第5話 骨のある者

第5話 骨のある者


ゼロ『歩くの怠いな…「プログラム上書き」で此処を今から「クインガル王国」にしたいけど…生憎まともに使えないからな…これが…俗に言うバランス調整か…』


バクラバ砂漠…その中央に位置する国こそが「クインガル王国」だ。


ゼロ『レベルアップするには効率が良いな回復スポットの「癒しのオアシス」を出入りしながら…そこら辺の魔物を倒していくとレベルが上がる…』

ゼロ『本来なら…だけどな』


ゼロ『さっきから魔物が強力になっている…これが魔物の親玉の力なのか…』


スカルウルフレベル48

スカルタイパンレベル45

スカルシャークレベル50


ゼロ『どれも…レベルが高いな…本来なら28~30位が妥当だろう…』


ゼロ(俺が此処に来たからか…)

ゼロ(もしそうなら悪い事をしたな…)


魔物『サーゼス様!!奴が此処に…』

サーゼス『とうとう来たか…私の力で溺れるがよい…』


サーゼス『来たか…人間…これを見よ』


ゼロ『はぁ…何処までも小物だな…』


サーゼス『今から人質である此処の住民達を一斉に、溺れさせ生き残った者を感電死させる…』

サーゼス『貴様が負けを認め哀れな姿で、見せしめになるのなら…開放してやろう…』


ゼロ『言いたい事はそれだけか?』

ゼロ『別に他人がどうなろうが…プレイヤーには何も関係無いからなぁ』

ゼロ『第一…物語に直接関わってくるキャラでも無い訳だし…』


住民『あいつ…好き勝手言いやがって…』

住民『俺たちを何だと思っている…』

住民『私たちを見捨てる気なの…』

貴族『私はこの国の貴族だぞ!存在意義なら此処のゴミよりかはある…』

住民『貴族…シュレーズ家の当主様…今何と…』

貴族『そうだ!私はシュレーズ家の当主!私さえ生き残れば…国だって再建出来るそれぐらいの地位が確かにある…』


サーゼス(良いぞ…そのまま…仲間割れを続けるが良い…貴様ら人間はそうやって生き残ることに必死になる…だから…弱いのだ…)


ゼロ『御託は十分だ。聞き飽きた…テメェらの存在意義なんてこの世界…いや…ゲームには必要無い…どうせ…クリアすれば元に戻る…シナリオなんて所詮…無かった事にされる』

ゼロ『モブは、そうやって命乞いしてろ…いつまでも強者に縋る…それがお前らの存在意義なんだろ…』


?『こいつは…確かに強者だ。魔物に一切動じない…それでいて…私達を見捨てない…』

住民『お前何を言って…』

?『まだ気付かないのか…確かに…「ゲーム」や「シナリオ」などと意味の分からない言葉を述べているが…彼は確かに周囲を見渡し状況を把握していっている…』


ゼロ『お前…洞察眼に優れているな…この中では骨がある』

ヘイラー『ありがとう…だが…お前では無い…「ヘイラー」と呼んでくれ…』


ゼロ(流石に格好付けて言ってみたかった…憧れである「神ゲー」のセリフを言っているとは気付いていなかったけどな…気付かれたら…恥ずいけど…25歳だぞ…俺死んだの…)


サーゼス『リオレイン』


ポタッ

ザーーーーーーー!


ゼロ『どうやら水属性の上級スペルのようだな…』


住民『来た…』

住民『殺される…』

貴族『無礼者が…私を早く此処から助け出さないか!』


ヘイラー『よく見ろよ…目を開けてな…』


住民『これは…』

貴族『スペルが止まっておる…』


ゼロ『それはポーズ「一時停止」だ。』


ヘイラー『時間系のスペルでは無いな…あれは周囲の対象諸共停止させるからな…』


ゼロ(もって1分が限界か…今の所…)


ゼロ『さっさと終わらせる』


サーゼス『奥の手を使う羽目になるとは…「テンペスト」』


ゼロ『「最上級」の上である「特上級」スペルか…何でも特定の属性を持つ者が扱えるのだとか…』


サーゼス『これを知っているのは一部のはずだが…』


ゼロ『さっき…カタログで確認した。名前はアルという魔物が言っていたな…』


サーゼス『私の友をよくも殺してくれたな!』


ゼロ『アサルトバースト』


サーゼス『!?』


ザグッ!


サーゼス『体が…体が崩れてゆく…』

サーゼス『高貴な存在であるこの私が…人間に敗するとは…』


ゼロ『ついでに魔物を削除っと…』


シュン!


「戦闘勝利」

「金貨50枚銀貨120枚銅貨330枚」

「EXP58200」


ヘイラー『まさか…本当に「蒼魔(そうま)サーゼス」を倒すとはな…恐れ入った…』

ヘイラー『他の連中が何故か…君の事を忘れている様だけどこれも君の力なのかい?』

ゼロ『名前はゼロだ。システム上書きでモブの役目を変えた…それだけだ…』

ヘイラー『なるほど…そうなんだ…』


ゼロ『ヘイラーは此処の住民なのか?それとも冒険者?』


ヘイラー『生まれは「王都セントリベイン」だ』

ヘイラー『端くれだが…一応冒険者をやっている…』


ゼロ(言動からして…俺の問いにも答える賢さ…AI導入…違うな…この世界はゲームでは無い…現実…他の専門用語には反応しないどころか揃えて知らないと答える…)


ゼロ(これがもし…現実世界なら「痛覚のオフ」や「チート」と言っても困惑するのに辻褄が合う…)

ゼロ(俺はクソゲーのクリア画面の前で死んだ。それは確かに事実だ。)

ゼロ(俺にとって…クソゲーは敬意の呼称…)


ゼロ(夢でも無い…ファンタジーの現実世界か…確かにこれは…俺には勿体無い「神ゲー」だな…)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とあるゲームに転生し何故か俺だけバグっているんだが… @ryo325

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る