第15話 悪夢の後で
真里亜との日々は幸せでしかない。幸せしかない。
――――――夜のベランダ。
食器を洗い終わって真里亜が僕の居るベランダへ来た。
「真里亜、ありがと」
「いいえ。」
「…ねぇまりや」
「なに?」
「近々またどっか泊まりに行かない?」
「いいね。」
「三連休とか作ってあてもなく行き当たりばったりとか楽しそう」
「それも楽しいよねきっと。」
「行こ?」
「いいよ。」
「……」
「なに?」
僕は椅子に座ったままずっと真里亜の顔を見てた。
「
「何欲しいの?お小遣いあげて欲しい?」
「ううん。お金はいい。欲ないし。」
「確かに。ないわ。じゃあ何欲しいの。」
「別になんも。」
僕は真里亜を包み込んだ…。
―――――――――――――――。
『あんたなんか嫌い。あんたなんか麗美と死ねば良かったんだ。気持ち悪い近寄らないで。』
『私の子は
―――――――――――――――――――――――――――『あーーーーーーー!!』
年に2、3回こういう悪夢を見る。
幼少期の僕が真里亜にゴミのように扱われる夢。
…頭の中がパニックになっていた。
でもこの日は、真里亜が隣にいた。
とりあえず落ち着きたくて、ベランダで隠し持ってる煙草に火をつけた。
あの悪夢はただの被害妄想。
でも自分で作った記憶。
そうすれば、真里亜に甘えなくて済むから。
でも結局自分で自分の首を絞めた。
今でも尾を引くなんて考えてもなかった。
――――――『あんたいつから吸ってんの。』
隣にいない事に気付いて真里亜が来た。
「あ、やべ…」
「煙草バレた中学生かお前は。」
「え?…」
「別に怒ってない。」
そう言って真里亜が隣の椅子に座った。
「いつから吸ってんの?」
「翔は真面目というか、興味無さそうだもんな。」
「フッ…あの顔で吸われてもね。」
「たしかに。ギャップやばいわ。」
「別にいつからでもいいけど、隠してたの?」
「煙草は隠し持ってた。だからほら、もう期限切れ。」
「え?煙草に賞味期限なんてあるの?」
「口に入れるものだからね。あるんだわ。」
「…本当だ。」
「日本タバコはわかりやすくあんのよ。でも、外国タバコはまるで暗号。全然わかんね。」
「へー…。一緒にすればいいのにね。」
「本当にね。」
「何吸ってんの?」
「色々吸ったけど今はセッタ。あたまフラフラするけど。」
「…あんたのパパも同じの吸ってたわ。」
「らしいね。」
「懐かしいな。」
「…親父に惚れてた?」
「それはない。」
「安西パパとはタイプ違うもんな。」
「覚えてんの?」
「覚えてる。翔のパパ、可愛い顔してた。」
「顔はね…まぁでも私達も若かったからね。」
「…思い出したくない。」
「聞いていい?」
「うん?」
「あの人にも妬いてたの?」
「そう。。もうみんな。真里亜と触れられる人みんな。」
真里亜は静かに僕の手に彼女の手を重ねた。
…暖かくて…柔らかくて…可愛い手…。
「今はあんたのもの。」
「…そう。もう誰にも渡さない。」
僕がそう言うと、真里亜は襲いかかるように僕にキスした。
「あんた、責任重いよ?私を『女』に戻したんだから。」
「…疼くのか?」
「今、凄くしたい。」
「でも俺襲われねーと興奮しない」
「大丈夫。あたし専用の玩具にしてあげる。」
「あぁっ……」
――――――――――――――――――。
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