Glorious Act「傲慢な目的」

私の隣に座るのはコナミ、「2023年度人間型コナミ」1号機。


「...」


さっきからずっと黙ってるけど、何を考えてるのやら。

 気が狂いそうだわ。


「ねえねえ、コナミ、」


「... なんだ?」


あっどうしよう。 目的もなく話し始めたら駄目じゃない。


「えーと、その、」


「何でもないや!」


****


…私の名前はナインティーン。

 通称「90’sコナミ人間アンドロイド」の型番を持つ、コナミよりも一つ前のアンドロイドなの。


私はよくトウキョウゲームショウの踊り子としても役目を果たしてたけど、今は出場禁止になってコナミが代わりにその地位を果たしているわ。


スペックには然程変化がないけど、やっぱり、少し古いかな。

 それとあれから色々あったし、KONAMIにはもう少し、しっかりして欲しいな。


ああ、それよりもコナミが何かウズウズしてる。なんだろう。


****


「... さっきから宙に浮いてるよ、きみ。」


「その横顔は... ムへへ。」


なによそれ?! 痴漢みたい。

 私たち男だよ?


「コナミ、私の事が好きなの? えーやだ、ゲイ。」


「いや、違うよ、そうではなくて。 ただきみの構造は誰からも知らされてない。」


ああ、私のスペックね。 やっぱり古すぎて資料も残ってないんだわきっと。


「そうね。 私は人型のアンドロイドよ。 それ以上は何もないわ。」


「人型って。 僕もそうだよ。 知りたいのは中身だ。」


「散々教えているでしょう? 私は機械の体で消化はそれ程できない、それに水にも弱いって。 あなたは私よりも最新型なのよ。」


「... ああ。」


コナミって、少しおバカさんなのかな?

 知能はいいと聞いてたけど。


****


さあ、こう言う所でお披露目しちゃいましょっか。


「ねえ、コナミ、歌を歌ってもいい?」


「ヘエ? 突然?」


「歌いたい気分だから。歌わせて。」


ラララ...

 KONAMIの歌、「正午の星座まひるのせいざ」。


「......」


「...... ムウ。」


「もっと反応してよね。」


アハハ。 きっと古くて分からないのかも。

 まあいいや。


****


コナミって、本当に私の事が好きなのかしら。


「ねえ、コナミ、」


「...... なんだ?」


「あなたは、その、いつもどう感じてるの?」


「なにが?」


「コナミである事。」


「別に。会社の分身だって、それだけかな。」


「だってさ、その......」


ドキドキ。


「......なんと言うか、知ってるでしょう?」


「......ああ。」


ウズウズ。


「たまに、人間になりたい様な、そんな気持ちになるというか、その、よぎるというか......」


あっ!


****


「あっ、そういうわけじゃなくて。 もちろんKONAMIに従う事は忘れてないよ、ね? あはは......」


やだ、私なんて事をコナミに言ったの...?

 正気がなさそう、ここままだと殺されるー、っ!


「ううっー 痛い......」


弾丸が肩に当たった。 とても痛い...

 いやだ、しがみつかれて今度は何?!


「うっ、うぐ、やめて!」


私の首元のプレートをボロボロに引きはがして、何よ!

 あっ、それは私の音声バンクモジュール...


「ううっー ううう」


強く引っ張ってる。


「ひーーー。 ー。」


抜けた。

 投げ捨てて、水のほとりに流れてゆく。


「ー。 ー......」


ひどい... 何で?

 この抑制プログラムの呪いはこれからも続くの?


****


「...! ナインティーン... 僕...」


「ああヤバイ。 ニゲナキャ。」


逃げちゃった、コナミ...


もう声が出ないよ。 苦しい。

 KONAMIは永遠なの...?

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コーデックス・スツミルス;KONAMI改編書 テヴェスター1999 @tvstar_1999

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