五十話 湖の精と警邏隊と


 カーヴェア学園で学園長を務める総白髪のネクタルの住まう学園長室。

 生徒の声との距離を表すように、校舎で最も人の出入りが多い中央昇降口横に位置していた。


 学園の教師の一人であるアドニスは、ネクタルからの招集を受けて、放課後に学園長室へと足を運んでいた。


 学園長室の前に立つと、扉の細工がその姿を反射する。

 いささか薄くなった赤茶色の髪と、覇気のない黄色の瞳。


 軽く握りしめた左拳が扉をノックする直前、扉の金細工が映す自身の姿を視認すると、自嘲するように一瞬だけその表情が歪む。


 扉を軽く叩く音が、短く四つ。

 

 数拍間が開いた後に、扉が内開きにゆっくりと開く。

 扉が開ききるのを待って、学園長へとその足を踏み入れた。


 踏み入れた先には、学園長の他に一人の先客の姿。

 学園長の対面に座る先客の姿は、部屋の入口に背を向けているためにアドニスからは窺い知れない。


 アドニスは、一瞬だけ先客の背に視線を動かした後に、頭を下げた。

「はぁ、お呼びと聞きました、学園長」


 その背後で、扉がゆっくりと閉まる。


「うんうん。よく来てくれたね。立ち話しもアレだから彼の横に座って」

 座ったままにこやかに先客の隣のを進めるのは、白髪白眼の童の容姿をもつネクタル。


 部屋の中央部にローテーブルを挟んで設置されたローソファは、大の男が優に四人は座れそうなほどに余裕がある。


 ちょこんと座るネクタルは、あどけない容姿相応に、足を宙でゆっくりとバタつかせている。

 しかし、忘れてはならない。

 年齢不詳の彼こそが、王国一の教育機関の長であり、王都にも影響力をもつ大魔法使いでもあることを。


 ネクタルの言葉に従い、アドニスは来客の隣へと足を進める。


 机の上には、先客用に注がれた紅茶のカップと、既にアドニス用にソーサラーの上に乗ったカップが用意されていた。


 アドニスはソファの隣に立った時、座っていた人物が誰か気がついた。


 重くのしかかる瞼を押し上げて、目を丸くする。

「はぁ、王国警邏隊長の貴方が、なぜ学園に……」


 王国警邏隊長と呼ばれた男の外見年齢は、アドニスと変わらず中年に差し掛かっていた。

 アドニス以上に寂しい頭には、申し訳程度の黒髪。

 容姿という点では、アドニスより老いてすら見える。


 男はその碧眼を細めて、アドニスに会釈をする。

「アドニス、先生でしたね? 今は」


 アドニスは会釈を返した後に、その隣に腰かけ会話を切り出す。

「はぁ王国警邏隊と言えば、王国内における治安維持を一手に引き受ける表の実力組織。その長がなぜ学園城に? チーブス王国絡みですか? 学園は、どこもかしこもその話で持ち切りです」


 ネクタルは、ミルクをたっぷり入れた紅茶で唇を湿らせる。


 手にしたカップを机の上のソーサラーの上に置くと、笑みを浮かべて口を開く。

「うーん。当たらずとも遠からず、かな……。結論から言おう。今日の朝方、正門から学園の生徒が脱走した」

 結論を話す時には、ネクタルの顔にいつもの無邪気な笑顔はなく、能面のような無表情が張り付いていた。


 その内容と表情から事の深刻さをアドニスは理解した。

「はぁ、なぜ……。いや、この際理由はいいでしょう。しかし、この時期は、正門は閉ざされているはずでは? 仮に城外に出ても、双子城は周囲を湖に囲まれた天然の要害。今の時期は学園城から湖の向こうに橋は掛かっていないので、魔法生物が数多住まう湖を渡り切ることは不可能では……?」


