第20話 そして街は(色んな意味で)地獄と化す

 俺はリーウのおっさんを護衛にして街の中へと突入した。門の広場の前では敵味方入り乱れての戦闘になってはいるものの、明らかに敵が固まっている場所もあるのだ。そこを崩壊させれば勢いがつくはずだ。


「リーウ、あのでっかい化け物は俺の寄生虫だ。奴と戦っている集団に突っ込むぞ。攻撃部隊を前に出してくれ」


 俺は寄生虫マンイーターを指差し、突っ込む方角を指示した。あそこにも多くの奴隷魔族とおぼしき集団がいるようだ。マンイーターを活かすためにも無力化させないとな。


「よし、お前ら、恐れることはない。あの化け物は味方だ。あの化け物を援護せよ!」

「おう!」


 リーウが指示を出し、獣人部隊がマンイーターのいる地点を目指す。そこへ向かう途中にも奴隷魔族がおり、魔族同士が戦っていた。


「いくぞ、強制便意!」


 先ずは強制便意を奴隷魔族と友軍魔族の見境無しに範囲魔法として使用する。だってぱっと見てもどっちが味方かわかんねーもん。


 そして狙った範囲の魔族達は強制的に強い便意に襲われる。こうなれば戦闘どころではない。お互い武器を振るう手が弱まり、緩慢な戦いとなった。しかし中には我慢しきれず粗相してしまう者が続出している。


「かまわん、垂れ流せ!」

「な、なんだとおおおおおっっ!?」


 俺が一団にそう指示すると、そりゃないよと涙目で訴える仲間たち。


「しょ、正気か貴様ァァァっ!?」


 あ、リーウのおっさんまで。だって辺りがクソまみれなら俺の独壇場だぞ。


「勇気を出すんだ!」


 皆の前で便失禁が勇気なのかは知らんけどな。

 

「そんな勇気あるかぁぁぁぁっ!!」


 敵味方関係なく俺に苦情が来た。なかなか頑張るじゃないか。


 いいから早くこけ。


「さらに強制便意!」

「鬼! 悪魔! 人でなし!」

「人類裏切ってるから問題なし!」


 俺はさらに強制便意でダメ押しする。すると最早我慢しきれず、辺りは異臭に包まれた。この時を待っていた!


「よし、今だ! 生まれろ、巨大ウンコゴーレム!」


 戦場と化した広場の一角にウンコが集まっていく。それにより、魔族達のお尻はきっと綺麗になっているだろう。布にこびりついた分は無理だろうけどな。


「まだ大きさが足りんな。よし、あっちの一団にも強制便意だ!」


 出来上がったゴーレムはまだせいぜい身長1メートル程だ。全然小さいわ。もっとだ。もっとウンコが必要だ!


 俺は前方へ敵味方関係なく強制便意をかけ、次々と便失禁させていった。もはや戦場は巨大なトイレである。そして人間の一団にはさらに容赦ない仕打ちをすることにした。


「寄生虫召喚、クソ虫! 俺のウンコアローに乗って人間どもに寄生しろ!」


 俺はウンコアローの魔法に寄生虫クソ虫の成虫を植え付け人間の一団に向かって乱れ撃った。


「ギャアアアッッ!!」

「う、うんこが飛んでくるぅぅっ!?」

「な、なんだこの気持ち悪い虫は!?」


 ウンコアローの餌食となった人間どもに地獄が訪れた。クソ虫に寄生された者から倒れていき、鎧の中はクソまみれになっていることだろう。


「ひぃぃっ、ウンコがとまらねぇ!?」

「よ、鎧の中がクソまみれになっていくぅぅぅっっ!?」


 うん、最早地獄だな。なんというウンコ臭い戦場なんだろうか。そうだ、奴らの鎧の中にあるクソをゴーレムにしてしまおう。


「ウンコゴーレム大量作成! 人間どもの口の中へ入っていけ!」

「なんですとぉぉぉっっ!?」


 俺がゴーレムを作り命令すると、それを聞いた人間どもが一斉に驚愕の声をあげる。


「いかん、あの人間を殺せ! 奴を殺さんと街が地獄となるぞ」

「お前らソロモンを守れ! そしてウンコなど気にせず戦うんだ。これは命令である!」


 リーウのおっさんが部下に無茶振りをかます。もうヤケクソなのかもしれん。そして戦場は汚物パニックとなった。


 俺は次々と人間どもにクソ虫を混ぜたウンコアローをぶつけ、街の中を糞まみれにしていく。そしてさらにそのウンコがゴーレムとなり、人の口の中を目指し動き出すのだ。撤退しようにも既に街の中に入っているからな。


 撤退して放置するならば街の中をクソまみれにしてウンコと寄生虫が蠢く街にしてやるぜ。


「隊長、こんな状態では戦えません」

「くっ、しかし撤退するわけには!」


 そうそう。撤退している暇はないよ。寄生虫マンイーターが隙をついてまた増えていってるんだからな。クソまみれになった人間どもの中にはマンイーターに襲われる奴も当然いる。そしてせっかく数を減らしたのにな。俺が見たときは2体しか残ってなかったマンイーターもいつの間にかその数を5体にまで増やしていた。


 いやークソ魔法使いまくっていたらついにレベルが9になっちまったぜ。とはいえ、かなりの魔力を消耗したな。


 俺は懐から小瓶を取り出すと一気に飲み干した。強力な魔力の回復薬だけあって効くわー。これでまだまだ魔法を使えるぜ。とか思っていたら遂に奴らが現れたようだ。


「ピュリファイ!」


 ちっ、浄化魔法か。汚物を処理できる魔法らしい。俺のクソ魔法とは相性の悪い奴らってことか。


「クソッ、ここにもあの化け物が!」

「それより、なんなんだよこれは。なんでこんなにウンコくせーんだ!?」


 どうやら騎士団のお出ましのようだ。だがピュリファイはあくまで汚物の浄化のみ。今ウンコをなんとかしてもクソ虫に寄生された奴はまたウンコこきまくるんだからな。


 奴らにも地獄を見せてやるぜ!

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