方へと突撃してくる化け物。
「穏やかに眠れ、哀れな被害者よ」
それに向かって僕は魔剣グリムを一振り。
僕が込めた思いは再生能力の破壊であり、それは正しく承認された。
「───ぁ」
魔剣グリムの刃によってその体を両断された化け物は二度、その体を再生させることはなく、そのまま体を分解させて光の粒子となって消えていった。
「(相も変わらず反則なこと)」
「(まぁね)」
「……はぁー、まったく、誰がこんなものを作ったんだが」
本当に醜悪だった化け物───それを産んだ者と、なってしまった者たちのことを考える僕はただ目の前にいた化け物を倒した後も釈然としない思いを抱えて眉を顰め続けるのだった。
「……あの剣、もしかして?」
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