139.仕事付き合い

「お父さん、服、これでいいのかな?」


 今日は、お父さんのお仕事関係のパーティーに家族で招待された。


 パーティーという事もあって服装選びは大事だろうと思う。詩季くんに見せたい、私の1番お気に入りの可愛い服以外で、何とかパーティーコードになる服を選んで着た。


「うん!可愛いな」

「ありがと!」


 お父さんが、褒めてくれた事で、私は上機嫌だ。


「1番のお気に入りを着ていかないのは、詩季くん専用なのかな?」

「うるさいよ、お母さん!」

「あはは、わかりやすいなぁ〜〜」


 詩季くん関係で、お母さんにからかわれる事は、お泊まり以降、増えている。

 本当に、娘の恋を楽しんで見ているようだ。


「陽菜可愛い?」

「可愛いよ」


 着替えを終えた、陽菜が陽翔共に出てきた。陽菜は、今日のために買ってもらったワンピースを着てご満悦だ。陽翔は、スーツを着ていた。


「そう言えば、詩季から俺も含めて話があるんだよな。日にち決まったか?」

「まだ、こっちのスケジュールは送ったから詩季くんの返事待ち」


 15時を回ったタイミングで、家を出発して、パーティー会場に向かう。


 お父さん曰く、パーティーと言っても、ホテルの大きなフロアを貸し切って大人数を集めてするのでは無いみたいだ。

 今回は、お父さんが交流ある企業が開催する中規模なパーティーだとか。


 まぁ、お父さんも働いていて呼ばれるのは始めてなようなのだけど。

 今回は、以前お父さんが関わっていたプロジェクトが無事に成功に終わった事のお祝いパーティーだとか。


「美味しい、ご飯、いっぱい食べられるかなぁ〜〜」

「陽葵、ご飯目当てだもんね」

「本当は、詩季くんも招待出来たら良かったんだけどね。家族だけだったんだよ」

「大丈夫!詩季くんには、思い出話という飯テロするから」


 私の目的は、普段食べられない料理をたらふく食べる事だ。食事は、1回1回楽しんで食べないといけないからね。


「食べ過ぎて太ったら、詩季に、飽きられるかもよ?」

「陽翔、しばくよ?食べた分、運動するもん!」

「うふふ、詩季くんとくっつくのは、何時になるのかな?」

「がっ頑張るよ」


 お母さんからは、詩季くんと何時くっ付くのかを催促されている。私だって、頑張っているのだ。気持ちを伝えて、更に、詩季くんにアピールするのだ。


 パーティーが行われる会場に到着した。


「お父さんホテルのフロア貸切ったパーティーじゃないんだよね?」

「うん。大きなフロアではなく中規模な部屋を借りているんだよ!」


 なんだか、トンチを効かせて来たお父さんに少し呆れていると、お父さんの方に歩み寄って来るお父さんと同年代の男性が来た。


「西原さん!」

「あぁ〜〜この度は、家族でのご招待ありがとうございます」


 どうやら、私達を招待してくださった方が、お父さんに挨拶に来たようだ。

 お父さんの紹介で、私たちは、1例した。陽菜は、相変わらずの元気一杯だ。


「子どもたちは、美味しいご飯を食べられる事を楽しみにしていますよ」

「お子さんのお歳は」

「上の2人が双子で今年16になります。下の子は、7歳です」

「なるほど、私の子どもは、姉妹で上が10下が8なんで、妻について行く〜〜」


 お父さんは、仕事仲間の人と雑談を楽しんでいた。


「そう言えば、双子ちゃんと同い歳の2人も食事会に来ることになりまして」

「ずいぶん、急ですね」

「主催者のお知り合いみたいで、社交界デビューも兼ねているみたいで」

「何だか、緊張しているのもそのせいですか?」

「はい、私の会社の主要な取引先の1つなんです。本日は、挨拶をするようにと会社から。西原さんも挨拶して置いた方が、この先得かも知れませんよ」


 お父さんの会話を聞いて、社会人と言うのは大変なんだなぁと思った。そんな、お父さんの頑張りがあって、私は、詩季くんに恋出来いると思うと有難いと思う。


「同い歳の子は、どんな子なんですか?」

「確か、桜宮高校に通っているとは聞いてますが……」

「うちの子達も桜宮なんですよ!」


 同い歳で桜宮?!


「名前とか聞いていたりしますか?もしかしたら、子ども達と知り合いかもしれませんので……」

「お〜い、鎌倉!」


 お父さんのお知り合いの仕事仲間の方に呼ばれた、鎌倉さんという方は、その人と話してからこっち戻ってきた。


「同い歳の子の情報が分かりました。でも、1つ不思議な注意事項がありまして……」

「それは、何ですか?」

「1人は、女の子。もう1人は、髪が長いせいで女の子に見えるが、男の子。対応間違えるな!目印としては、脚が不自由なので杖を携帯していると」


 鎌倉さんの情報で、私達1家は、1人の男の子と女の子を思い出す。いや、待てよ、同い歳という事は、女の子線は別の子か。


「その方のお名前は?」

「えぇと――」

「鎌倉!挨拶の準備をしろ!到着された!」


 鎌倉くらさんは、上司だろうか女性の方と並んでいた。

 私たち家族もお父さんが、鎌倉さんの隣に立ったのでその後ろに立った。


カン。カン。カン。


 規則正しく、何かが地面に叩きつけられている音がする。この音は、私にとって聞き慣れている音だ。


「本日は、お忙しい中、お越し頂きありがとうございます!白村詩季様、羽衣様、住吉春乃様」


 鎌倉くらさんとその上司が、頭を下げている中で、私達家族は、呆然と立ち尽くした。その様子を見た鎌倉さんがお父さんに頭を下げるように言ったので、お父さんも頭を下げた。


 杖を付いている男の子を見た。パナマ帽子を被って髪が短い以外は、詩季くんだ。近くに、羽衣ちゃんが居て、詩季くんの隣に、春乃ちゃんがたっている。


 名前もそうだ、間違いなく詩季くんだ。


 なんで、隣に、春乃ちゃんが立っているの?


 私の胸は、ざわめいている。陽翔の方を見ると、陽翔も状況を理解出来ていないのかショックを受けているのか、呆然としている。

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