 王国一の城面積を誇る双子城を取り込むように広がる湖。


 湖の精と王家とは王国建国以来、不可侵の盟を結んでいた。

 王都の魔法生物の専門家たちですら、湖のすべての魔法生物を把握できてはいない。

 かつて、フロス公国が大陸を席捲し、ポトム王国の双子城にも迫った際は、湖を渡ろうとした公国の陸上および海上戦力を悉く駆逐し、勇者たちによる公国幹部の奇襲の時間稼ぎに多大な貢献をみせた。


 基本的に湖に住まう魔法生物は、湖の精の意思に従い、王国に害を与えることはない。

 むしろ、一定の漁業すら許している。

 しかし、湖の精は、漁業は許す反面、無為に魔法生物を傷つけることは許さない。という人間には理解しがたい制約を設けてもいた。


 肝心の魔法生物は、基本的に湖中で生活しており、そのほとんどは人に姿を見せることは少ない。

 一部が、浅瀬や岸に上がることはあっても、人に危害を加えることはない。

 生活圏が違うのだ。

 しかし、湖上や湖中となると話は別である。


 自分たちの縄張りに侵入した獲物を逃す肉食獣はいない。


 魔法生物の手で過去に度々犠牲者が出た。


 被害が重なり、湖の精に現状の改善を求めた王家に出された答えは、

『ワタシタチ ハ アナタタチ ノ カリ モ ミトメテイル』


 湖の精は対等である。


 人にも魔法生物にも等しく。


 人が湖で狩りをするのを認めているが、同時に魔法生物が湖で狩りをすることも認めている。


 ならばと、一部の貴族が私兵を動かして、大規模漁業を試みたこともあったが、幾ばくも無いうちに、普段は湖底に身を静めている超巨大魔法生物に、湖の藻屑へと変えられた。


 以来、王国では湖の精と、湖の主とも言われる超巨大魔法生物の怒りを買うことを恐れ、決められた時期に、決められた方法で漁業をするに留まっていた。


「普通は、ね」

 と言うネクタルに、警邏隊長がその先の言葉を引き継いだ。

「どうやら脱走した生徒は、湖に住まう人魚を懐柔したようだ」


 息を呑んだアドニスは目を瞬かせる。

「……はぁ、あの・・人魚を? 気難しくて有名なあの?」


「えぇ、美しい人の上半身を持つが、人の心は半分と持たないとも言われる彼女たちですが、どういうわけか、脱走した生徒たち・・に力を貸した様です」


「はぁ、ちょっと待ってください……たち?」


「えぇ、今回脱走した生徒は三名。シトラス・ロックアイス、メアリー・シュウ。そして、ブルー・ショット。私の任務は彼らの追跡、そして捕縛任務です。アドニス先生をお呼びしたのは、追跡班に必要な情報を何か得ることができないかと思いまして。一昨年の旧勇者科、そして、昨年度から勇者部を通して、三人とは面識があるという情報を頂きましたので」


