出会い
それは突然現れた。
開け放った窓、ふわりと揺れるカーテンとカーテンの間に影が降りた。
聞き慣れない羽音を耳にして振り返る。
「こんなところに、鷹?」
夏が終わり涼しげな風が運ぶ窓辺、そこに一羽の鷹が止まっていた。
場違いな来客の訪問に驚きを隠せずに固まる。そのまま鷹のほうへ見遣ると、鷹も静かにこちらを見つめていた。姿勢良く凛々しい態度で佇む鷹に思わず見惚れる。
一歩、恐る恐る鷹のほうへと足を歩める。どうしてこんなところに?
「やあ」
突然どこからか声が聴こえた。
きょろきょろと辺りを見回すが、部屋には自分しかいないことはわかっている。ちらりと鷹の佇む窓辺へと目を向ける、声がそちらからしたことはわかっていた。
「まさか」と思い苦笑を浮かべるが、次にはその「まさか」が破られる。
「はじめまして」
その言葉は確かに鷹から発せられた。
目を見開く、開いた口が塞がらない。今、この鷹が喋った?ぽかんとした表情を浮かべただ唖然としていると、鷹はこちらを待つこともせず淡々と言葉を繋げる。
「僕の名前は『カダル』。君に出会うためにやってきたんだ」
鷹は静かにそう告げた。
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