HR

 入学式を遅刻したせいで行けず、その後の自己紹介タイムはアンヘルと会話していたことで参加を一切しなかった。

 もう初日の学校は散々だったと言っていいだろう。

 だからこそ、この二日目こそいい感じの学園生活を送るのである……最初のスタートダッシュを失敗してしまったら、ボッチになってしまう。

 それは何ともしてでも避けたい。

 僕はバラ色の学園生活を送るのである。


「……」


 そんな決意を伴って学園にやってきている僕ではあるが、それはそれとして大きな問題もあった。

 それは簡単。


「ねぇ、貴方はこれについてどう思うかしら?私としては中々に面白いかなって個人的に思っているんだけど……貴方の感想を教えてくれないかしら」


「ノア、ノア。私、今日はお弁当を作ってきたんだけど、一緒に食べないかしら?結構よく作れたと思うんだけど?どうかな?」


「……うん、そうだね」


 なんかずっとアンヘルとアンリの二人に声をかけ続けられているせいであまり交友関係を広げられていなかった。

 ……いや、何か別に二人への不満がある、とかわけではないけど。

 友達は多ければ多いほどいいし、男友達の方も作っていきたいよね。


「おーい、お前ら」


 そんなことを考えながら、虚無感を携えた状態で僕が二人の言葉を聞き流していた頃。

 うちのクラスの先生であるガルムが教室の中へと入ってくる。


「授業始めるから席につけー。あまり時間はかけるなよ!」


 そして、先生はみんなに椅子へと座るように声をかける。


「それじゃあ、ノア。またあとで、私と一緒にご飯を食べにいきましょう?少し、前に二人で行ったところがいいわね。あそこ、美味しかったじゃない」


「ふふふ。よくわからない気障っている女捨てておいて、私と一緒に学生らしいことをしましょうね?」


「……うん、そうだね」


 それのおかげで僕の両隣で騒いでいたアンヘルとアンリが退散してくれる……それにしても、何であの二人はずっといがみ合っているのだろうか?


「はい。ということで皆さんおはようございます。君たちにとって二日目の登校日であり、最初の朝のホームルームを始めていくぞ」


 クラスの全員が各々の席についたタイミングでガルム先生が口を開く。


「さて、と。それじゃあ、今日話すのは学校の入学後すぐに行われる課外授業。ダンジョン探索の授業についての説明を行っていく。重要な話だから各自、聞き逃すことがないように頼むぞ」


 そして、そんなガルム先生が話していくのは早速重要なことであった。

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