 警邏隊長の言葉を聞いたアドニスは、返事の前に学園長ネクタルへと確認の視線を向ける。


 生徒の個人情報である。

 要請があったからと言って、そう気安く渡せるものではない。

 特に魔法に関する個人情報の取り扱いについては、学園は厳に注意を払っていた。


 すぐにその意味を汲み取ったネクタルが頷く。


 アドニスは三人の実力、能力、戦闘スタイルを警邏隊長に説明する。


 時折、警邏隊長からの質問を挟みつつも、一通り説明を終えると、アドニスは最後に、

「はぁ……ご存知とは思いますが、シトラスはあの・・ベルガモットの弟君で、彼女はそれはもう、彼を目に入れても痛くないほど可愛がっていますので――」

「わかりました。弟君へはなるべく――いえ、傷跡が残らないように慎重に対処します」


 昨年度の大勢の観衆の前での偉業達成で、ベルガモットの名前は畏敬と共に、王国中に広く知れ渡っていた。

 王国の要職に就く者のほとんどは、学園出身者である。

 それ故に、彼女の為したことが如何に化け物染みているか理解されていた。


「はぁ、反対にメアリーは、最初から手足の一本奪うつもりで事に当たられた方がいいかもしれません」

 教え子に対して、中々容赦のない対応を進めるアドニスに、

「……我々は王国の職業軍人ですよ? 中でも、追跡班はその中で最精鋭と言っても差し支えありません」

 僅かばかりにそのプライドを匂わせる警邏隊長。

 学生とは言えど、王国中から集められた金の卵。

 いらぬ被害を防ぐために、脱走者の学生の話を聞きに足を運んではいたが、されど卵。

 遅れを取るとは微塵も考えていない様子である。


 しかし、アドニスは左右にゆっくりと頭を振って、

「はぁ、彼女への認識が足りていません。……実力だけを見ると、今の彼女は、いつ七席になってもおかしくありません、と言えば、少しは伝わるでしょうか?」


 アドニスの言葉に息を呑む警邏隊長。

 それだけ、ポトム王国において七席の名は別格であった。


 王国の上級臣民で主に構成される王国警邏隊。

 すべての構成員は学園の卒業生であり、出自から王国のエリートたちである。

 しかし、その中身は七席になれなかった者たちである。


 同じエリートでも、七席は格が違う。

 生半可な経験や、努力では決して埋められない差がそこにはあった。


 カーヴェア学園で七席と呼ばれる時点で、学園に留まらず、ポトム王国における即戦力である。

 そこに年齢や序列は関係がない。

 七席と呼ばれるまでに磨き上げられた才能の塊が、王国警邏隊に名を連ねることもない。


 七席の言葉に、警邏隊長は表情を引き締め、

「アドニス、先生にそこまで言わせるほどとは……。お話を聞きに来た甲斐がありました。学生と思って、舐めて掛からないように改めて周知します」


 警邏隊長は、感謝の意を込めて頭を軽く下げると、

「私はこれから生徒の追跡に向かいます。ご協力ありがとうございました」


 そう言って立ち上がると、ネクタルに一礼して、学園長室を後にするのであった。



 一方、その頃のシトラスたちはと言うと――。


「よかったね。運よく商人の馬車に乗れて」


 馬車の荷台に、商人の運ぶ荷物と一緒になって三人で横並びに座っていた。


 人魚の力を借りて、湖畔まで渡った三人。

 その後は徒歩で、最寄りの東の村を目指していたところ、出会った商人を名乗る二人の男たち。

 東の町へ物資を届ける予定だという。

 彼らにシトラスの故郷の事情を話すと、快く馬車の荷台に乗せてくれた。


 シトラスは、時間が経つにつれて、押し黙ることが増えていった。

 

