序章の終わり
エルフの森で。
『定命の存在に、妾の苦しみの何がわかるっ!!!』
「はっはっは!知るか、そんなもんっ!僕にとって大事なのは今っ!ここで自分の後ろで泣いている女の子がいることだっ!彼女を助けるためなら命だって懸けられる」
『わ、妾を───ッ!』
「とりあえず落ち着かせてやるからそこで待っていろ」
森の守護者たる精霊と一戦を交え。
■■■■■
遥か深く、硬い地面に覆われた地下帝国で。
「我が王国に羽虫が来るとは……以下用で?」
「少しばかりご相談を」
「ほう?羽虫風情が我に?」
「えぇ、そうです。貴方の娘さんについての話です」
「……っ」
「私であれば治せます。予定されている儀式などを用いる必要はなく」
「……なんだと?」
「どうですか?お題は娘さんを僕のお嫁さんにするということで……」
「たわけっ!」
「……あっ」
地底の王の逆鱗を買いながらも何とか悲運の子を救い。
■■■■■
何処にでもあるただの村で。
「……君は、私を助けてくれるの?」
「もちろん」
「……私は、呪われた、悪魔の子なんだよ?」
「構わないよ」
「でも、私は、……私は、きっと貴方まで」
「そんなことにならないとここで僕は誓おう。君の力に呑まれることはない、と。ここにいる生きた屍の、かりそめの村の一員とはならないことを」
踏んじゃいけない混沌を踏んで。
■■■■■
今まさに滅びに瀕しようとしている王国で。
「どうか、……どうかお願いします。私たちを……私たちの王国を救ってください」
「泣かないで」
「……あっ」
「大丈夫、すべて僕に任せて。僕が救ってみせるから」
「……っ!!!」
「ふふんっ。お題は君のすべてでいいさ」
「えっ……いや」
「……行ってくるねっ!」
国を救うばかりか再興への道筋まで作り。
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暗い暗い研究室で。
「彼女はガラクタなんかじゃない。一人の可愛らしい少女だよ」
「う、うるさいうるさい、うるさぁーい!私が失敗作だと言えばそれは失敗作なのだぁっ!?お前のような凡夫に、凡夫に何がわかるぅ!?」
「小さき少女を虐めようとするお前のことなんて何もわかりたくないね」
「あぁぁぁぁ!?凡夫がぁ、凡夫がいつも僕の邪魔をするぅ!?この世界に選ばれた、変えるべき人材である。天才であるこの僕がぁっ!?なんでぇぇぇぇえええええええええええええっ!」
「ほざけ、凡夫。お前はここで死ね」
いたたけな少女を実験体とするマッドサイエンティストを殺して、その被害者を助け出し。
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一つの美しい大聖堂で。
「人は誰だって自由だっ!君ばかりが囚われている必要はないっ!」
「神が、……神がそうしろと告げるのです!それに逆らう信徒が何処にいますかっ!」
「神を見たことがあるかいっ!?僕はあるっ!いつも鏡の前にいる!そう、僕こそが神だ!君にこれが嘘だと証明は出来るか!?」
「んなっ!?」
「出来ないならば愚直に信じろ!そして、君は僕の手を取れ!君は自由だ!その身を捧げる必要なんてないっ!」
生贄となることが決められていた聖女を助け出し。
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──。
─────。
本当に、本当にノアは数年の間に様々なところへと出向き、多くの人との繋がりを作り出した。
その繋がりは、運命に愛された少女たちと結んでしまったその繋がりは一つの数奇な運命を作り上げた。
そんな幾重もの人との運命が重なって出来た数奇な運命。
「やっと、やっと会えたねっ!ノアっ!」
その果てで、一人の少女が勢いよくノアへと抱き着いて力いっぱいに抱きしめる。
「えっ……?」
その運命の線が最初にノアと繋がったのは。
一番最初にノアへと力いっぱいに抱きしめた少女は。
「誰?」
ここまで多くの世界を見て回り、この世界をゲームとしてある程度知っているノアが本当に初めて会う少女だった。
種は撒かれ、咲くのに必要な時間も、水も十分に与えられた。
世界の運命が、世界の狂気が。
少女たちの狂愛が今、花開く。
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