 思いを馳せるのは、その訃報がもたらされたライラ。

 物心ついた時には、既に祖父母が他界していたシトラスにとっては、初めて迎える親しい人間の死。


 手持ち無沙汰になると、ついライラのことばかり考えてしまう。


 彼女の身に何があったのか。

 どんな最期を迎えたのだろうかと。

 苦しくなかったか、辛くなかったか。


 シトラスは首からぶら下げてたネックレスを服の内側から取り出して、手に取った。

 姉のベルガモットが、極めて優秀な成績を残した褒賞に王家から、授与された魔法金属でつくられた逸品である。

 黄橙色に輝くネックレスの先にぶら下がるオーブ。

 そこに埋め込まれた緑色透明色の宝玉ペリドットが、シトラスの顔を鈍く映し出す。


 姉ほどの力があれば自分にもどうにかできたのではないか、などと栓なきことまで考えだす始末。


 ブルーは隣に座るシトラスの曇った表情に共感するように、頭上の耳がしょんなりと萎れる。 

 メアリーは、ぼっーとした表情でシトラスの肩に持たれ掛かっており、こちらは平常運転である。


 シトラスが黙ると、荷台は沈黙が支配する。

 ただ、車輪が大地を走る音。

 そして、風が幌を打つ音。

 木々のざわめきが耳朶を優しく撫でる。


 昼と夜の境界線。

 陽がその姿を山に隠し、夕焼けの空が青に変わる頃。


 馬車を操っていた男が、顔だけ振り返ってその口を開く。

「お前たち、何か食料は持っているのか?」


 シトラスが三人を代表して首を振ると、

「今日はこの辺りで野営の準備に入るが、お前たち狩りの経験はあるか? 悪いが飯に余裕はないんだ。水は多めに積んでいるから使ってくれてかまわないが、飯が必要なら自分でとって来てくれ」


 シトラスが夕食の探索に出ようと腰を上げると、左右から声がかかった。

「私が行くわ。シトは休んでて」

「私も。こういうのは得意」


 それぞれシトラスの肩に手を置いて、彼を押しとどめた女性陣。

 彼女たちは意気揚々と左右に散らばって、あっという間にその姿は見えなくなった。


 あっと言う間に手持ち無沙汰となったシトラスは、野営の準備をしている二人の商人を手伝うことにした。


 枯れ木と大きい石を集め、商人の男が火起こしをするのを手伝う。

 もう一人の商人の男は、少し離れた木々に馬を繋ぎとめていた。

 荷台を外された馬たちが、口元を緩め、足元の草葉に顔を寄せているがの視界の隅に入った。


 焚火の素材集めが終われば、シトラスができることは、彼の火起こしをただ眺めている事だけである。


 荷台のタイヤの足元に大きな石を詰め、動かないことを確認したもう一人の商人が、火が付いたばかりの焚火に加わる。


 次第に大きくなる火。

 その頃には、空を照らす残光もわずかばかりで、そのほとんどは紺色に覆われていた。

 陽の沈んだ方角が微かに赤の名残を残しているばかりである。


 シトラスが、ぼんやりと炎のゆらめきと、時折薪の爆ぜる音に耳を傾けていると、馬の世話をしていた男が遠慮がちに口を開いた。

「……なぁ、さっきチラって見えたんだけどさ……。首から下げているネックレスをちょっと見せてもらえないか?」


 彼の仲間のもう一人の男は、なんのことかわからず首を傾げていた。

 しかし、シトラスが言葉より先に、胸元から取り出したネックレスを見て、大きく息を呑んだ。


 自身の掌にオーブを乗せ、小さく掲げると、

「これのこと?」

 

 シトラスの反応に、肩と肩が、足と足が触れ合うほどに距離を詰める男。


 この頃には、男は興奮を隠せないでいた。

「そ、そそそうだ。て、手にとっても、い、いいか?」

「うん。いいよ」

 魔力視の魔眼を通じて、目の前の男の魔力オーラが興奮していることに気がついたシトラスではあったが、特にそれを気にすることはなかった。

 

 掲げたオーブを男の前に差し出す。


 男は震える手でそれを受け取った。


 焚火の揺らぎで、その顔を変える宝玉ペリドット


 男の視線は引き寄せられるように、宝玉に釘付けとなる。

「ほ、ほんものだ……。は、初めて見た……」

 熱に浮かされたように言葉が口から零れ落ちる。


 反対側に座って、様子を見ていたもう一人の男も、口を開いてその輝きに魅せられていた。


「これは、ネックレス部分は魔法金属のアダマンタイト、それにオーブの装飾もそうだ。一生の内でもそう滅多にお目にかかることのできない希少金属だ。加えて、オーブに埋め込まれているこの大きい宝石は――」

「それはペリドットだな。だが、そんな大きなペリドットを俺は初めて見た。お、俺にももっと近くで見させてくれ」


 宝玉の埋め込まれたオーブを見えやすくるために、首を下げていたシトラスだが、その姿勢を保つのに少し疲れた様子で、

「あの、もういい?」

 と尋ねるも、中々手を放そうとしない男。

「も、もうちょっと」

「お、おい次は俺の番だ」

 もう一人の男も興奮気味に身を乗り出していた。

 

 相棒であるはずのもう一人の男から、隠すように手にしたオーブを遠ざける男に、

「ちょ、ちょっと、引っ張らないで」

 とシトラスが苦情を入れる。


 シトラスが、改めて宝石を手にした男を見ると、彼の背筋はぞっと凍った。

「――はい。もうおしまいッ!」

 一瞬の隙をついて、半ばひったくるようにオーブを取り返したシトラスは、その場から立ち上がった。


 もう一人の男が、次は自分の番だと、不満を述べる。

 シトラスは、その男に視線を向けると、無意識に一歩後退る。


 二人の男たちは、既に正気ではなかった。


 更に後ろに下がるシトラスに対して、素早く立ち上がった二人は、じりじりと距離を詰めにかかる。


 その眼は血走っていた。


 見知らぬ若人を助けた善良な精神は、とうに消え失せていた。


 シトラスは、ここにきて自身の失敗を悟った。


 明確な理由はわからない。

 しかし、彼は自身が選択を間違えて、この窮地を招いたことを感覚的に理解していた。


 上級臣民の貴族に生まれ、幼少期は貴族の箱庭で育ち、少年となってからは学園という箱庭で育ってきた。

 学園の授業で金銭については学ぶものの、それを使う機会がなく、金銭感覚というものに非常に疎かった。


 知識は使わなければ失われる。

 それが道理であった。


 双方にとって不幸なのは、シトラスが身に着けていたそれを見たものが商人であり、それを理解できてしまったこと。

 そして、シトラスがその価値を正しく理解できていなかったこと。そして、彼自身の警戒心のなさ。


 これらの事実はいともたやすく、善を悪へと変えた。


 男は懐から一本のナイフを取り出すと、

「……おい、悪いことは言わない。怪我したくなかったら、そのネックレスを俺に寄越せ」

 

 もう一人の男も同様に、腰に差していたナイフを取り出し、無言でにじり寄る。


 このネックレス一つで話が済むなら、シトラスはそれを渡しても構わなかった。

 だが、そうはならないだろう。


 彼らの魔力と、彼の直感がそう告げていた。


 いつの間にか荷台を止めた場所まで後退っていたシトラスは、その退路を荷台によって塞がれる。


 一陣の風がシトラスと二人の男の間を吹き抜ける。

 止められた荷台の先、木に留められていた二頭の馬が、風に驚いた様子で大きく嘶いた。


 二人はそれを意にも留めず、その顔に醜悪な笑みが浮かぶ。

「そのネックレスさえ売れば、俺は一生遊んで暮らしていける」

「連れの彼女が帰って来るまでに片付けよう」


 ゆっくりと左右に分かれた男たちは、タイミングを窺っている。


「待て、分け前は?」

「……半々だ」

「……いいだろう」

 二人ともその眼光は鋭く、隙あらば互いを食ってやろうという気概を感じさせる。


 重なる二つの声。

「死ねーーッ!!」

 二人の男たちが、左右から同時に飛び掛かって手にしたナイフを振り下ろす。


 シトラスは目を見開いて、自身に振り下ろされるそれを眺めることしかできなかった。 


 だが、凶刃が彼の体にその刃を突き立てる直前で、

「お前がな」

 凍てつくような声音と共に、鋭い一撃が二人の男をまとめて薙ぎ払った。


 シトラスが振り返ると、荷台の上にいたのは、

「メアリーッ!!」


 吹き飛ばされた男たちは、慌てて立ち上がろうとするが、

「立ち上がったら殺す」

 男の首元に木刀を翳してそう告げた。


 もう一人の男を見ると、ブルーがその首筋に鋭い爪を立てていた。


 彼らの得物はただの一撃で粉砕された。

 殺意の視線が宿る上位者の視線に、男たちは欲から出た我が身の滅びを悟り、力なく項垂れるのであった。


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